サックス記事 真骨頂のファンク全開で5年ぶりの新作を完成させたクイーン・オブ・サックス
  サックス記事 真骨頂のファンク全開で5年ぶりの新作を完成させたクイーン・オブ・サックス
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THE SAX vol.111 Cover Story

真骨頂のファンク全開で5年ぶりの新作を完成させたクイーン・オブ・サックス

ARTIST
 

クイーン・オブ・サックスの称号もすっかり定着したキャンディ・ダルファー。本誌が発売される時期と前後して来日公演も予定されている彼女だが、5年半ぶりとなる待望のニューアルバムもリリースされた。原点であるファンクにフォーカスを絞って、本人を含むヴォーカルとサックスとのスリリングな絡みが堪能できる仕上がりとなった会心作「WE NEVER STOP」だ。そこで本誌では来日直前のタイミングでオンライン取材を敢行! 新作についてはもちろんのこと、コロナ禍での活動やヨーロッパの様子など貴重な話を聞くことができた。
(インタビュー・文:櫻井隆章/取材協力:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)

本国で自身のラジオ番組がスタート! 自宅に録音設備も!!

オランダのサックス・プレイヤー、キャンディ・ダルファーが5年半ぶりとなるニューアルバム「ウィ・ネヴァー・ストップ」を完成させた。もう期待通りのパワー・ミュージックで、彼女の魅力が最大限に発揮された内容となっている。早速、リモートで話を聞いた。

今回は5年半ぶりの新作となるわけですが、この5年間は何をされていましたか?
キャンディ・ダルファー
私たちは、とにかく世界をツアーしているのね。前のアルバムを出してからも、本当に休みなくツアーをしていたの。でもその間に曲を作ったりするのよね。なのだけど、私は実は一人で曲を作ったことがないのよ。曲のアイデアが浮かんだら……って、それは曲のイメージだったり、ちょっとした曲のフレーズだったり、あるいは曲のタイトルが浮かぶこともあるわ(笑)。そうしたアイデアを、いつも曲を作ってくれている人たちに話したり、連絡を入れたりして曲を仕上げていくのね。それが私たちのやり方なの。もちろん、この数年のコロナ禍の影響もあったけど、そもそもが、私たちのアルバムは創るのに時間が掛かるものなのよ。そして、実は私の家でサックスが録音できるようになったの。とは言え私の寝室なのだけど(笑)。あ、それと、私のラジオ番組も始まったのよ。去年だったか、一昨年だったかの夏から始まったのだけど、それをするのが最高に面白くて。チャーリー・パーカーからスナーキー・パピーまで、何でもかけているわ。もちろん、私の国の新人たちの音楽も、応援する意味もあって紹介しているのよ。

彼女、とにかくよく喋る。こちらが一つ質問を投げ掛けると、答えが3~5分も続くのだ。当方の質問への答えを返してくれると同時に、様々な他のことも思い出して喋ってくれるのである。そしてよく笑う。相変わらずの美貌は、リモートの画面越しにも魅力的だ。

ライブ・ツアーに出られなかったコロナ禍のヨーロッパ事情

この、コロナ(海外では「Covid19」と呼ぶ)の影響を教えてください。
キャンディ
そうね。私たちには影響は大きかったわ。最初の頃は自宅を出るのが怖くてね。でも、徐々にコロナのことが判り出し、私たちもジッとしていられないから、曲を作ったりとか、様々に活動を再開したの。つまり、ツアーやライブがないだけ、という状態にはなったと思うわ。私たちは、もう本当に世界中をツアーして回っていたから、それがなくなったのは確かに寂しかったわね。でも、確か去年か2年前の夏だったと思うけど、ハンガリーでライブができたのね。もう、何千人も観客が集まったライブだったのだけど、久々にライブの楽しみを味わえたわ。
何故にハンガリー?
キャンディ
いや、詳しくは判らないけど、きっと(と、腕に注射する動きをしながら)、ワクチンとか、そんなモノが上手くいった最初の国がハンガリーだったんじゃないかしら。ホント、詳しくは判らないけど。
そのハンガリーでは、お客さんはマスクをしていましたか?
キャンディ
いや、誰も(笑)。
そもそも、あなたの国、オランダでは?
キャンディ
もう、誰もマスクなんてしていないわよ(笑)。
 

