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ネックと楽器本体を繋ぐネックジョイント・スクリューは、マウスピースで生み出された響きをいかに効率よく楽器に伝達させることが出来るか、その決め手となる重要なパーツです。
従来のネックスクリューは、押し傷、微細な割れが生じるプレス加工や、つまみ部分とねじ部分の別々のパーツをロウ付けにより繋げるといった製造方法で、響きを楽器に伝達する重要なパーツとしては十分とは言えない製品精度でした。 そこで、響きをロスすることなく楽器に伝えることを重視し、つまみ部分、ねじ部分をひとつの丸棒から削り出した一体型成形として、長年楽器パーツを手がけて来た小江戸製作所に製作を依頼。完成したのがウェイトチューニング・ネックスクリューです。
ねじ部分には、重さの異なる各ウェイトを装着することが可能で、このウェイトの違いがキャラクターの違う響き、音色を導きだし、アーティキュレーションへの反応も向上します。ポイントとなるのは、つまみ部分とねじ部分の精度に加え、このウェイトの製品精度の高さです。楽器本体の抜差外管と接触する外側部分と、つまみの下部と接触する部分は、つまみのテーパーと同じ角度で面取りされているなど、高い技術を持った職人ならではの切削技術により出来上がった逸品です。
そんなウェイトチューニング・ネックジョイント・スクリューを、若手超実力派ジャズアルティストの中山拓海さんに試奏・検証してもらいました。と言いつつ...実は THE SAX 95号「カスタムパーツで音色が変わる」の特集記事で、中山さんに多くのパーツを試奏してもらっています。その中でも好印象で語っていただいたのがウェイトチューニング・ネックジョイント・スクリューなのですが、今回は、ウェイトチューニング・ネックジョイント・スクリュー自体の音色、響き、また、ウェイトや素材の違いによる音色の違いなどを感じていただきたく、実際の試奏の様子を動画でお届けします。
■商品一覧〜Lineup
▽スクリュー + ウェイト セット(Alto〜Baritone)【セット①:スクリュー + ミディアムウェイト】>>試奏記事へセルマー&ヤナギサワ用 / ヤマハ用【セット②:スクリュー + ミディアム&ヘヴィー ウェイト】>>試奏記事へセルマー&ヤナギサワ用 / ヤマハ用
▽スクリュー + ウェイト セット(Soprano) 【セット③:スクリュー + ミディアム&ミディアム・ヘヴィーウェイト】セルマー&ヤナギサワ用
▽ライヤースクリュー + ウェイトセット 【セット④:ライヤースクリューロング +ミディアム ウェイト】セルマー用
▽ライヤースクリュー 【レギュラーサイズ】セルマー用※上記、ライヤースクリュー【セット④】とは長さが異なります。
■カスタマイズ 〜Customize accessories
▽ミディアムウェイト >>試奏記事【真鍮製】 セルマー&ヤナギサワ用 / ヤマハ用【洋銀製】 セルマー&ヤナギサワ用 / ヤマハ用
▽ヘヴィーウェイト >>試奏記事【真鍮製】 セルマー&ヤナギサワ用 / ヤマハ用【洋銀製】 セルマー&ヤナギサワ用 / ヤマハ用
▽ミディアム・ヘヴィーウェイト【真鍮製】 セルマー&ヤナギサワ用【洋銀製】 セルマー&ヤナギサワ用
試奏Impression
ウェイトチューニング・ネックジョイントスクリュー、ライアー・スクリューは、SAX サムフック Reso Holder と同じく、長年、管楽器パーツを手がけてきた小江戸製作所とのコラボにより完成。 つまみ部分は、最も響きの良い重さを導き出すために試作を重ね、その響きをしっかりと楽器本体に伝達するため、本体と接触するウェイト部分は、取り外し可能な高精度ウェイトとして仕上げられています。重さと素材の異なるウェイトは全部で6種類ありますが、今回その中からミディアムウェイト、ヘビーウェイトの真鍮。同じくミディアムウェイト、ヘビーウェイトの洋銀のタイプ。また、ウェイトを取り付けない状態のウェイトチューニング・ネックジョイントスクリューなど、それぞれ試奏してみました。
先ずはウェイトを付けず、ウェイトチューニング・ネックスクリューのみでの試奏です。キラキラ、シャリシャリとした倍音を程よく含みながらも、メリハリの効いたすっきりとした音色の印象です。楽器全体がビリビリと振動するような、ムダなく響きが伝わる感覚を体感しました。ウェイトなしの場合、音のコア(芯)の太みはそれほど出ませんが、その分、アーティキュレーションの反応が速く、程よく艶やかで、こもった感じのないすっきりとした音色を求める人に向いているのではないでしょうか。
