サックス記事 マウスピース徹底検証 第2回「テナー・ハードラバー編」
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マウスピースの煌めき THE SAX vol.30

マウスピース徹底検証 第2回「テナー・ハードラバー編」

GEAR

マウスピースといえば、サックスの音色を決定する上で最も重要なアイテムといっても過言ではない。 ジャズ、フュージョンなどで、テナーのマウスピースの定番といえば、かつてはメタルのイメージが強かったかと思われるが、今や主流はハードラバーになりつつある。味のある艶っぽい音色のプレイヤー ...... 例えばジョー・ヘンダーソンやスタン・ゲッツ、レスター・ヤングなどがハードラバー製を愛用していた。 現在、ハードラバー製を使っている人も、メタル製の人も、今回のテナー・ハードラバー編を参考にして、 マウスピース選択の幅が少しでも広がるきっかけとなれば幸いである。

ハードラバーマウスピースの魅力

マウスピースといえば、サックスの音色を決定する上で最も重要なアイテムといっても過言ではない。 ジャズ、フュージョンなどで、テナーのマウスピースの定番といえば、かつてはメタルのイメージが強かったかと思われるが、今や主流はハードラバーになりつつある。味のある艶っぽい音色のプレイヤー ...... 例えばジョー・ヘンダーソンやスタン・ゲッツ、レスター・ヤングなどがハードラバー製を愛用していた。 現在、ハードラバー製を使っている人も、メタル製の人も、今回のテナー・ハードラバー編を参考にして、 マウスピース選択の幅が少しでも広がるきっかけとなれば幸いである。

 

第2回 テナー・ハードラバー編

 

山中良之
Yoshiyuki Yamanaka

マウスピース 音色イメージを手助けするアイテム

マウスピースなどのハードが担う役割は、奏者の出したい音を手助けするということ。音色に個性を打ち出したり、目標とするプレイヤーのような音を出すためには、日々、そういった音をイメージし、またロングトーン等の練習を行なうことが最も重要である。……といったことは前号のアルト編でも紹介した。もっともこのようなことは今さら言うべきことではないのかもしれない……。しかし、自分にとってしっくりくるマウスピースを手に入れることはとても難しいことであり、見つかれば何より目標の音を出すための近道にもなるだろう。
そこで今回、自身でマウスピースのリフェイスと製作まで手がけている山中良之氏に各マウスピースを試奏してもらい、感想を聞いた。
素晴らしいプレイだけでなく、ハードに関しても高い知識を持つ山中氏。ぜひみなさんもこの内容を参考にして、マウスピース選びに役立ててほしい。

マウスピースの各部名称
本編に進む前に「マウスピース各部の名称」をおさらいしておこう。

良いマウスピースの条件とリフェイスについて:山中氏 談

良いマウスピースの条件として、まずテーブルの造りが挙げられます。

良いテーブルにはリードのボディを震わせるくぼみがつけてあります。 目立たない部分なんですけど、実は「ここから話が始まる」というくらい重要です。

テーブルは、リードを安定して付けられるかどうかの大切な部分です。そこをクリアして初めて、フェイシングやチェンバーなどの話になります。マウスピースをリフェイスする際、テーブル部分が歪んでいたりすると、どんなに他の部分をいじろうと良いマウスピースにはなりません。

 

そこで僕は、リフェイスをするとき一番最初に行なう作業として、温度変化などによる影響を受けないまったくフラットな、御影石の“定盤”というものを使います。注意すべき点は、まったくフラットな板でなければならないということです。みんな失敗する点として、鏡とか、金属の板とか、“おそらく平らであろうもの”で、この作業を行なってしまうということ。フラットでなければ、この作業を行なう意味がありません。

そして、マウスピースのテーブルをいったんフラットにしてから、このくぼみをつけていきます。 趣味でリフェイスを行なう人たちが注意すべき点として、テーブル部分はいじってはいけません。絶対やらないでください、と言っていいと思います。まあリフェイス自体、本当はあまり素人の人が行なうべき作業ではないんですけどね(笑)。

山中氏による32本のマウスピース試奏、検証

今回、インタビュー形式で、32本のマウスピースを試奏してもらい、それぞれの感想を聞いた。インタビューの項目に関しては、以下のとおりである。スペースの関係上、項目を省略したものもある。

 
 
質問事項
1.吹いてみた率直な感想
2. 音色の傾向/ブライト、ダーク、柔らかい、太い、細い、芯がある、ない、バズがある他
3. 音の立ち上がり/速い、遅い
4. 音量/大きい、小さい
5. 向いているジャンル/クラシック、ジャズ、フュージョン、他
6. その他、くわえ心地や素材について
7. どのくらいのレベルの人に向いているか/初心者、上級者
8. 総評
 
 
■山中良之氏:使用楽器 (今回の試奏において)
テナー =Selmer Balanced Action(バランスドアクション)
リード =バンドーレン JAVA 3(普段はJAVA 4を使用)

比較マウスピース

 

 


 

 

(※1 写真の見方:チェンバー部分の写真は、すべて、テーブル部分(リードをつける部分)を上にくるように撮影。)

 

 

01 yanagisawa(ヤナギサワ)
8

01.yanagisawa (ヤナギサワ) 8

シンプルな鳴り

標準的な感じというか、“無味無臭”に鳴るといった感じです。音色の傾向は多少、ダークです。7番だと音色の傾向は変わるかもしれません。音の立ち上がりは普通ですね。音量は吹き込めば出ますが、まあ標準的といったところでしょう。ジャンルとしてはオーソドックスなジャズに向いているんじゃないでしょうか。初心者の人が吹くなら5番あたりにバンドーレンJAVAの3番といった組み合わせが良いと思います。




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