サックス記事 映画「BLUE GIANT」公開!音楽制作秘話を担当演奏の3人が語る!!
  サックス記事 映画「BLUE GIANT」公開!音楽制作秘話を担当演奏の3人が語る!!
[1ページ目│記事トップ
THE SAX vol.112 Cover Story

映画「BLUE GIANT」公開!音楽制作秘話を担当演奏の3人が語る!!

ARTIST

2013年に連載がスタートし、シリーズ累計920万部超の人気を誇るジャズ漫画「BLUE GIANT」(原作:石塚真一)。各方面から“音が聞こえてくる漫画”と評されてきた本作のアニメ映画が遂に全国公開された。今回、劇中の音楽はピアニストの上原ひろみが担当。そして、主人公である世界一のジャズプレイヤーを目指す宮本大のサックスを演奏したのがオーディションでその座を勝ち取った馬場智章。本誌ではすでにお馴染みの若手NO.1テナーだ。さらに、仙台の高校で大と同級生だった玉田俊二のドラム演奏は、今やジャズからクラシックやJ-POPまで引っ張りだこで、馬場とは北海道時代からの幼馴染みである石若駿が上原ひろみのラブコールで参加。そして、大が東京で出会うピアニスト沢辺雪祈の演奏はもちろん上原ひろみが担当している。今回はこの3者それぞれにインタビューを敢行。演奏や作編曲の秘話を明かしてもらった。

インタビュー・文:佐藤英輔/写真:井村重人(アーニーズ・スタジオ)
取材協力:ユニバーサル ミュージック合同会社
イラスト・原画:高橋裕一/仕上:堀川佳典/特殊効果:土橋祥子(チップチューン)

 Part-1  馬場智章 Tomoaki Baba
(テナーサックス演奏担当)インタビュー

ジャズを題材に置く人気漫画「BLUE GIANT」のアニメ映画が公開された。そして、その主人公のテナーサックス奏者である宮本大の演奏を担当しているのが、馬場智章だ。宮本大としての演奏をまっとうするために、技巧と思慮に満ちた演奏を普段している彼は冥利を感じつつ、旧来のファンならあっと驚くような方策をそこで取っている。上原ひろみが手がけた同映画のサウンドトラックには、宮本大率いるトリオであるJASSとしての演奏が3曲収められ、そこで演奏しているのは馬場とともに、ピアノの上原とドラマーの石若駿。また、石若との竹を割ったようなデュオも1曲収録されている。馬場智章にとっての映画「BLUE GIANT」とは? そして、宮本大とは? サックス奏者のロマンとも繋がる、そこに込められた機微を尋ねた。

●Profile 馬場智章 Tomoaki Baba
2005年、タイガー大越氏により開催されたBerklee College of Musicタイアップの「北海道グルーブキャンプ」で優秀賞受賞、2010年、テリ・リン・キャリントン(Ds)が指揮するBerklee Summer Jazz Workshopのメンバーに選抜、奨学生として参加。2011年、バークリー音楽大学に全額奨学生として入学以来、テリ・リン・キャリントン、テレンス・ブランチャード(Tp)、ジェイミー・カラム(Vo,Pf)等のグラミー・アーティストと共演。2016年から4年間 「報道ステーション」のテーマ曲を所属するバンド「J-Squad」で手掛け、UNIVERSAL MUSIC JAPANよりアルバム「J-Squad」、「J-Squad Ⅱ」を リリースし「Blue Note Tokyo」、「Fiji Rock Festival 17」にも出演。2020 年 に自身初のリーダーアルバム「Story Teller」、 2022年4月に2ndアルバム「Gathering」を発表。

一から十まで宮本大として、普段の僕とは真逆に行きました

「BLUE GIANT」の演奏をほかの人がやるとなったら悔しいなあと

映画「BLUE GIANT」の音楽参加はオーディションだったんだそうですね。どんなオーディションだったんですか?
馬場智章
上原ひろみさんが演奏した『FIRST NOTE』のデモ音源が送られてきて、それを演奏した動画を自分で撮影して戻しました。オーディションはオンラインで実施されたので、何人ぐらいの参加者がいたかは分かりません。
「BLUE GIANT」だったら、やってみたいなという感じだったのでしょうか。
馬場
はい、ひろみさんが参加しているっていうのもありますし、「BLUE GIANT」の存在を知っていたので、その演奏をほかの人がやるとなったら悔しいなあと思いました。
上原さんとは学年は違いますが、バークリー音大の同窓になるんですよね。馬場さんは今、コロナ禍になってからはずっと日本にいらっしゃるんですか。
馬場
東京に2020年の秋ぐらいから住んでいます。今後、どうするかは思案中です。
実際に関与するようになる前、漫画の「BLUE GIANT」にはどんな印象をお持ちでしたか。
馬場
共感する部分もすごく多かったし、僕もかつてはこんな感じだったんじゃないかと思い出しました。あと、よく言われていますが、絵から音が聞こえてきそうな漫画ですよね。僕も読みながら、自分だったらどういう音が聞こえてくるのかなと考えたりもしていました。
自分だったらどう吹いて主人公の宮本大を描くかということについては、やはり熟考しましたか。
馬場
そうですね。ほかの楽器ももちろんそうですが、サックスっていろんな音の幅がありますから。どういう音が求められているのか、すごく悩みましたね。

