THE SAX vol.114 Cover Story ニューヨーク自宅取材
日本ジャズ界のレジェンド穐吉敏子との長年のパートナーシップを語る
公私ともにパートナーである穐吉敏子と
暑い夏がまだ続いていますが、日本の皆さんいかがお過ごしでしょうか。今回は素晴らしいテナーマンであり、フルート奏者でもあるLew Tabackin氏に登場していただきます。日本でも多くのジャズ・ファンをはじめミュージック・ファンの間でとても人気のあるLewさん。
今回は彼のご自宅にお招きいただきました。インタビューと撮影の間に彼の長年のパートナーでもある穐吉敏子さんともワインを飲みながら少しお話をさせていただきました。
Special Thanks to:
Text/Photos by Yuki Tei(yukiteiphoto.com)
IG: @yukiteiphoto and @yukiteimusic
大学はクラシックのフルート科に。
卒業後は一時ニュージャージーで陸軍に入隊
Yuki
Lewさん、今日はお忙しい中ご自宅にお招きいただきありがとうございます。昨夜のMichiko Studioでの演奏のあとバーで少しワインをいただいたばかりですが……。早速ですが日本のジャズ・ファンおよびサックス・ファンにLewさんの生い立ちを知っていただきたいので、音楽との出会いや楽器を始めたきっかけなどお話をしていただけたらと思います。
Lew
昨夜は私の演奏を聴きに来てくれて、また写真も撮ってくれてありがとう。出身はフィラデルフィアで、家族は音楽家などではなく、ごく普通の家庭で育ちました。音楽との出会いは学校のバンドプログラムで楽器を始めたのがきっかけですが、最初の楽器はフルートですね。正式なレッスンを受けなかったのと、誰もフルートを教えてくれる人がいなかったのでほとんど独学でしたが、のちにクラリネットをはじめ、そのあとテナーサックスを吹き始めました。音楽に興味を持ったきっかけはベニー・グッドマンなどをラジオで聴くようになったころ近所にジャズが好きな大学生がいて、その影響でジャズをよく聴くようになりました。当時フィラデルフィアではジャムセッションが盛んに行なわれていて、高校入学後よくセッションに通いました。そのあと高校卒業後は地元の音楽大学のフルート科に入学しました。高校生のころはほぼ毎日のように練習したり、ジャムセッションに通ったり、バンドでの演奏などしていました。当時のフィラデルフィアはジャズの環境がとてもよかったですし、ニューヨークから来た多くのミュージシャンも演奏していました。当時は今のように音楽大学にジャズ科などはありませんでしたが。
Yuki
やはり環境は大切ですよね。大学を卒業後は将来プロのミュージシャンになり生計を立てたいと思っていましたか?
Lew
そうですね、当時は(今もですが)常に音楽に没頭していましたしね。その頃は大学卒業後には兵役があり、2年間ほど陸軍に在籍しました。ただ場所がニュージャージー州で、割とニューヨークからも近かったので、それは良かったですね。除隊してからはフィラデルフィアに戻りオルガントリオのバンドなどでよく演奏していました。軍隊在籍中に知り合った仲間たちともよく演奏しました。それからニューヨークに移ることになりました。
次ページにインタビュー続く
・ニューヨークでサド=メルのオーケストラやクラーク・テリーのバンドで活動
・穐吉敏子との結婚。そして秋吉敏子=ルー・タバキン・ビッグバンドの結成
・自分に合ったセッティングを見つけて、奏でたい音色を出せるように
・一音だけでいかに自分を表現できるかが、すごく大切な部分だと思う
●PROFILE ルー・タバキン(Lew Tabackin、1940年3月26日- )は、ニューヨーク在住のジャズ・フルート、テナーサクソフォーン奏者。ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。フィラデルフィア音楽院で学び、1963年から1965年は陸軍で演奏。1966年、ニューヨークに出て、メイナード・ファーガソン、キャブ・キャロウェイ、サド・ジョーンズ=メル・ルイスの各オーケストラに参加。1967年、夏に穐吉敏子と出会い、1969年結婚。1972年、当時所属していたドク・セヴェリンセンのオーケストラの移転に伴ってロサンゼルスに移り、1973年には穐吉敏子と共に秋吉敏子=ルー・タバキンビッグバンドを結成。1982年、ニューヨークに戻り、1983年1月秋吉敏子ジャズオーケストラ・フィーチャリング・ルー・タバキンを結成し、2003年に解散するまで、両バンドで30年にわたってプリンシパル・ソロイストとして数多くの曲でソロをとるなど中心的な役割を果たした。また自己のトリオでも活動している。
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