サックス記事 新たなパートナー、Jody Jazzを語る Kirk Whalum×JodyJazz
  サックス記事 新たなパートナー、Jody Jazzを語る Kirk Whalum×JodyJazz
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カーク・ウェイラムのサウンドをつくるもの THE SAX vol.99

新たなパートナー、Jody Jazzを語る Kirk Whalum×JodyJazz

GEAR

ジャズ、フュージョン界を筆頭に、世界のサックスシーンを牽引するアーティスト、カーク・ウェイラム。 そんな氏が現在愛用しているマウスピースは、こちらも世界的な人気を誇る「JodyJazz」だ。人々の心の奥深くまで響くサウンド、その一端を担う重要な存在について、氏の音楽観も含めて話を聞くことができた。

カーク・ウェイラム

ジャズ、フュージョン界を筆頭に、世界のサックスシーンを牽引するアーティスト、カーク・ウェイラム。 そんな氏が現在愛用しているマウスピースは、こちらも世界的な人気を誇る「JodyJazz」だ。人々の心の奥深くまで響くサウンド、その一端を担う重要な存在について、氏の音楽観も含めて話を聞くことができた。
(取材協力:ブルーノート東京 ライブ写真撮影 : 佐藤 拓央)

JodyJazzを選んだことは、僕にとって一大事なんです

カーク・ウェイラム
JodyJazzのマウスピースとの出会いについて教えてください。
カーク
JodyJazzのマウスピースに出会う以前から、JodyJazzの創業者であるジョディ(ジョディ・エスピナ)と友人としての付き合いがありました。かれこれ15年くらいになるかな。彼自身がサックスプレイヤーで、僕は彼をミュージシャンとしてとても尊敬しています。彼のサウンドが好きなんです。当時僕は違うマウスピースを使っていて、それに満足していたから、特に新しいマウスピースは探していませんでした。けれど、僕たち人間の考えは日々変化していきますからね。新しい可能性を追求したくなって、ジョディに「君のマウスピースを試させてくれないか」って連絡したんです。それが2年前くらいだったと思います。
JodyJazzのラインナップの中で、現在「HR*」をお使いですね
カーク
JodyJazzをいくつか試した中で、「HR*」が最も僕に合っていました。他のモデルは、僕のサウンドを余りに大きく変えすぎると感じたんです。僕のこれまでのキャリアは、“サウンド”に基づいていると言えます。世界中、日本にも沢山のサックス奏者がいて、彼らは僕よりも優れたテクニックを持っています。けれど、僕がここまでこれたのはテクニックによるものではありません。もちろんテクニック向上にも継続して取り組んでいるけれど、最初から僕に開かれていた扉は“サウンド”でした。だから、僕は自分の中でサウンドをものすごく重視しているんです。サウンドを変えるために大きなリスクは背負いたくなくて、これまであまりマウスピースを変えてこなかった理由はそこにあります。だから、僕にとってJodyJazzマウスピースを吹くこと、マウスピースを変えることは一大事なんですよ。

自分に足りない要素を満たしてくれた、他にないマウスピース

カーク・ウェイラム
「HR*」を使うようになる前と後で、変化はありましたか?
カーク
たくさんありますね。さっきの話と重なるけれど、人間は考え方も演奏も日々変化していきます。僕の場合、ギターやベース、ドラムといったバンドと一緒に演奏する中で、存在感や強さが足りないと感じるようになったんです。そこを満たしてくれるのが、JodyJazzのマウスピースだった。僕が吹いている「HR*」は、非常に音抜けが良く、さらに高音域に魅力があります。フラジオは一般的に苦しくなりがちで、僕自身も以前は問題を感じていました。けれど、このマウスピースを使ってからはフラジオでも太い音が出せるようになりました。
フラジオに限らず、僕は常にアーネット・コブやデクスター・ゴードン、ソニー・ロリンズのような、大きくて太いサウンドを目指しています。僕はこの「HR*」のサウンドに満足していますが、それはつまり他のマウスピースにはない魅力を持っているということになるでしょう。
カークさんがマウスピースに求めることとはなんでしょうか。
カーク
一番大切だと考えていることは、「疎通のしやすさ」。目の前にいる人に対して、心の底から伝えたいことがあるとき、その途中で何かが変わってしまっては良くないですよね。自分の心にあるものとまったく同じものを伝えなければならない。どのような音がして、それを出すのはどのような人で、心にどんな想いがあるのか。聴き手の心にそのまま届くよう表現できること。それがマウスピースを通ったときに変わってしまってはいけません。だから、「カーク・ウェイラムの音を出したい」という人がいるけれど、それは違います。あなたのサウンドの一部にカーク・ウェイラムはいるかもしれないけれど、あなたがあなた自身の音を出すこと。それが最も大切なんです。

ニューアルバムのレコーディングでも使用

カーク・ウェイラム
今お使いの「HR*」は、既製品とまったく同じものですか?
カーク
もちろん。どこもカスタマイズはしていませんよ。これって実はとても重要なことで、プレイヤーはモノをどうこうするよりも、テクニックやサウンドを向上させるために時間を使った方がいい。特に若い奏者はそうすべきです。だから、買ってそのまま使えるマウスピースが一番良いのです。さらにこの「HR*」は、そこまで値段が高いわけではないのも魅力の一つ。若いファンの子でも手が届くものを、僕自身が使っていたい。いつでもそう思っています。
今回のニューアルバムでもJodyJazzを使用しましたか?
カーク
えぇ、JodyJazzマウスピースで収録しました。パワーリングリガチャー(JodyJazzマウスピース用の金属製リガチャー)を使用した曲もあります。おかげでアルバムを聞き返したときに、とても良いサウンドが得られていたので嬉しかったですね。

JodyJazz「HR*」テナーサックス用

カーク・ウェイラム

温かみのあるサウンドが特徴のハードラバーマウスピース。
音の立ち上がりや反応も良く、幅広いジャズシーンに対応する。
カーク・ウェイラム使用モデル:HR* Tenor 8
[価格]¥32,700(税込)

 

商品に関するお問合せ 
島村楽器株式会社 商品開発事業部 
TEL.03-3613-4160 http://www.shimamura.co.jp

JodyJazz製品詳細についてはこちら
https://www.shimamura.co.jp/originalbrand/import-agent/jodyjazz/index.html

登場するアーティスト
画像

カーク・ウェイラム
Kirk Whalum

1958年、テネシー州メンフィス生まれ。父親が牧師で、幼い頃からゴスペルやR&B に親しむ。9歳でドラムを、高校に入るとサックスを演奏し始める。ヒューストンの南テキサス大学に入学、在学中テキサス・テナーのアーネット・コブに魅了され薫陶を受ける。1983年にボブ・ジェームスのグループに入り、プロとしての本格的なキャリアをスタート。1985年にジェームスのサポートによりタッパン・ジー・レコーズから「Floppy Disk」でソロ・デビュー。1980年代後半から1990年代前半にはクインシー・ジョーンズ、ルーサー・ヴァンドロス、アル・ジャロウ、ホイットニー・ヒューストンらと共演。数多くのアーティストとの交流を深め、ホイットニー・ヒューストンのメガ・ヒット『アイ・ウィル・オールウェイズ・ラヴ・ユー』でのサックス・ソロは彼が担当している。2000年代以降はスムース・ジャズ・ブーム旗頭的存在としても活躍。デイヴ・コーズが主宰するランデヴーからスマッシュ・ヒットを放った。2012年にジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマンに捧げたカバー・アルバム「ロマンス・ランゲージ」を、2015年に「The Gospel Accordingto Jazz」第4弾をリリース。来日回数も数多い。