Jean=Denis Michat ジャン=ドニ・ミシャ
24歳の若さでリヨン地方音楽院の教授に、そして翌年にはパリ国立高等音楽院の助教授に任命されるなど、すでに20代からその才能が高く評価されているサクソフォン界の鬼才ジャン=ドニ・ミシャ氏。同氏の教え子でもあるサックス奏者の安 泰旭氏がインタビューを行なった。
音楽の中の本物の感情を生み出すこと、そして“特別な瞬間”との出会いを作ること
24歳の若さでリヨン地方音楽院の教授に、そして翌年にはパリ国立高等音楽院の助教授に任命されるなど、すでに20代からその才能が高く評価されているサクソフォン界の鬼才ジャン=ドニ・ミシャ氏。海外で研鑽を積み、現在日本で活躍している若手サクソフォン奏者により結成された「インペトゥス・サクソフォン・アンサンブル」の第一回演奏会が今年5月に開催され、そのゲストとして同氏は来日した。そこで、同氏の教え子でもあるサックス奏者の安 泰旭氏がインタビューを行なった。
(インタビュア:安 泰旭(Taewook Ahn))
9人全員がソリストとしても高い技術を持つインペトゥスと共演
- 安 泰旭(以下、安)
- 今回は何度目の来日ですか?
- ジャン=ドニ・ミシャ
(以下、JD) - 日本に来るのは二回目だけど、今回の来日は18年ぶりだね。
- 安
- 今回、日本で演奏されてみていかがでしたか?
- JD
- 今回のツアーでの演奏は僕だけのソロのコンサートではなく、インペトゥスのメンバーと、また自分もアンサンブルのメンバーの一員として演奏できて、本当に素晴らしい時間を過ごすことができたよ。今回は3都市で演奏したけれども、お客さんの雰囲気が全然違ったのがすごく興味深かったね。
全体を通して聴衆の聴くことにおいての集中力、緊張感は一貫して高く、それが演奏する側にも伝わってきて、日本の聴衆の質の高さにも感動したよ。 - 安
- インペトゥスはどうでしたか?
- JD
- 最悪だったよ(嘘)。僕は本当にインペトゥスのみんなを愛しているし、音楽性、技術すべてにおいて素晴らしいと思う。インペトゥスにはインペトゥスの音、インペトゥスの音楽がすでに存在している。
そして改めて言いたいのは、僕と君たちはイコールな関係だということ。もちろん僕は君たちより歳を取っているから経験は君たちよりもあるけれども、先生と生徒という関係ではなく、僕たちはプロフェッショナルなアーティストとして同等な関係だと今回のツアーでも証明できたと思う。
またインペトゥスの素晴らしいところは、9人全員がソリストとしても高い技術を持っていて、それぞれが切磋琢磨し合っていることだよ。 - 安
- ありがとうございます。さっそくですが、いつからサクソフォンを?
- JD
- サクソフォンは8歳の時に始めたんだけど、最初についた先生はクラリネットが一番得意で、アコーディオンがその次に上手くて、サクソフォンがちょろっと吹けるバル(酒場)で演奏してるような方だった。しかも、初めに手にしたサクソフォンはアルトじゃなくてソプラノだったんだよね。クラリネットの先生だったから同じB♭管で教えやすかったんだと思うよ(笑)。
でも音楽家としては本当に素晴らしい方だったね。
プロフィール
Jean=Denis Michat ジャン=ドニ・ミシャ
1990~99年までパリ国立高等音楽院でサクソフォン、作曲、音楽史を学ぶ。24歳でリヨン地方音楽院の教授に、更に一年後パリ国立高等音楽院の助教授に任命される。 ソリストとして、そして教育者として、20を超える国々でマスタークラスやコンサートを行なっている。また作曲家としても優れ、彼の作品はトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団やカリオペ聖歌隊等の著名な楽団等でも演奏されている。現在は即興や民族音楽、決まった形のないオープンな音楽と、自身のインスピレーションを混血させた作品を書いている。 1997年からヤナギサワサクソフォンを愛用。現在はA-9930、S-9930、T-992(ネック#95を装着)を使用している。
次ページにインタビュー続く
・ヤナギサワサクソフォーンを1997年から愛用し22年が経つ
・日本人は人の気持ちを優先し自分の気持ちを抑えてしまう
・Concert Review |インペトゥス・サクソフォン・アンサンブル 第一回演奏会 ジャン=ドニ・ミシャ氏を迎えて(栗林 肇)
ジャン=ドニ・ミシャ
Jean=Denis Michat
1990~99年までパリ国立高等音楽院でサクソフォン、作曲、音楽史を学ぶ。24歳でリヨン地方音楽院の教授に、更に一年後パリ国立高等音楽院の助教授に任命される。 ソリストとして、そして教育者として、20を超える国々でマスタークラスやコンサートを行なっている。また作曲家としても優れ、彼の作品はトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団やカリオペ聖歌隊等の著名な楽団等でも演奏されている。現在は即興や民族音楽、決まった形のないオープンな音楽と、自身のインスピレーションを混血させた作品を書いている。 1997年からヤナギサワサクソフォンを愛用。現在(2019年)はA-9930、S-9930、T-992(ネック#95を装着)を使用している。