サックス記事 常にサックス界を牽引する須川展也氏が記念リサイタルを開催 「サクソフォン・クロニクル」
  サックス記事 常にサックス界を牽引する須川展也氏が記念リサイタルを開催 「サクソフォン・クロニクル」
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デビュー35周年アニバーサリー 2019年6月8日(土)

常にサックス界を牽引する須川展也氏が記念リサイタルを開催 「サクソフォン・クロニクル」

EVENT

須川は今年演奏活動35周年を迎え、6月に記念リサイタルを開催する。トルヴェール・クヮルテットのソプラノ奏者やヤマハ吹奏楽団の指揮者としても盛んに活動している須川だが、今回は「ソリスト」に焦点を当てた内容となった。プログラムは、デビューアルバムに収録されたものから最近の委嘱作品まで、35年間クラシックのみならずジャンルを超えた作品を演奏し続けてきた、その集大成のようなラインナップだ。

須川展也

サクソフォンを始めるきっかけは人それぞれだが、中でも中学校や高校の吹奏楽部で始めたという人は多いだろう。そんな人たちが必ず憧れるプレイヤーとして、押しも押されもせぬ存在が須川展也だ。自身が中学生の時に『アルルの女』を聞いて感銘を受けたクラシック・サックスの音色を世に広めたいという一心で、全国津々浦々巡ってはコンサートに出演、また現在のようにメディアの種類が増える前からテレビやラジオなどにも積極的に出演し、クラシック・サックスの音色をこの国に浸透させてきた。その活動は元々あったものを広めることにとどまらず、自ら多くの作曲家にオリジナル作品や編曲作品を委嘱して世界を広げており、中には現在クラシック・サックス オリジナル曲のスタンダード作品として世界中で親しまれているものも多い。今や国際コンクールの課題曲にも取り上げられる『ファジィバード・ソナタ』(吉松隆 作曲)などはその最たる例だ。

須川展也
 

須川は今年演奏活動35周年を迎え、6月に記念リサイタルを開催する。トルヴェール・クヮルテットのソプラノ奏者やヤマハ吹奏楽団の指揮者としても盛んに活動している須川だが、今回は「ソリスト」に焦点を当てた内容となった。プログラムは、デビューアルバムに収録されたものから最近の委嘱作品まで、35年間クラシックのみならずジャンルを超えた作品を演奏し続けてきた、その集大成のようなラインナップだ。
須川
グリーグの『抒情小曲集』はとても美しい曲で、これをサックスで吹いたら素敵だろうと思い、学生時代から兄貴と慕っていた作曲家の伊藤康英さんにアレンジしていただいてデビューアルバムの冒頭に収録したものです。ボザの『プルチネラ』は、この美しいクラシック・サックスのオリジナル曲として貴重で、広く紹介したいとデビューアルバムに入れた思い出深い曲です。当時はクラシック・サックスのアルバムなどほぼない状態で、制作会社を回っては断られ……という日々を思い出します(笑)。
当時はサックスといえばジャズや歌謡曲が主流。プレゼンが叶ってようやく1社が興味を示してくれ、最初で最後の一枚になるかもしれないという覚悟で収録したそうだ。
須川
ジョン・ウイリアムの『エスカペイズ』は映画音楽ですが、作曲者本人がサクソフォンを用いて書いているオリジナル作品です。フィトキンの『ゲート』は2000年代に入ってから書かれたもので、ミニマルミュージックの集大成みたいな曲。リズムは複雑ですが、聞くとひたすら楽しいですよ。西村朗さんに献呈していただいた『ハラーハラ』は、無伴奏サックス1本で演奏するいわゆる現代曲ですが、演奏する側は大変だけど聞く人は楽しめる、そういった曲です。ちょっとした演技やピアニストの小柳美奈子による語りも入ります。そして今最も注目されている若手作曲家でジャズミュージシャンである挟間美帆さんに委嘱した作品には、歴史的なジャズのフレーズがふんだんに盛り込まれています。彼女が今活動の拠点にしているニューヨークで感じているジャズの歴史と今を、クラシック・サックスの作品として残したいという思いが詰まった作品です。
曲のスタイルも生まれた国も様々ながら、どこか須川らしさを感じる今回のプログラム。タイトルだけ一見すると難しそうにも感じるが、実際には肩の力を抜いて、サクソフォンで奏でられる音楽の幅広さを感じられる曲揃いだと本人は話す。
須川
僕がコンサートをやるとなると、幅広いタイプの曲が並んでしまうんです。とにかくたくさんの人にこの音色を広めたい一心で、よく知られた曲をモチーフにした作品やオリジナル曲を織り交ぜるスタイルで35年間やってきました。それが一番わかりやすいプログラムになったと思います。まさにタイトル通り、クロニクル(系譜)です。今回も、応援してくださる皆さんへの感謝の気持ちと、これからもっとサックスを盛り上げていくぞ!という決意を持って演奏したいと思います。僕の好きな素晴らしい音響のヤマハホールで、演奏の隅々までじっくりお聞きいただけたら嬉しいですね。

 


Concert Information

Debut 35th anniversary 須川展也
サクソフォン・クロニクル

日時:2019年6月8日(土)14:00開演(13:30開場)
会場:ヤマハホール
出演:須川展也(Sax)、小柳美奈子(Pf)
曲目 グリーグ/伊藤康英:「抒情小品集」より「むかしむかし」「ハリング」「森の静けさ」、ウジェーヌ・ボザ:アリア,プルチネルラ、グレアム・フィトキン:ゲート、ジョン・ウィリアムズ:エスカペイズ(映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」より)、西村朗:《ハラーハラ》独奏アルト・サクソフォンのための(2016/献呈作品)、挟間美帆:サクソフォン・ソナタ第1番―秘色の王国―(2013/委嘱作品)
料金:一般¥4,000、学生¥3,000
問合せ:コンサートイマジン 03-3235-3777
http://www.concert.co.jp/

登場するアーティスト
画像

須川展也
Nobuya Sugawa

日本が世界に誇るサクソフォン奏者。そのハイレベルな演奏と、自身が開拓してきた唯一無二のレパートリーが国際的に熱狂的な支持を集めている。デビュー以来、長年にわたり同時代の名だたる作曲家への作品委嘱を続けており、その多くが国際的に広まっている。近年では坂本龍一『Fantasia』、チック・コリア『Florida to Tokyo』、ファジル・サイ『組曲』『サクソフォン協奏曲』等。東京藝術大学卒業。第51回日本音楽コンクール、第1回日本管打楽器コンクール最高位受賞。出光音楽賞、村松賞を受賞。98年JTのTVCM、02年NHK連続テレビ小説「さくら」のテーマ演奏をはじめ、TV、ラジオへの出演も多い。89年から2010年まで東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターを務めた。最新CDは16年発売の「マスターピーシーズ」(チック・コリア/ファジル・サイ/吉松隆)。トルヴェール・クヮルテットのメンバー、ヤマハ吹奏楽団常任指揮者、イイヅカ☆ブラスフェスティバル・ミュージックディレクター、静岡市清水文化会館音楽アドバイザー&マリナート・ウインズ音楽監督。東京藝術大学招聘教授、京都市立芸術大学客員教授。