次ページにインタビュー続く
・色々な要素を持った人たちが集まった「Diversity」なバンド
・「ジャズ・クルーズ」で親交を深めたマーカス・ミラーもゲスト参加
・マッド・サイエンティストが製作したサックスネックを愛用

●CD Information

「WE NEVER STOP」」
キャンディ・ダルファー


【VICP-65608】 ¥2,860(税込)
JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
[演奏]キャンディ・ダルファー(As,Vo)、イヴァン・ペロティ/カミロ・ロドリゲス/ドゥランド・ベルナール(Vo)、ジョーディ・カルフスヴェル (Key)、ウルコ・ベッド(Guit)、マーカス・ミラー/アロン・ホデック(Bass)、フィリップ・ラシター(Tp)、 他
[曲目]イヤーイヤーイヤー、モ・シーツ・アット・ザ・テーブル、ウィ・ネヴァー・ストップ、ディーパー、セイ・サムシング、レインドロップス、アフレイド・フォー・モア、ザ・ウォールズ・フィーチャリング・マーカス・ミラー、パースペクティヴ・フィーチャリング・ドゥランド・ベルナール、アロン・ホデック、フィリップ・ラシター、シンス・アイ・ファウンド・ユー、ノー・タイム・フォー・ディス、ザ・クライム、リマインズ・ミー・オブ・ユー
 
 

PROFILE
CANDY DULFER(キャンディ・ダルファー)

1969年9月19日、オランダ、アムステルダム生まれ。サックス奏者である父ハンス・ダルファー の影響で6歳からサックスを始め、父親の勧めによりローカル・ブラス・バンドに参加。11歳の頃にはハンスのバンドに参加し、レコーディングにも参加する。14歳で自身のバンド、ファンキースタッフを結成。オランダの音楽業界やマスコミが彼女の才能溢れるプレイに注目するようになる。その後、マドンナのツアーでのオープニング・アクトを務め、プリンスのステージで共演する。89年に、デイヴ・スチュワート(ユーリズミックス)に誘われ、オランダ映画『リリィ・ワズ・ヒア』のサウンドトラックに参加。彼女のサックスをフィーチャーしたタイトル曲はヨーロッパのヒット・チャートで1位となり、世界的に知られることとなる。90年に発表したファースト・アルバム「サクシュアリティ」はグラミーにノミネートされ100万枚を越えるセールスを記録。93年にはメイシオ・パーカーやタワー・オブ・パワーをゲストに迎えた「サックス・ア・ゴーゴー」を発表。『ピック・アップ・ザ・ピーセズ』のラジオ・ヒットによって幅広くキャンディの存在が知られることとなる。97年に発表した「フォー・ザ・ラヴ・オブ・ユー」は発売と当時に250万枚が全世界で売れてビルボードのチャートで2位を記録。2003年2月に発表されたプリンスのインストゥルメンタル・アルバム「Xpectation」やメイシオ・パーカーのアルバム「Made by Maceo」にもゲストで参加。2008年にはオランダで彼女の音楽的功績を讃えた『Golden Harp』賞を受賞する。

 
登場するアーティスト
画像

キャンディ・ダルファー
Candy Dulfer

1969年9月19日、オランダの首都アムステルダム生まれ。昼は自動車販売の仕事をこなしながら夜はサックス奏者として活動する父親ハンス・ダルファーの影響で5歳からサックスを始める。11歳の時に父のバンドに参加し、レコーディングも経験した。14歳で自身のバンド「ファンキー・スタッフ」を結成、オランダでの注目を集める。その後マドンナのオープニング・アクトを務めたり、プリンスとステージで共演するようになった。90年にはファースト・アルバム「サクシュアリティ」を発表。グラミーにノミネートされ、100万枚を売り上げる。93年には豪華ゲストを迎えたアルバム「サックス・ア・ゴー・ゴー」を発表、収録されたシングル『ピック・アップ・ザ・ピーセズ』が世界的な大ヒットとなった。日本でも圧倒的な話題となり、その美貌とステージングのカッコ良さから彼女に憧れてサックスを手にする若い女性が急増。来日回数も多く、会場にはサックスのケースを抱えた女性たちも多数つめかける。

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