クロード・ドゥラングル サクソフォンの伝統と革新を体現したリビング・レジェンド
30年以上の長きに亘り世界のサクソフォン界の最前線を走り続け、もはや生ける伝説とも呼べる巨匠クロード・ドゥラングル。去る 3/15〜4/14 の期間で開催された「東京・春・音楽祭」で2つのコンサートに出演するために来日した彼に、久々のインタビューを敢行した。聞き手には彼の弟子でもある大石将紀氏という豪華顔合わせで、和やかかつ熱いトークが繰り広げられた。
(インタビュー・文:大石将紀 / 写真:土居政則 / 協力:株式会社アクタス / アシスタント:伊藤あさぎ)
伝統を伝えてくということは「伝統を永続的に現代化しなおす行為」
(以下 O)
(以下 D)
この問題はサクソフォンに特に現れやすい問題かもしれません。サクソフォンはジャズによって名声を得た楽器なので、クラシカルサクソフォン奏者はそのことへのコンプレックスからジャズやその他の軽音楽とクラシカルサクソフォンを区別したがる傾向にある。それがクラシカルサクソフォンをアカデミズムに傾倒させてしまう原因になっていると思います。
クラシックサクソフォンでヴィブラートを用いるようになったきっかけ
フォトセッション終了後にはビデオシューティングにも応じてくれたドゥラングル。「THE SAX」読者へのメッセージとともに、美しいアルトの音色を聴かせてくれた。
次ページにインタビュー続く
・好きなものだけを演奏していたらサクソフォンの歴史は発展していかない
クロード・ドゥラングル
Claude Delangle
パリ国立高等音楽院で学び、サクソフォーンと室内楽の両方で1等賞を受賞。以来クラシックと現代音楽の両分野での世界的なサクソフォーンの名匠との評判をうち立て、現代曲においてはサクソフォーンに対する認識を広めることに貢献している。昨シーズンはM. ジャレルの『復活』とB. ジョラスの『セカンド・コンチェルト』の初演を行い、F. マルタンの『バラード』の日本初演を行なった。L. ベリオの『レシ』も初演し、リスボンのGulbenkian財団とSchleswig-Holsteinフェスティバルでも演奏している。ドゥラングルとベリオはたびたび共同で活動しており、ヨーロッパ、アメリカ中を演奏旅行している。ストラスブール・ミュージック・フェスティバルからは、タンゴに触発された曲でアルゼンチンの10人の作曲家が書いた「Tango Futur」の初演を行うよう招待を受けた。また、1986年にピエール・ブーレーズが初めて招待して以来、アンサンブル・アンテルコンタンポランと共演している。フランス国立管弦楽団など数々の管弦楽団と共演し、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団には1992年以来招かれている。1988年からパリ国立高等音楽院で教鞭を執っており、世界各地でマスタークラスを開催している。さらにフランスサクソフォーン協会、国際サクソフォーン委員会の会長を務めている。