サックス記事 第61回グラミー賞2019にもノミネートされた 注目の女流奏者ティア・フラー
  サックス記事 第61回グラミー賞2019にもノミネートされた 注目の女流奏者ティア・フラー
[1ページ目│記事トップ
THE SAX vol.96

第61回グラミー賞2019にもノミネートされた 注目の女流奏者ティア・フラー

ARTIST

vol.96の表紙を飾ってくれたのはビヨンセのバンドなどで活躍し、現在バークリー音楽大学のプロフェッサーの肩書を持ちつつ、第61回グラミー賞(2019)で自身のリーダー作「Diamond Cut」がベスト・ジャズ・インストゥルメンタル部門でノミネートされるなど現在のサックス界でもとてもホットなプレイヤーの一人、Tia Fullerさんに登場していただきます。

ティア・フラー

今回の表紙を飾ってくれたのはビヨンセのバンドなどで活躍し、現在バークリー音楽大学のプロフェッサーの肩書を持ちつつ、第61回グラミー賞(2019)で自身のリーダー作「Diamond Cut」(Mack Avenue Records = www.mackavenue.com)がベスト・ジャズ・インストゥルメンタル部門でノミネートされるなど現在のサックス界でもとてもホットなプレイヤーの一人、Tia Fullerさんに登場していただきます。

Text / Interview / Photos: Yuki Tei (www.yukiteiphoto.com)
Special Thanks to: Hidemasa Sato at Yanagisawa, David Gould at Dansr-Vandoren USA (www.dgclarinet.com), Jack Finucane at Boston Sax Shop (www.bostonsaxshop.com),Sumiko Abe at SetShop NYC (www.setshop.com), and Jennifer DeChristoforo.

ティア・フラー
 

B♭の音を吹いた際の、その振動と響きはいまだに憶えています

Yuki
こんにちは。今日はお忙しい中ありがとうございます。今日は「Boston Sax Shop」のパフォーマンス・スペースをお借りしてインタビューさせていただいています。早速ですが音楽、サックスを始めたきっかけや育った環境などの生い立ちを聞かせてください。
Tia
アメリカのコロラド州、デンバーの郊外のオーロラで生まれました。家族構成は両親、姉、そして弟です。両親は教育関係者ですが、父親がベースを演奏し、母親はシンガーで、音楽をこよなく愛していました。音楽環境にはとても恵まれていました。最初の楽器はピアノでレッスンを始めたのは3歳のとき。9歳になったときにフルートを始め、サックスは11歳になったときに始めました。きっかけは私の両親が家でリハーサルをよく行なっていたのですが、そこにサックスプレイヤーがいて、私もいつかサックスを吹きたいという気持ちが芽生えました。フルートと運指が似ていることもあって違和感はまったくありませんでした。最初の楽器は私のお爺さんから譲り受けたものです。最低音のB♭の音を吹いた際の、その振動と響きはいまだに憶えています。“この楽器だ!”とね。
Yuki
いつ頃から将来プロのサックス奏者として生きていきたいと思ったのでしょう? 高校卒業後の進路は?
Tia
高校卒業後、私はジョージア州アトランタにあるSpelman Collegeに進学しました。(※注:アフリカン・アメリカン系の女子大学で数多くの分野で活躍する人材を輩出している)音楽学校ではないのですが、素晴らしいミュージックプログラムがありました。そこでJoe Jenningsという素晴らしいサックスプレイヤー及びジャズプログラムのディレクターである彼からサックスの基礎、音楽理論などみっちりと教えていただきました。私は大学に入ったころから将来は音楽でプロフェッショナルの道に進みたいと考えていました。もちろん大学卒業後はニューヨークに移り住むことを夢見て。アトランタはアメリカの南部で私が育った環境とはまた一転して違いましたが、そこで多くの “シスター”たちに出会い、アフリカン・アメリカンの女性としての意識や将来について多く語り合いました。とても素晴らしい経験でした。大学卒業が近づく際、ちょうど私の地元のコロラド州立大学のボルダー校の大学院から全額奨学金を得ることができました。実はこのプログラムの第一期生なの。その当時、私の中ではもっとサックスや音楽を学びたいという気持ちとともに、教育関係者の両親を持っていたことで教育についての重要性も十分に理解していたので、ニューヨークに移る前にいまがチャンスだと大学院に進みました。そして、大学院卒業後2001年にニューヨークに移りました。
Yuki
教育環境や素晴らしい教育者、音楽仲間や友人など出会いは大切ですよね。人との出会いはお金に換えられない財産です。音楽や芸術を学ぶ人にとってニューヨークという場所は最も刺激があり、影響がありますからね。私がニューヨークに来たのは10代のときで1990年代半ばだったので、すごくアメリカが経済やいろいろな分野で勢いがあった時代でした。
Tia
ニューヨークに来た日のことは未だに覚えているわ。2001年の9月9日。ちょうど911のテロがある数日前。それ以降はYukiもご存じのように経済が傾き、仕事も少なくなって大変な時期に突入する。ちょうどそんなころね。でもニューヨークに来たからには常にベストを尽くすと決めていたので、ジャムセッションや多くの場所に顔を出したの。そうしているうちに徐々に仕事を得られるようになりました。私は譜読みが得意で、ダブリング(フルートやクラリネットなど楽器の持ち替え)ができたので、これが幸いだったと思います。こういった要素はミュージシャンシップとしてとても大切なことだと思いますので皆さんも覚えていてください。
ティア・フラー

CD Information

Diamond Cut
Diamond Cut

「Diamond Cut」
【MAC1127】Mack Avenue
[収録曲]In the Trenches、Save Your Love For Me、I Love You、Queen Intuition、Joe'n Around、Crowns of Grey、The Coming、Soul Eyes、Delight、Fury of Da'Mond、Tears of Santa Barbara、Joe'n Around (alternate take)
[演奏]ティア・フラー(As)、デイヴ・ホランド/ジェイムス・ジナス(Bass)、ジャック・ディジョネット/ビル・スチュワート(Ds) 他

Mack Avenue Recordsから好評発売中。

 

次ページにインタビュー続く
・オーディションを勝ち抜いてビヨンセのバンドのメンバーに
・Terri Lyne Carringtonの推薦で2013年からバークリーで教鞭をとる
・私にとって欠かせない音楽パートナーのヤナギサワサクソフォーン
・インタビューを終えて(Yuki Tei)

登場するアーティスト
画像

ティア・フラー
Tia Fuller

米国コロラド州オーロラ出身のサックス奏者でバンドリーダー。柳澤管楽器アーティスト、Vandorenアーティスト、Mack Avenue Music Groupレコーディング・アーティスト。ビヨンセをはじめ数多くのアーティストと共演。教育者としてもバークリー音楽大学でプロフェッサーて多くの若い生徒の育成に励んでいる。自身の最新ルバムDiamond Cut」(Mack Avenue Recordsよりリリース)が第61回グラミー賞でベスト・ジャズ・インストルメンタル部門にノミネートされる。

[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2      次へ>      
サックス