次に、ウェイトチューニング・ネックスクリューにミディアムウェイトを装着しての試奏です。
次に、ウェイトチューニング・ネックスクリューにミディアムウェイトを装着しての試奏です。 純正のネックジョイント・スクリューより遠鳴りする印象で、マイク乗りもいいのではないでしょうか。この後試したヘヴィーウェイトを取り付けたパターンと、先に試したウェイトなしの単体で吹いた3パターン中、もっともキラキラ、サワサワとした高次倍音を含んだ音色で、エッジィな感じも純正に比べやや増します。音のコアも純正のネックジョイント・スクリューよりやや太さを増す印象です。アーティキュレーションの反応はとても良く、イントネーションが付けやすいですね。純正のネックジョイント・スクリューのときに感じるややくもった感じが薄まり、その分倍音が増して艶のある音色の印象です。本体の外管に接する部分のウェイトの直径と精度へのこだわりが、楽器に伝わる振動、響きから感じられるようでした。フラジオ音域も当たりやすい印象です。
上がミディアム、下がヘヴィーウェイト
ウェイトチューニング・ネックスクリューとミディアムに引き続き、ヘヴィーウェイト(真鍮)の組み合わせで試したところ、エッジィな響きで太く厚みのある音色になりました。音のサスティン感というか、音をエコーさせたような感じは、ミディアムを取り付けたとき程ではありませんが、低音の充実感はとても良く、音の太みは一番感じました。見た目の印象通り太くて芯のある音色ですが、アーティキュレーションへの反応は良くて、決してモヤッとした感じにはなりません。フラジオ音域も当たりやすく感じました。アルトのメイヤーの5MMのマウスピースとマークVIの本体で試した後、クラシックセッティングとして、C★★と、本体はシリーズIIのセッティングでも試しましたが、特にクラシックセッティングはしっくり来ました。柔らかく、芯の太い鳴りで、存在感のある音色に感じました。
シリーズIIと、マークVIそれぞれに、ウェイトチューニング・ネックジョイント・スクリューと別売ミディアムウェイト洋銀、ライアースクリューを装着。
真鍮製のミディアムウェイトを取り付けたときより、シャリシャリ感、キラキラ感は少し減り、その分充実したリッチなコアのある音色という印象です。音の厚みも真鍮のミディアムウェイトよりやや増す感じです。ただし、音に柔らかさが加わる分、真鍮製ほど音の明るさは感じられませんが、アーティキュレーションの反応はむしろ洋銀の方が良くて、イントネーションが明瞭な印象です。息圧は真鍮より要する感じです。また、今回試奏に使った楽器はマークVIで、抜き差し外管の素材が洋銀製(製造時期によっては真鍮の場合もあり)だったためか、洋銀のウェイトとの相性がとても良いように感じました。程よい艶感と付帯音で、吹いていて気持ち良い鳴りでした。
シリーズIIと、マークVIそれぞれに、ウェイトチューニング・ネックジョイント・スクリューと別売ヘヴィーウェイト洋銀、ライアースクリューを装着。
シャリシャリ感、キラキラ感をある程度残しつつ、存在感のある太い音色になりました。低音域も厚みのある音で鳴りますが、中・高音域もクリアに良く響きます。とてもバランスの良い鳴りと音色で、やはりマークVIとの相性がとても良いように感じました。息圧は少し必要な印象ですが、これは、洋銀、真鍮に関係なく共通です。パワーに加え、音に十分な柔らかさもあるので、クラシック奏者の方にもオススメです。
───クラブジャズシーンを牽引し本誌THE SAXにも度々ご登場いただいているサックスプレイヤー藤枝伸介氏。 氏もまた、ウェイトチューニング・スクリューの愛用者の一人で、実際に使ってみての感想を訊いてみた。
藤枝氏:本製品は真鍮製のスクリューとデタッチャブルな付属品で構成されており、それらは真鍮製と洋白製(別売)との素材やサイズの選択により響きや抵抗感の違いを楽しむことができる。 付属品にはそれぞれ小さいタイプと大きいタイプがあり、大きいタイプになる程その効果を増す感覚がある。 私は真鍮製の小さいタイプを主に使用しているが、現在リガチャーのメッキの種類で演奏時の抵抗感や響きをその日の会場やリード等のコンディションによって微調整しているように、サイズや素材の使い分けを試している。その効果であるが、音色の倍音成分が整理される感覚があり、吹奏感が良くなる。程よい抵抗感を残しつつ、一枚薄皮が取れたような「楽になる」感触がある。演奏時の余計な力(りき)みから解放され、整頓された倍音成分に耳を澄ます時、今までよりも一段階深い呼吸を感じながらより深く演奏ー「音楽」に没入できるかもしれない。
試奏協力:