サックス記事 定評ある洋楽ポップスのカバーに真正面から挑んだ意欲作「MELODY」を発表したサックス界のプリンセス
  サックス記事 定評ある洋楽ポップスのカバーに真正面から挑んだ意欲作「MELODY」を発表したサックス界のプリンセス
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The SAX vol.79 Cover Story

定評ある洋楽ポップスのカバーに真正面から挑んだ意欲作「MELODY」を発表したサックス界のプリンセス

ARTIST

もはや当たり前になった女性サックス奏者の活躍に先鞭をつけた小林香織。昨年デビューから10周年を迎え記念作「STORY」をリリースした彼女が、新たなディケイドのはじまりに挑んだのは洋楽ポップスのカバー集だ。バラエティ豊かな選曲と、交流ある大御所ギタリスト鈴木茂や魚類学者さかなクン(!)など多彩なゲストの参加で、単なるカバー集を超えた作品に仕上がった。
(文:櫻井隆章 / 協力:株式会社 JVC ケンウッド・ビクターエンタテインメント)


一区切りをつけて新たなスタートの第一歩に選んだカバー集

もはや揺るぎない地位を獲得している女性アルトサックス奏者の小林香織が、ニューアルバム「MELODY」を発表した。今回は初の洋楽ヒットのカバー集で、耳に馴染みのメロディが、彼女の優しくたおやかな音色のサックスで奏でられている、実に聴きやすくも楽しくハッピーな気分にさせてくれる傑作だ。さっそく、話を聞いた。
小林
去年はアニバーサリーということで一区切りつけたわけですが、今回はここから新たな一歩と考えました。でも、急に音楽性が変ってもいけないとも思いまして......。あれ? こんなキャラだっけ? と思われてもいけないじゃないですか(笑)。で、聴いてくださる方の期待を裏切らず、それでもやりたいことはいっぱいあって、じゃあどうしようと皆で話し合いまして。そこで出てきたのが、耳に馴染みの洋楽のヒット曲をカバーしたらどうか、というアイデアだったんです。今まで、アルバムの中にいくつかカバーを入れたこともあったんですが、アルバムすべてというのは初めてで。それも良いかな、と。色々なヒット曲を、私なりのやり方で聴いていただくというのも意味があると思ったんですね。その結果が、このアルバムです。
選曲の基準は?
小林
最初、カバーしたい曲って、もう山ほども積み上がったんですよ(笑)。で、そこから絞り込んでいきました。だから、一曲一曲について、本当に思い入れがあります。私は1981年の生まれなので、その前後のナンバーが多いですね。実は先日、ベテラン・シンガーの小坂忠さんのレコーディングに参加させていただいたんですが、その小坂さんのアルバムも洋楽カバー集だったんですね。ところが、曲のほとんどを私は知らなかったんです(笑)。例えば『ドック・オブ・ザ・ベイ』とか(註:故オーティス・レディングの1968年の全米1位獲得曲)。え〜、何、これ? っていう感じで(笑)。他にシュープリームスとかも。ビートルズはもちろん知っていますが、その曲は断片的にしか聴いていなかったりして、全部通して聴いたことはなかったんですよね。

小林香織,さかなクン二人が指さしているのは、さかなクンが白衣に描いた小林の似顔絵イラスト

 


CD Information

「MELODY」小林香織
 
「MELODY」小林 香織
【VICJ-61754】¥3,024(定価)
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

[曲目]シェイク・イット・オフ、ランナウェイ、ウィ・アー・オール・アローン、サタディ・イン・ザ・パーク、ミス・ア・シング、ガット・トゥ・ビー・リアル、イフ・アイ・エイント・ガット・ユー、クレイジー、アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット、ジョイフル・ジョイフル、ティアーズ・イン・ヘヴン

[演奏]小林香織(As,Fl,Key,Prog,Cho)、さかなクン(Bass Sax)、鈴木茂 / キース・ウィンター / 田中"TAK"拓也(Guit)、 駒沢裕城(Steel-Guit)、ジェイミー・オデール(Key,Prog)、Dr.kyOn / NOBU-K(Key)、小原礼 / 河野充生(Bass)、加藤"Q"久幸(Ds)、松井イチロー / 松本智也(Perc)、Jay(Vo)、小林夏実(Cho)


次ページにインタビュー続く
・名ギタリスト鈴木茂と楽器の選定が縁で交流が始まったさかなクンの参加
・洋楽のポップスをカッコよく吹くコツは音を短く切ること

登場するアーティスト
画像

小林香織
Kaori Kobayashi

1981年、神奈川県生まれ東京育ち、母はピアノ教師、父は写真家。中学1年から吹奏楽部でフルートを、高校2年でアルトサックスを始め、原ひとみ氏に師事。2000年に洗足学園音楽大学ジャズコースに入学し、ボブ・ザング氏に師事。在学中より都内のライブハウス等で活動し、卒業後の2005年2月、ビクターエンタテインメントより「Solar」でメジャーデビュー。現在までにベストアルバムを含む12枚のアルバム、ライブDVD、譜面集2冊を発表。YouTubeにアップされた『Nothing's Gonna Change My Love For You』が世界中で多大なアクセス数を記録し新聞テレビで話題になり、アジアでの公演を行なう。2013年には台湾のサックスメーカーTKMelodyとの共同開発による小林香織モデルのサックスが発売される。2016年8月に発表した洋楽カバーアルバム「MELODY」では、魚類学者でタレントのさかなクンが参加したことで話題となる。現在、泉谷しげる、タケカワユキヒデらのライブサポートに加え、ジャンルを問わず様々なレコーディングにも参加する他、母校である洗足学園音楽大学ジャズコースの講師として後進の育成にも力を入れている。2018年9月26日キングレコードに移籍、その第一弾として全曲オリジナルのニューアルバム「Be myself!」を発表。

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