特集 デヴィッド・サンボーン アドリブ解析「Snakes」
デヴィッド・サンボーンのアドリブ・プレイにスポットを当てていく。まずは1992年に発表された名盤「アップフロント」に収録されたファンク・ナンバー『Snakes』のアドリブパートを題材にして松田氏に解析してもらう。
ここからはデヴィッド・サンボーンのアドリブ・プレイにスポットを当てていこう。まずは1992年に発表された名盤「アップフロント」に収録されたファンク・ナンバー『Snakes』のアドリブパートを題材にして松田氏に解析してもらおう。(文:松田靖弘)
アルバム「アップフロント」と『Snakes』について
アップフロント
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCR-28138 [92年]
アップフロント
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCR-28138 [92年]
前作「クローズ・アップ」がブライトでザラッとした炭酸が強めのサイダーのような80年代テイストだったのに対して、サウンド全体が筋肉質で濃厚な大人っぽい90年代らしい方向へ変わった。同時にサンボーン本人の音も図太いサウンドへと。まさに新時代へのターニングポイントといえる名盤が「アップフロント」である。
時代背景としては音楽のトレンドが全体的にシフトした時期で、デジタル技術の格段の進歩により、サウンド自体は古いもの、アナログなもの、暖かみのあるサウンドへの回帰が盛んに行なわれたころである。
1曲目に収録された『Snakes』はサンボーンの作品の中では珍しいゴリゴリのファンク・チューンである。EマイナーなのかEセブンスなのか判断しにくいブルースに根ざしたファンク・ミュージックにありがちな前半Xタイム繰り返しの一発モノとBメロ部分8小節でAパターンに戻る単純明快な2部構成である。エンディングにはCマイナーのC部分を用いたソロで締めくくっており、これはこれでまったく別モノの括りになる。
アドリブ内容はCのトーナルセンターという方向なので3度に関してもE♭を使用するマイナー部分とメジャーを表すEを用いる部分とがある。コード進行中にA♭を経由するのだがあえて無視し続けておいて佳境に入ったところでA♭をクローズアップさせるという老獪な手法を用いている。
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アドリブ・パート全体解説
まずは『Snakes』のアドリブ演奏でサンボーンが使用しているスケールについて解説してくれる。サンボーンのアドリブはペンタトニック中心と思われがちだが、実際にこの曲ではどうだろう!?
フレーズ・ポイント解説
「Snakes」の中の4つのソロについて、Pointを6つ挙げながら丁寧に解析していく。テクニックや演奏方法についても伝授してくれている。
Point 1. 楽譜[Solo1]
1〜5小節目 (CD Time 02:02〜)
Point 2. 楽譜[Solo1]
33小節目 (CD Time 03:09〜)
Point 3. 楽譜[Solo2]
6小節目 (CD Time 04:58〜)
Point 4. 楽譜[Solo2]
7、8小節目 (CD Time 05:00〜05:04)
Point 5. 楽譜[Solo4]
1小節目アウフタクト〜2小節目 (CD Time 06:09〜06:13)
Point 6. 楽譜[Solo4]
8〜11小節目 (CD Time 06:25〜06:30)
プロフィール
松田靖弘(まつだやすひろ)
1966年生まれ、静岡県出身。上京後、土岐英史に師事。浜田均バンドで活動をスタート。以降ジャズ、フュージョン、ラテン・バンドのライブ活動の他、矢沢永吉、EXILE ATSUSHI安部恭弘など、数々のアーティストのコンサート・サポート、レコーディング等に携わる。1996年「デビッドサンボーン名演集」(絶版)を出版。完全コピーの模範演奏が話題となる。現在はFunk Orchenstra TPOに参加。広い視野で音楽、演奏技術を伝えるため指導者としても活動している。