ムード・サックスを極める 〜ハーレム・ノクターン奏法解説〜
昭和のお茶の間に強烈なインパクトを残したムード・テナーの帝王サム・テイラー。今回は、ムード・サックスに欠かすことのできない歌いまわしや演奏法に迫るべく、平成のサム・テイラーと呼ばれる沢中健三氏にムード・サックスならではの“エモい奏法”を伝授してもらった。
ゴールデンタイムの歌番組やNHK紅白歌合戦へのゲスト出演、また日本国内で数多くのアルバムをリリースし、サックス愛好家のみならず昭和のお茶の間に強烈なインパクトを残したムード・テナーの帝王サム・テイラー。当時流行の歌謡曲や演歌、ブルースなどを情感たっぷりに歌い上げる演奏は、いまなお多くのファンを魅了して止まない。そこで今回は、ムード・サックスに欠かすことのできない歌いまわしや演奏法に迫るべく、平成のサム・テイラーと呼ばれる沢中健三氏にムード・サックスならではの“エモい奏法”を伝授してもらった。
ムード・サックス演奏の醍醐味
以前ラジオ番組の「ゆうゆうワイド」をやっていたときなど、ヘッドフォンをしながら演奏していますが、調子のいいときは『ティラリラリ〜』と低音に下がっていくようなフレーズで、一番下の音まで下がりきったとき、音は出てないんだけど最後の音をフッ、フッ、フッ、フッ、と息音だけ鳴らしていましたね。そういう気持ち良さを出来るだけ多くみつけて演るのがムード・サックスの醍醐味で、やりすぎということがない。恥ずかしさとかも取っ払ってやりきっちゃう。「まじめにふざける」その気持ちを持って演奏に臨んでみてはいかがでしょう。(沢中健三)
「ハーレム・ノクターン」について
沢中健三さん演奏による『ハーレム・ノクターン』を、サム・テイラーの演奏でおなじみのテナーサックスの他、アルトサックスのバージョンも本誌付属CDに収録してもらった。テナー、アルトそれぞれで一味違うニュアンスや雰囲気などお愉しみいただきたい。(編集部)
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奏法解説
グロウルやサブトーンといったムード・サックスに欠かすことのできない“エモい奏法”について、今回収録の『ハーレム・ノクターン』からそれら奏法が披露されている該当部分をピックアップ。沢中氏自ら各奏法のポイントとなる点や練習法について解説してもらった。本誌掲載楽譜と照らし合わせ、各奏法をマスターすべくトライしてみよう。
テナー、アルトそれぞれのバージョンで『ハーレム・ノクターン』を付属CDに収録し、演奏を完全採譜した楽譜は本誌掲載している。参考音源の他もちろんカラオケ音源も用意してあるので、哀愁たっぷりに昭和歌謡を歌い上げていただきたい。※本誌ではさらに、付属CD収録の『ラヴ・イズ・オーヴァー』『天城越え』のテナー用楽譜も掲載。
沢中健三(さわなかけんぞう)
ムード・テナーの帝王「サム・テイラー」のスタイルを受け継ぎ、「平成のサム・テイラー」を目指すべく、ポニーキャニオンよりCDデビューし、魅惑のステージを展開している。TBSラジオ『大沢悠里のゆうゆうワイド』の専属サックス奏者として、約4年間の月いちレギュラー出演を経て、現在、主に中高年層を主体としたイベントやコンサート、各地域の余興等で活動中。オフィシャルサイト:https://sawakenmood.com
また、別名「淡谷三治」を名乗り、バンド「MEN'S5」ではヴォーカルや作詞作曲を務め、1994年『"ヘーコキ"ましたね』で有線放送大賞新人賞を受賞。その他『とってもウマナミ』は、アニメ「みどりのマキバオー」のエンディング曲としても知られている。それと並行し、大人パンクバンド「LASTORDERZ」ではベースや作詞作曲を務めている。さらに、本名「佐藤公彦」では、「SALLY」や「VIBRASTONE」にサックスで参加し、海外のフェスやイベントにも参加。その他の活動としては、矢沢永吉、福山雅治、バブルガム・ブラザーズ、関ジャニ∞、EXILE、小泉今日子、ゴスペラーズ…他、数多くのバックバンドやレコーディングに参加、今日に至る。