サックス記事 本気で音楽を遊ぶ新世代テクニシャン集団  ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット
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THE SAX vol.92

本気で音楽を遊ぶ新世代テクニシャン集団  ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット

ARTIST

結成から5年目を迎えたザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテットが、待望の2ndアルバム「Fun!」を発売する。忙しいスケジュールの合間を縫ってメンバー全員に集まってもらい、アルバムについて話を聞いた。

親しみある名曲を常識を覆す姿に変貌させた2ndアルバム「Fun!」をリリース

結成から5年目を迎えたザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテットが、待望の2ndアルバムを11月28日に発売する。前作はカルテットのオリジナル曲を演奏したライブ盤だったが、今作は誰もが知る名曲の数々を彼らならではの形へ変貌させ、新たな作品として生み出している。今回は忙しいスケジュールの合間を縫ってメンバー全員に集まってもらい、アルバムの中身についてたっぷり話を聞いた。(協力:日本コロムビア株式会社)


 

メンバーの殻を打ち破る、メンバーならではのアレンジ

前作「DEBUT CONCERT」は、サックス四重奏のオリジナル曲を収めたアルバムでしたが、今作の選曲はどのようなコンセプトで決めたのですか?
上野耕平
前回とは違った角度で、広く親しんでもらうことをポイントにしました。誰もが知っている曲を我々ならではの演奏でやりたいと考え、そのために、素晴らしい作曲家の皆さんに新たな作品を書いていただこうとお願いしました。
新アレンジ、新曲を豊富に取り揃えていますね。『Watermelon Man』はメンバーの宮越さんのアレンジですが、選曲の理由は?
宮越悠貴
実は、僕が人前で初めて演奏した曲なんです。小学2年生の時、赤坂のB-flatというライブハウスで……。
上野
すごいですよね! 僕が小学2年で吹いたのは、地元の芋祭りの会場で「水戸黄門」のテーマだったよ(笑)。
宮越
お、芋とスイカだ(笑)。その時は、習っていた先生の仲間内が出演するライブで、先生が僕に合う曲として選んでくださったんだと思います。父が作ってくれたデモCDを延々かけながら、散々練習した思い出の曲です。初めてステージに立って、もらった拍手が嬉しかった記憶があります。今回は、思い入れのある曲がいいんじゃないかということで、これを選びました。
アレンジの際には、演奏するメンバーをイメージして書きますか?
宮越
かなり意識しますね。たとえば、特殊奏法のスラップタンギングは都築くんが得意なので、お任せしようとか。
都築 惇
スラップタンギングは、宮越くんの編曲作品によく出てくるので、「おお、来た!」と思いました(笑)。今回はレコーディングでしたから、やっぱり外せない。緊張感のある楽譜でした。
宮越
都築くんは、汚い音をわざと出すということを普段あまりやらないので、その殻を打ち破ってやれと思って、楽譜にも「ファンキーサウンド!」と書き込んで、煽ることにしました。
都築
普段の僕とはニュアンスを変えて吹かなくてはいけない曲なので、苦労しましたね。こう吹きたいという理想の音と、自分から出てくる音の違いを痛感して、近づくためにどうしたらいいか考え込みました。
宮越
都築くんはメンバーの中で一番自分に厳しいタイプなので、理想が高い。そのジレンマで苦しむだろうなと思っていました。僕は、テナーサックスを吹くときはジャズを演奏する場合が多いんです。だから、ゴリゴリのジャズのニュアンスのデモ音源を録って、都築くんにプレッシャーをかけました(笑)。
都築
あの音源を聞き入りましたよ(笑)。
宮越
もちろん、僕のように吹いてほしいわけじゃなくて、自分の表現で構わないんだけれど、殻を破るために焚きつけてやろうと(笑)。
都築
レコーディングの時にも、何回かやらせてほしいとお願いして、結構時間をもらいましたね。
宮越
めずらしいなと思いました。彼は自分のために時間を止めるタイプじゃないので、そこまでして向き合ってくれる姿が嬉しかったです。

