グラミー賞のステージにも立ち 大きくキャリアアップした真の実力者 ダニー・マッキャスリン
2017年の第59回グラミー賞では亡きボウイに代わって受賞のスピーチに立つなど一気に陽の当たる場所へと登場したダニー・マッキャスリン。ボウイからの影響を滲ませた新作「ブロウ」を携え来日した彼に、バークリー時代からの旧友・三木俊雄氏が迫った。
ニューアルバム「ブロウ」を引っさげて来日公演を敢行した鬼才に旧友が直撃!
過去には本誌2017年5月号vol.82で表紙を飾ったこともあるダニー・マッキャスリン。隠れた実力派として、マニアの間では以前から注目されてきた彼だが、2016年に発表されたデヴィッド・ボウイの遺作「★」に参加したことで、環境は一変した。2017年の第59回グラミー賞では亡きボウイに代わって受賞のスピーチに立つなど一気に陽の当たる場所へ。ボウイからの影響を滲ませた新作「ブロウ」を携え来日した彼に、バークリー時代からの旧友・三木俊雄氏が迫った。
(インタビュー・文:三木俊雄/協力:ブルーノート東京/ライブ写真撮影:山路ゆか)
今こそ新しい領域 "New Category" に踏み出すべきだと思った
- 三木
- お久しぶりです。今回はリーダーとしての2回目の来日ですね。
- Donny
- また日本に来られて本当にうれしいよ。
- 三木
- 今回は新しいアルバム「ブロウ」を携え、ヴォーカルをフィーチャーしたロック色の強いバンドだね。ある意味かなり大胆な方向転換じゃないかな。
- Donny
- 多分ビックリしたんじゃないかな?僕もビックリしているんだよ(笑)。こんなバンドを始めるなんて思わなかったし。
- 三木
- もちろんそれにはキーメンバーとして参加し、グラミー賞を受賞したデヴィッド・ボウイの アルバム「★(Blackstar)」 の影響があると思うんだけど、そのあたりの経緯を教えてくれないかな。
- Donny
- あのアルバムはもともとマリア(・シュナイダー)のところにきた話だったんだ。彼女のオーケストラでレコーディングして、そこで僕のことを気に入ってくれたんだ。彼はサックスも吹くだろ? マリアを通して彼のマネージャーから連絡があり、ヴィレッジの "55Bar" でやっている僕のバンドを観に来てくれたんだ。
- 三木
- あの狭い店にデヴィッド・ボウイが?
- Donny
- そうなんだ(笑)。そこで彼とメールアドレスを交換し、それからは直接連絡をとるようになった。
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プロフィール
ダニー・マッキャスリン Donny McCaslin
1966年8月11日アメリカ、カリフォルニア生まれのサックス奏者。ジャズシーンの最前線にいながらクロス・ジャンルで新たな地平を目指す鬼才。高校時代からジャズを学び、その後バークリー音楽大学に進む。90年代になるとマイケル・ブレッカーの後任としてステップス・アヘッドに参加。その後も様々なアーティストたちのサイドマンとして活躍を始める。2000年代になるとマリア・シュナイダー・オーケストラでも活動し、その人脈で知り合ったデヴィッド・ボウイと「★」で共演、世界的な注目を集めた。「★」で第59回グラミー賞(ベスト・ロック・パフォーマンス)を受賞したときには亡きデヴィッド・ボウイの代わりに受賞スピーチを行なった。
https://www.youtube.com/watch?v=vrUu418i8MQ
CD Information
【SICX-30061】¥2,500(税別)
ソニーミュージック
[収録曲]What About the Body、Club Kidd、Break the Bond、New Kindness、Exactlyfourminutesofimprovisedmusic、Tiny Kingdom、Great Destroyer、The Opener feat. Sun Kill Moon、Beast、Tempest、Eye of the Beholder、TOKYO
[演奏]ダニー・マッキャスリン(Ts,Fl,Cl)、ジェイソン・リンドナー(Key)、ティム・ルフェーブル/ネイト・ウッド/ジョナサン・マロン(Bass)、マーク・ジュリアナ(Ds)、ベン・モンダー(Guit)、スティーヴ・ウォール(Key,Guit)、ライアン・デール、ジェフ・テイラー、ゲイル・アン・ドーシー、サン・キル・ムーン(Vo)
次ページにインタビュー続く
・ボウイとの結びつき
・ずっと使い続けている楽器について
・Live Report ブルーノート東京 2月7日(木)
ダニー・マッキャスリン
Donny McCaslin
ダニー・マッキャスリンは、1966年米カリフォルニア州サンタ・クルーズ生まれ。音楽に傾倒した父親の影響で、幼い頃からジャズに興味を持つ。12歳の時にテナーサックスを始め、ジャズ系の授業で有名な高校に入学すると自分のバンドを組み、3年連続でモントレー・ジャズ・フェスティバルに参加。またサンタ・クルーズの非営利ジャズ教育機関で多くの時間を過ごす。1984年バークリー音楽大学に入学すると、ゲイリー・バートン、ジョージ・カゾーンらに師事する。1991年NY移住後は、エディ・ゴメスのバンドに参加、またゴメスの紹介でマイケル・ブレッカーの後任としてステップス・アヘッドに加入。2000年代前半には、それまでエキストラ参加だったマリア・シュナイダーのオーケストラにレギュラーとし加わる。リーダーしている。中でも2016年9月にリリースした自身のカルテットでボウイに捧げたアルバム「ビヨンド・ナウ」は、ジャズシーンのみならずロックファンの間でも話題となり、脚光を浴びる。「★」で第59回グラミー賞(ベスト・ロック・パフォーマンス)を受賞したときには亡きデヴィッド・ボウイの代わりに受賞スピーチを行なった。