次ページにインタビュー続く
Part-2上原ひろみ(音楽・ピアノ演奏担当)インタビュー
雪祈の繊細で優しく傷つきやすいイメージは演奏にも投影されています

Part-3石若 駿(ドラム演奏担当)インタビュー
ドラムをやったことがない子に教えた記憶を呼び起こし玉田の心情を想像

映画「BLUE GIANT」全国公開中!
 
ストーリー 「オレは世界一のジャズプレイヤーになる」
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大。 雨の日も風の日も、毎日たったひとりで何年も、河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業を機にジャズのため、上京。高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込んだ大は、 ある日訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会う。「組もう」大は雪祈をバンドに誘う。はじめは本気で取り合わない雪祈だったが、聴く者を圧倒する大のサックスに胸を打たれ、二人はバンドを組むことに。 そこへ大の熱さに感化されドラムを始めた玉田が加わり、三人は“JASS”を結成する。 楽譜も読めず、ジャズの知識もなかったが、ひたすらに、全力で吹いてきた大。幼い頃からジャズに全てを捧げてきた雪祈。初心者の玉田。トリオの目標は、日本最高のジャズクラブ「So Blue」に出演し、日本のジャズシーンを変えること。無謀と思われる目標に、必死に挑みながら成長していく “JASS”は、次第に注目を集めるようになる。「So Blue」でのライブ出演にも可能性が見え始め、目まぐるしい躍進がこのまま続いていくかに思えたが、ある思いもよらない出来事が起こり…….情熱の限りを音楽に注いだ青春。その果てに見える景色とは─。
 
©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 ©2013 石塚真一/小学館
 
原作:石塚真一「BLUE GIANT」(小学館「ビッグコミック」連載)
監督:立川譲 脚本:NUMBER 8
音楽:上原ひろみ
声の出演/演奏
宮本大:山田裕貴/馬場智章(サックス)
沢辺雪祈:間宮祥太朗/上原ひろみ(ピアノ)
玉田俊二:岡山天音/石若駿(ドラム)
アニメーション制作:NUT
製作:映画「BLUE GIANT」製作委員会
配給:東宝映像事業部
©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会
©2013 石塚真一/小学館
映画公式サイト:bluegiant-movie.jp
映画公式 Twitter アカウント:@bluegiant_movie
 
「BLUE GIANT」
オリジナル・サウンドトラック
【UCCJ-2220】 ¥3,300(税込) ユニバーサル ミュージック
[演奏]馬場智章(Ts)、上原ひろみ(Pf)、石若駿(Ds)、他
[曲目]Impressions、Omelet rice、Day by day、Kawakita blues、Ambition、BLUE GIANT ~Cello & Piano~、Motivation、In search of...、The beginning、Monologue、Forward、Another autumn、Next step、Challenge、Kick off、Samba five、N.E.W.、Recollection、 No way out、New day、Reunion、Count on me、Faith、Nostalgia、What it takes、WE WILL、From here、FIRST NOTE、BLUE GIANT
 
登場するアーティスト
画像

馬場智章
Tomoaki Baba

1992年生まれ。札幌ジュニアジャズスクールにてサックスを始め、2005年、タイガー大越氏により開催されたBerklee College of Musicタイアップの「北海道グルーブキャンプ」で優秀賞受賞、2010年、テリ・リン・キャリントン(Ds)が指揮するBerklee Summer Jazz Workshopのメンバーに選抜、奨学生として参加。2011年、バークリー音楽大学に全額奨学生として入学以来、テリ・リン・キャリントン、テレンス・ブランチャード(Tp)、ジェイミー・カラム(Vo,Pf)等のグラミー・アーティストと共演。2016年から4年間 「報道ステーション」のテーマ曲を所属するバンド「J-Squad」で手掛け、UNIVERSAL MUSIC JAPANよりアルバム「J-Squad」、「J-Squad Ⅱ」を リリースし「Blue Note Tokyo」、「Fiji Rock Festival 17」にも出演。2020 年 に自身初のリーダーアルバム「Story Teller」、 2022年4月に2ndアルバム「Gathering」を発表。

[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2   |   3   |   4      次へ>