サックス記事 渡辺貞夫 世界の最高峰と組んだ今夏のブルーノート公演を音盤化したNo.1レジェンド
  サックス記事 渡辺貞夫 世界の最高峰と組んだ今夏のブルーノート公演を音盤化したNo.1レジェンド
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THE SAX vol.98

渡辺貞夫 世界の最高峰と組んだ今夏のブルーノート公演を音盤化したNo.1レジェンド

ARTIST

70年近いキャリアを持ちながら未だ進化を続ける、日本が世界に誇るスーパー・ミュージシャン渡辺貞夫。今夏にブルーノート東京で開催されたライブでは、これまた世界のスーパープレイヤーと呼べる面々と熱いステージを繰り広げた。CD化もされたこの演奏の手応えを“世界のサダオ”が語った。

70年近いキャリアを持ちながら未だ進化を続ける、日本が世界に誇るスーパー・ミュージシャン渡辺貞夫。今夏にブルーノート東京で開催されたライブでは、これまた世界のスーパープレイヤーと呼べる面々との熱いステージを繰り広げた。それぞれイエロージャケッツ、チック・コリア・エレクトリック・バンド、そしてスタッフといったジャズ・フュージョン史に残る伝説的バンドのメンバーでもある、ラッセル・フェランテ(Pf)、ジョン・パティトゥッチ(Bass)、ステーヴ・ガッド(Ds)という顔触れだ。この歴史的な顔合わせによる演奏が、「SADAO 2019 ライヴ・アット・ブルーノート・トーキョー」としてCDに記録された。共演の熱い手応えを“世界のサダオ”が語った。

インタビュー・文:熊谷美広 写真提供:ブルーノート東京/撮影:佐藤拓央


本番1日目の1曲目、ブラシ・ワークから始めたスティーヴ・ガッド

今年の8月にブルーノート東京で開催された、ラッセル・フェランテ(Pf)、ジョン・パティトゥッチ(Bass)、スティーヴ・ガッド(Ds)というミュージシャンたちとのライブの模様が、「SADAO 2019 ライヴ・アット・ブルーノート・トーキョー」としてリリースされることになりましたが、このメンバーはどういういきさつで選ばれたのですか?
渡辺貞夫
たまたまみんなのスケジュールが空いていた、ということです(笑)。ただ、ガッドやパティトゥッチとやるのは久しぶりで、彼らがどういうふうに僕の曲にアプローチしてくれるかなという、そういう意味で期待感を持っていました。
特にスティーヴ・ガッドとは、「アース・ステップ」(1993年)のレコーディングとコンサート以来ですよね。
渡辺
そうなんです。その後も、ガッドが日本に来たときに会うことはあったんですけど、それぐらいしかなくて。だから僕の中での彼のプレイというのは、70年代〜80年代初期の、一緒にやった頃のイメージで止まっていたんですね。彼がどういうプレイをするのか、リハーサルをした時点でもまだ見えていなかったんですけど、本番1日目の1曲目、彼がブラシ・ワークから始めたので、“オーッ”っていう驚きがありました。リハーサルでもブラシは使っていましたけど、ステージで彼がどういうドラミングをするのかというのは、明確にはわからなかったから。僕のコンセプトを彼がキャッチして、ああいうプレイをしてくれたということが、僕にとっては非常に嬉しいことでした。それからは、日ごとに嬉しいハプニングが毎日ありました。
実際のライブも見せていただいたんですけど、みんなすごく楽しそうに演奏していましたね。
渡辺
今回は僕も初心に返ったような気分で演奏できました。パティトゥッチは、ウェイン(・ショーター)ともやっていますけど、彼がジャズに親しんだというか、初めてジャズをやったときのような心境だったんじゃないかと思います。プレイする中で、昔の懐かしいフレーズなんかが出てきたりするんですよね。ラッセルも、あの2人とやって楽しかったって言っていましたし、みんな、このメンバーで是非またやりたいって言ってくれました。最後の日のステージが終わって、ガッドがホントに嬉しい顔をしてハグしてくれたんです。あれは忘れられないね。
ベテラン揃いだったのに、とても新鮮な演奏ができたと。
渡辺
彼らにとっても新鮮だったんじゃないかな。僕自身にとっても、ストレート・アヘッドなリズムを久々に聴いたという感じがしています。ガッドとパティトゥッチが、頭を振りながら、いいタイミングで演奏してくれて、あれだけで嬉しくなっちゃいますよね。ステージでリズム隊があれほどタイトにやっているライブって、あまりないじゃないですか。だからほんとうに嬉しい出会いでしたね。
渡辺貞夫

 


CD Information

ブルーノートCD

「SADAO 2019 ライヴ・アット・ブルーノート・トーキョー」
ビクターエンタテインメント
【VICJ-61782】¥3,000(税別)
12月4日発売
[収録曲]バタフライ、プラム・アイランド、アーリー・スプリング、ウェイティング・ソング、ウォーム・デイズ・アヘッド、テンベア、アイ・ソート・アバウト・ユー、シェガ・ヂ・サウダーヂ、ライフ・イズ・オール・ライク・ザット、花は咲く、リズマニング
[演奏]渡辺貞夫(As)、ラッセル・フェランテ(Pf)、ジョン・パティトゥッチ(Bass)、スティーヴ・ガッド(Ds)
 

Live Information

渡辺貞夫クリスマスコンサート SADAO WATANABE Down East
12月7日(土) まつもと市民芸術館 主ホール
12月8日(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
12月10日(火) Billboard Live OSAKA
12月12日(木) 札幌文化芸術劇場 hitaru
12月14日(土) 横浜関内ホール(SOLD OUT)

SHISEIDO presents Christmas Gift vol.27 SADAO WATANABE Down East
12月15日(日) Bunkamura オーチャードホール(渋谷)(SOLD OUT)
[出演]渡辺貞夫(Sax)、ラッセル・フェランテ(Pf)、養父貴(Guit)、ベン・ウィリアムス(Bass)、ピーター・アースキン(Ds)


次ページにインタビュー続く
・アコースティックないい音を出しているミュージシャンと付き合いたい
・『アイ・ソート・アバウト・ユー』も『リズマニング』もステージでとっさに
・楽をしようと思えばいくらでも楽できるけど、楽をしたら楽した音しかしない
・ボザはジャズ・プレイヤーにとっても非常にいいエチュード

登場するアーティスト
画像

渡辺貞夫
Sadao Watanabe

1933年2月1日栃木県宇都宮市生まれ。チャーリー・パーカーに憧れ、1951年に上京してプロとしての活動を始め、1953年に秋吉敏子(Pf)のグループに参加して注目を集める。1961年に初リーダー作「渡辺貞夫』をリリース後、バークリー音楽院に留学。その後チコ・ハミルトン(Ds)やゲイリー・マクファーランド(Vib)などのグループに参加し、ブラジル音楽などにも触れて自身の音楽性を確立していった。1965年に帰国。1966年に「ジャズ&ボッサ」をリリースして日本にボサノヴァ・ブームを巻き起こした。1970年代から海外にも進出し、1970年代後半からはフュージョン的なサウンドにもアプローチ。1978年の「カリフォルニア・シャワー」は大ヒットを記録した。1983年に全米でもリリースされた「フィル・アップ・ザ・ナイト」は“ラジオ&レコード”誌のジャズ・チャートで1位を記録。その後も日本最高のアルトサックス奏者として精力的な活動を続けている。

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