プロフィール
The Rev Saxophone Quartet
(ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット)

Soprano Saxophone:上野耕平 / Alto Saxophone:宮越悠貴 / Tenor Saxophone:都築 惇 / Baritone Saxophone:田中奏一朗
2013年に結成。クヮルテット名の「Rev」とは、エンジンの回転などを意味する「Rev.」が由来。音楽のもつ無限なエネルギーを4人が音として奏で、1つの方向へ疾走したい、という思いを込めている。これまでに全国各地でリサイタルやアウトリーチ活動など、さまざまな演奏活動を行なう。第41回藝大室内楽定期に出演。また、サクソフォン四重奏のためのレパートリーはもちろん、新曲の委嘱や初演、ピアノや邦楽器などとの共演も積極的に行ない、サクソフォン四重奏のさらなる可能性を追求している。オフィシャルサイトhttp://columbia.jp/artist-info/rev/

 


Concert Information

「夜クラシックVol.19 The Rev Saxophone Quartet」
日時:12月6日(木) 19:30
会場:文京シビックホール 大ホール(東京)
料金:¥3,000(S席)、¥2,000(A席)
問合せ:03-5803-1111(シビックチケット)
曲目:月の光(ドビュッシー)/グラーヴェとプレスト(リヴィエ)/サクソフォン四重奏曲(ベルノ―)/ニュー・シネマ・パラダイス・メドレー(モリコーネ:石毛里佳 編)/虹の彼方に(アーレン:宮本大路 編)/クリスマス・ソング(ナット・キング・コール:宮本大路 編)/メモリーズ・オブ・ユー~シング・シング・シング(グッドマン:川崎 龍 編)/サクソフォン四重奏曲(デザンクロ)
 

CD Information
7月25日(水)発売

Fun!
Fun!

「Fun!」The Rev Saxophone Quartet
【COCQ-85442】¥2,500(税抜)

[曲目]G線上のアリア(J.S.バッハ:伊藤康英編)/カルメン幻想曲(ビゼー:萩森英明編)/Watermelon Man(ハービー・ハンコック:宮越悠貴編)/ふるさと狂詩曲(稲森安太己)/Mutations: A.B.C.(坂東祐大)
[演奏]The Rev Saxophone Quartet:上野耕平(Ss)、宮越悠貴(As)、都築 惇(Ts)、田中奏一朗(Bs)

 

次ページにインタビュー続く
・楽譜に余白を持たせれば、何度演奏しても楽しい
・レヴのカラーを打ち出せる絶妙なアレンジ
・聞けば聞くほど味が深まる“するめ曲”
・ひとりひとりが説得力のある素材であること

登場するアーティスト
画像

上野耕平
Kohei Ueno

茨城県東海村出身。8歳から吹奏楽部でサックスを始め、東京藝術大学器楽科を卒業。日本国内では早くから頭角を現し、学生時代にデビューを果たす。第28回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門において、史上最年少で第1位ならびに特別大賞を受賞。2014年には世界最高峰サックスコンクール、第6回アドルフ・サックス国際コンクールにおいて第2位を受賞。2016年のB→C公演では、全曲無伴奏で挑戦し高評価を得ている。常に新たなプログラムにも挑戦し、サクソフォンの可能性を最大限に伝えている。CDデビューは2014年「アドルフに告ぐ」、2015年にはコンサートマスターを務めるぱんだウインドオーケストラのメジャーデビュー、また2017年にはThe Rev Saxophone QuartetのデビューCDをそれぞれリリース。第28回出光音楽賞受賞。現在、演奏活動のみならず「題名のない音楽会」、「報道ステーション」等メディアにも多く出演している。昭和音楽大学非常勤講師。The Rev Saxophone Quartet、ぱんだウインドオーケストラコンサートマスター。

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