サックス記事 当代随一のスター・サックスプレイヤーが新作を携えて4年ぶりに来日!
  サックス記事 当代随一のスター・サックスプレイヤーが新作を携えて4年ぶりに来日!
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THE SAX vol.118 Interview

当代随一のスター・サックスプレイヤーが新作を携えて4年ぶりに来日!

ARTIST

プロ、アマチュア問わず、日本のサックスプレイヤーからもフェイバリットとして名前を挙げられることが多いカーク・ウェイラム。ジャズ、フュージョン、スムースジャズ、R&B、ゴスペルなど、様々なジャンルを消化した懐の深い音楽性と飛び抜けた演奏技術、そして高いエンターテインメント性も兼ね備えた真のスタープレイヤーと呼べる存在だ。そんな彼がコロナ禍を経て4年ぶりに、それも新作を携えて来日を果たした。

インタビュー・文:櫻井隆章
取材協力:株式会社ブルーノート・ジャパン/株式会社キングインターナショナル
Top Photo & Live Photo by Makoto Ebi

音色の良さに加えて重量の軽さも魅力なP.モーリアのサックス

 

本年(2024年)6月に4年ぶりの来日を果した人気サックス奏者のカーク・ウェイラム。ニューアルバム「Epic Cool」を発表し、満を持しての日本公演だった。まずはその辺りから話を聞いた。このアルバム、実に多くの場所でレコーディングが為されているのだ。何故?
カーク・ウェイラム
昔は、確かにメンバー全員が集まって、一緒にレコーディングをしたよね? でも、様々な技術が発達して、そんな必要はなくなってきた。誰もが自宅にスタジオを持って、自宅で録音ができる時代になっているんだよ。でも、アルバムでのクレジットには、何処でレコーディングしたかを明記しなければいけないだろ? だから、ああいった表記になったんだよ。
なるほど。データのやり取りでアルバムが出来上がる時代になっている、ということですね。今回のアルバムのプロデューサーはグレッグ・マニングですが、彼とはどのようなきっかけで知り合ったのですか?
カーク
昔は、確かにメンバー全員が集まって、一緒にレコーディングをしたよね? でも、様々な技術が発達して、そんな必要はなくなってきた。誰もが自宅にスタジオを持って、自宅で録音ができる時代になっているんだよ。でも、アルバムでのクレジットには、何処でレコーディングしたかを明記しなければいけないだろ? だから、ああいった表記になったんだよ。
で、あなたはポール・モーリアの楽器を使っていますが、いつからですか?
カーク
もう、6年も前からになるかな? その前にはカイルヴェルトを長年使っていてね。でも、ポール・モーリアに替えて、さらに最近このモデル(PMXT-66RBX)に替えたんだ。前のモデルはPMXT-66RCLといってコニャック・ラッカーという仕上げになっていた。いまの楽器はブラックニッケル・プレートなんだ。ポール・モーリアのサックスで気に入っている点は、まずはもちろん音色だね。それと、これも重要なんだけど軽いところが好きなんだよ。実は僕が使っているネックは支柱を取り付けてあるので少し重くてね。なので、サックス本体は軽いものに限るんだ。ほら、僕のネックを持ってごらん?(筆者注:本当に重かった)ね? 重いだろ?

次ページにインタビュー続く
・ホイットニー・ヒューストンのTVライブ中に折れたネック
・ソプラノはあらゆるところから音が鳴るからスタンドマイクで吹く

CD information
 
「Epic Cool」
カーク・ウェイラム

【ART-7084】¥1,650(税込) ARTISTRY
[演奏]カーク・ウェイラム(Ts,Ss,Bs,Fl,Picc,Pf,Key,Prog,Vo)、ケネス・ウェイラムⅢ(Ts)、マイケル・パッチェス・スチュワート(Tp)、カメロン・ウェイラム(Tb)、グレッグ・マニング(Key,Pf,Org,Prog)、ジョン・ストッダート(Key,Pf,Vo)、アンドレア・リサ(Guit,Vo)、ドク・パウエル(Guit)、マーカス・フィニー(Ds,Vo)、カイル・ウェイラム(Bass)、ルイス・コンテ(Perc) 他
[曲目]Bah-De-Yah!、Crusaderation、Pillow Talk、Epic Cool、Through the Storm、Kori feat. Doc Powell、Love & Healing feat. Andréa Lisa、MF feat. Marcus Finnie & The Kirk Whalum Band、Film Noir、Well Alright feat. Andrew Ford & Nick Mancini、You & Sunday Morning
 
 

 

 

登場するアーティスト
画像

カーク・ウェイラム
Kirk Whalum

1958年、テネシー州メンフィス生まれ。父親が牧師で、幼い頃からゴスペルやR&B に親しむ。9歳でドラムを、高校に入るとサックスを演奏し始める。ヒューストンの南テキサス大学に入学、在学中テキサス・テナーのアーネット・コブに魅了され薫陶を受ける。1983年にボブ・ジェームスのグループに入り、プロとしての本格的なキャリアをスタート。1985年にジェームスのサポートによりタッパン・ジー・レコーズから「Floppy Disk」でソロ・デビュー。1980年代後半から1990年代前半にはクインシー・ジョーンズ、ルーサー・ヴァンドロス、アル・ジャロウ、ホイットニー・ヒューストンらと共演。数多くのアーティストとの交流を深め、ホイットニー・ヒューストンのメガ・ヒット『アイ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー』でのサックス・ソロは彼が担当している。2000年代以降はスムース・ジャズ・ブーム旗頭的存在としても活躍。デイヴ・コーズが主宰するランデヴーからスマッシュ・ヒットを放った。2012年にジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマンに捧げたカバー・アルバム「ロマンス・ランゲージ」を、2015年に「The Gospel Accordingto Jazz」第4弾をリリース。来日回数も数多い。

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