サックス記事 ソプラノサックス愛に溢れたニューアルバムを完成させた美しき本格派
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THE SAX vol.117 Interview

ソプラノサックス愛に溢れたニューアルバムを完成させた美しき本格派

ARTIST

ファッションモデルばりの華やかなヴィジュアルとは裏腹に、クラシックとジャズのサックスを高いレベルで学び、揺るぎない実力を備えた中園亜美。本号の表紙を飾ったTHE JAZZ AVENGERSでは、ソプラノでトップパートを担う彼女が、自身のソロアルバムも完成させた。結成から今年で10年になる「AMI NAKAZONO BAND」の面々とのレコーディングで、ライブ感あふれる充実の3rd作に仕上がった!
インタビュー・文:金澤寿和/写真:井村重人(アーニーズ・スタジオ)
取材協力:エレックレコード株式会社、株式会社インアンドアウト

皆さんについて行く状態から、自分が先頭に立てる、そういう準備が整った

新作リリース・ツアー前半が終わりました。手応えはいかがですか?
中園亜美
サイコーでした。デビューからの10年、アルバムもツアーもずっと同じメンバーで、バンドとしてやって来られたので、喜びが大きいんです。最初の頃とは全然違ってきていますし。
どういうところが変わりました?
中園
最初は楽曲もバンドも、すべてアレンジャーの安部潤さん主導でした。渡されたラフなプリ・プロダクションを聴いて、じゃあ私はメロディ書きま〜す!という感じで。そもそも私はフュージョンを通ってない。クラシックからジャズへ行って、音大の途中からずっとアメリカだったので、日本のフュージョンの独特なコード進行やグルーヴには慣れてなくて、アプローチの仕方や楽曲自体もすごく難しかった。だから最初はついて行くだけで必死だったんです。自分のフィールドではないのに、そこで看板を張る流れが先にできてしまって。
2作目を出した後、6年のブランクが空きました。
中園
はい、すごく悩みました。一度ニューヨークに戻ろうとか、もう一回スタンダードからやり直すかと。でもコロナがあって身動きできないまま、LE GRAND RETOUR(Key竹田麻里絵とのデュオ)でR&Bっぽいのをやり、潤さんの和楽器フュージョン・バンド:坐音に参加し、森田真奈美さんとのプロジェクトThe JazzlesでJ-Popのジャズ・アレンジをやって、ジャズ・アベンジャーズも動き始めて……。そうやって様々なライブで場数を踏み、経験を積みました。その中で亜美バンドを続けてきて。そうしたら少しずつ吹っ切れてきたというか、何とか看板張っていけそうだなと、気持ちが固まって。事務所が変わり、マネージャーやスタッフがついて、チームで一緒に考えてくれる人ができたのが大きいと思います。それで少し気持ちの余裕が生まれた。それまでは全部自分で考えて、自分で準備し、演奏以外でも自ら動いてきた。それがようやく音楽とライブに集中できるようになって、今度は演出とか全体のプロデュースにも目が配れて、自分の活動を客観的に組み立てられるようになりました。やっと自分軸でアルバム作りができた、そういう手応えを感じています。
ではこの空白は、音楽的成長というより、自分のソロ活動をゼロから再構築するのに必要な時間だったと……?
中園
そうです。自分ならどうする、私はこうしたい、それが分かって、だったらこうしなきゃ、というのが見えてきた。皆さんに付いて行く状態から、自分が先頭に立てる、そういう準備が整ったと思います。このアルバムも、全体のコンセプトや曲のアイデアを私から潤さんにお伝えし、それからスタジオでテンポとかフィールを決めていきました。自分の中から生まれたので、作品にも自信が持てるようになったんです。

次ページにインタビュー続く
・ソプラノの音色の素晴らしさを伝えるモノにしたくて、それが実現できた
・すぐにレコーディングで使うほどフィットしたウッドストーンのソプラノ

 

 CD Information
 
「On and On」中園亜美

【YZAG-1120】¥3,000(税込)
エレックレコード

[演奏]中園亜美(Ss,As,Ts)、安部潤(Pf,Key)、武藤良明(Guit)、田中晋吾(Bass)、高田真(Ds)、ルイス・バジェ(Tp)

[曲目]Overture、On and On、Reunion、life、Is this love?、LOARDING...、19686、Clover、Spring fever、Camel、You
 

●PROFILE
中園亜美 Ami Nakazono
1986年鹿児島市出身。福岡第一高等学校音楽科卒業。洗足学園音楽大学Jazz科からBerklee音楽大学へ編入。サックスをWalter Beasleyらに師事。卒業後、ニューヨークを拠点にアメリカ、ヨーロッパで活動した後、帰国し2014年より東京に拠点を移しソロとしての活動を本格的にスタートさせる。2015年サウンド・プロデューサーに安部潤を迎えたアルバム「Make It Happen!」を発表。2016年には世界配信シングル『She’s Home』と『World Connection』を リリース。2017年ワシントンDCにある老舗ジャズクラブ「Blues Alley」での単独ライブを成功させる。2018年に2ndアルバム「The Real」 をリリース。2020年に竹田麻里絵(Key)とのDuoユニット“LE GRAND RETOUR”でシングル『GENE』をデジタル・リリース。現在、川口千里率いるTHE JAZZ AVENGERSの一員としてアルバム・リリース&ツアーを行なう。加えて安部潤(Key)リーダーの和楽器フュージョンバンド“坐音”や、森田真奈美とのJ-POPをJazzアレンジするプロジェクト“The Jazzles”のメンバーとしても活動する。

 

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