Forestone Saxophoneの新素材Red Brassを松下洋がチェック!
Forestone Saxophone の最上級モデル「RXモデル」に、レッドブラス製のニュー・ラインナップが加わった。管楽器によく使われている七三黄銅(銅の含有率70%)に比べ銅の含有率が高いということもあり、コパー特有のダーク且つまろやかな響きが特徴的だ。さらに、音響機器で導入されている 液体窒素を使用した『超低温処理』により、響きが格段にアップしている。同モデルには、オールジャンルで使える“クリアラッカー(CL)仕上げ”と、使い込む内に風味が増していく“アンラッカー(UL)仕上げ”の2種類が存在する。アンラッカー仕上げのモデルにはヴィンテージ楽器のセルマー・バランスドアクションを彷彿させるオクターブキィの形状をもった“ジャズネック”が付属。ジャズマンの心をくすぐるモデルだ。今回は、先頃クラシック音楽からジャズへの転向を表明した松下洋氏に、クラシック、ロック、ジャズのセッティングで仕上げ違いの2つの楽器を試奏してもらった。
試奏の前に
松下 昨年、フォレストーン社を訪問した際に、RXモデルのイエローブラスをはじめ、いろいろな製品を試奏させてもらったのですが、全体的にまろやかな音色で、他にはない“オリジナルなサウンド”を持っていると感じました。珍しい材質なのでリリース当初から興味を持っていた同社の「カーボンネック」も試しましたが、息を入れてから「楽器の鳴りきった状態」までの到達が異常なほど速く、そこを軸に作られるサウンドの幅が新鮮で、ロックのサウンドにピッタリだと感じました。以来、僕がリーダーを務めている「Tokyo Rock'n Sax」ではカーボンネックを愛用しています。
今回試して頂いた3つのセッティング
● クラシックのセッティング
マウスピース : バンドーレン・オプティマムシリーズ AL3
リード : バンドーレンV12 3-½番
リガチャー : バンドーレン マスターズ クリアラッカー(旧式)
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● ロックのセッティング
マウスピース : Yanagisawa メタル 7番
リード : バンドーレン Java 2-½番
リガチャー : Yanagisawa メタルマウスピース 付属品
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● ジャズのセッティング
マウスピース : メイヤー 80thリミテッドエディション 5MM
リード : バンドーレン ZZ 3番/ダダリオ セレクトジャズ 2H番
リガチャー : バンドーレン M|O
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まずはクラシックのセッティングで───
Forestone SaxophoneRX RedBrass クリアラッカー仕上げ
「高音の抜けをどれだけ良くするか」は、多くのサックスの課題となっていますが、この楽器は高音もストレスなくストレートに吹けて気持ちいいですね。イエローブラスの楽器に比べると抵抗感がやや強い印象ですが、滑らかで柔らかいイメージを持ちあたたかい息を吹き込むと、思った通りの音が出るのが心地良い。サックス黎明期の小品を吹くのにピッタリな音色が出せる楽器です。
Forestone SaxophoneRX RedBrass アンラッカー仕上げ
できればこの音色は、スピーカーなどの電子媒体や、クラシックホールなどの響きが加工される環境で聴いてほしくないな、と思いました。それくらい自己の中の純粋な部分を体現してくれる楽器で、「どうかそのまま届けたい!」と思ってしまう音色ですね。
練習中だと言う、ジャズのセッティングでは?
Forestone SaxophoneRX RedBrass クリアラッカー仕上げ
ロールドトーンホールは滑らかさを高める分、抵抗感が少し増すイメージですが、ジャズにおいては“ジャズのサウンド”を保ったまま滑らかにできるという不思議な魅力を持っていますね。ジャズセッティングでもコントロールが抜群にしやすく、楽器の個性がジャズに合っていると思いました。
Forestone SaxophoneRX RedBrass アンラッカー仕上げ
すぐファズっちゃいそうなくらい倍音の幅が広く、そしてそれが自分で選べる楽しさがあります。レッドブラスの特性である「ダークな音色」を意識しなくて良い分、奏者側が味付けをする幅が増えると思います。
Tokyo Rock'n Sax で使用しているセッティングでは?
Forestone SaxophoneRX RedBrass クリアラッカー仕上げ
僕がロックを演奏する時は、ロックミュージシャンの歌い方を参考にして、ディストーションの様なサウンドを求めています。他の楽器だと「スパッと鳴る=明るい音色」ということが多いのですが、この楽器は輝きを持ったダークな音を出してくれるので、凄くカッコいいサウンドになりますね!
Forestone SaxophoneRX RedBrass アンラッカー仕上げ
ラッカーがない分、オーバーブロウ時の“バリバリ”の量が多くて、バリバリとしたその響きが広がっていくのがとても気持ち良いです。“スーパーサイヤ人2”みたいな感覚にさせてくれます(笑)。
試奏を終えて
今回、試奏して頂いた2種類の楽器について感想を伺った。
Forestone Saxophone RX RedBrass クリアラッカー仕上げ
『暗い情熱』を持った楽器
まるでブラームスのような、内に秘めた熱情を表す言葉がピッタリな楽器だと思いました。伝統のつづく中で理想とされてきた美しい音色、それらが進化する過程で削ぎ落とされてしまったものを、この楽器はしっかり持っていると思います。
価格:¥519,000(税抜)
管体 :レッドブラス/クリアラッカー仕上げ
付属品:セミハードケース、クロス
仕様 :組立|日本
パッド|Pisoni PRO PAD
彫刻 |手彫り
ネック|クラシックネック
その他|ロールトーンホール、超低温処理
Forestone Saxophone RX RedBrass アンラッカー仕上げ
『素材そのまま』の良さを体現した楽器
クリアラッカーに比べると派手さは減りますが、派手なことって必ずしも重要ではない。奏者が持っているコントロールの力量が最もダイレクトに反映されるのがアンラッカー最大の長所で、音色の変化度合いは全加工(仕上げ)の中で、最も多彩だと思います。
価格 :¥519,000(税抜)
管体 :レッドブラス/アンラッカー仕上げ
付属品:セミハードケース、クロス
仕様 :組立|日本
パッド|Pisoni PRO PAD
彫刻 |手彫り
ネック|ジャズネック
その他|ロールトーンホール、超低温処理
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