齊藤健太 Kenta Saito [後編]
2019年に行われた「アドルフ・サックス国際コンクール」で、見事優勝を果たした齊藤健太さんがTHE SAX99号に初登場! そのインタビューの全容を、SAXONLINEでお届けします。後編となる今回は、サックスを始めたきっかけから今後の展望までをお聞きしました。
第7回アドルフ・サックス国際コンクールで第1位に輝く! 世界を驚かせたシンデレラボーイが凱旋!!
2019年に行われた「アドルフ・サックス国際コンクール」で、見事優勝を果たした齊藤健太さんがTHE SAX99号に初登場! そのインタビューの全容を、SAXONLINEでお届けします。後編となる今回は、サックスを始めたきっかけから今後の展望までをお聞きしました。(写真:井村重人)
流されて行き着いたサックスとの出会い
吹奏楽部の仮入部で、サックスの楽器体験をさせてもらったら、音もすぐに出ました。指使いはリコーダーと同じだと教わって、どうすれば音が高くなるか、低くなるかといった楽器の構造もすんなり理解できたので、これはいいかもと(笑)。
プロを目指して、ひたすら探求する日々
中学生の頃は、成長を実感できる時期だと思うんです。ゼロから始まって、毎日毎日練習してどんどん吹けるようになるのが嬉しかった。僕は飽きっぽい性格なので、本当に楽しいことじゃないと続かないけれど、サックスはずっと一生やれたらいいなと。それならば、目指すべきはプロだろうと当時から考えていました。
アドルフ・サックス国際コンクールの結果が出た時も、先生からすぐにメールが届きました。祝福と共に「ここからが大事で一番大変だから、頑張ってね!」という励ましの言葉をいただき、本当に嬉しかったです。
池上先生には、「夜の音を出せるようにしなさい」と何度も言われました。ソロだけでなく、室内楽のレッスンでも話していましたね。「夜はどういう時間だと思う?」と聞かれて、大学生の坊やにしてみれば“夜の音”なんて言われたら、よからぬことを考えますよね(笑)。先生は、「そんなんじゃないぞ!」と。夜は自分自身の内面と向き合える時間だと、話してくれました。あけっぴろげになるのではなく、内向的だけれど表向き。そして色のある音。「“内に秘めたる、確固たるもの”がある音を出しなさい」とずっとおっしゃっていました。
池上先生に教えていただいたことは、基礎的なことも含めてたくさんあります。今では、それらを自分の言葉に置き換えて、僕が指導している生徒たちに伝えています。
日本がスーパーな国になるために
実は、すでにメンバーも決定して、カルテットでの活動を始めています。僕はソプラノサックスの担当です。これから全国を周って演奏して、多くの方に聞いてもらいたいと思っています。
それから、ジャズプレイヤーへの委嘱にも興味があります。クラシックの体裁を保ちつつ、ジャズテイストをふんだんに織り交ぜた曲がもっとあっていいと思うんです。クラシック出身者でジャズのニュアンスが全然できない人が、あまりにも多いので。そこができるようになったら、本当に日本がスーパーな国になると思います。海外から入ってきたものをさらに良くして、逆に輸出してしまうという日本らしさに繋がるというか。日本の強みにするためには、そうした作品を生み出して勉強する場を作って、さらに浸透させていきたいです。
ブリッツフィルハーモニックウインズのコンサート情報はコチラから
http://blitz-winds.org/concerts/81" http://blitz-winds.org/concerts/81
アルトサクソフォン:ヤマハYAS-875EXG
マウスピース:セルマー S90 180
リガチャー:ハリソン
リード:バンドーレン青箱3½
齊藤健太
Kenta Saito
東京都出身。2015年、洗足学園音楽大学卒業、同時に優秀賞を受賞。2017年、東京藝術大学別科修了。第31回及び第34回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門第3位。第27回大仙市大曲新人音楽祭コンクール管楽器部門最優秀賞、並びに審査員推薦を受ける。
9th International Saxophone Competition Nova Gorica 第2位。2019年、第7回アドルフ・サックス国際コンクール第1位。洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団とH.トマジのサクソフォーン協奏曲で共演(秋山和慶指揮)。これまでにサクソフォーンを金井宏光、二宮和弘、須川展也、池上政人、林田祐和の各氏に、室内楽を池上政人、有村純親の各氏に、ジャズサクソフォーンを佐藤達哉、MALTAの各氏に師事。Saxophone Quintet “Five by Five”では「KENTA」として活動。ブリッツフィルハーモニックウインズ、コンサートマスター。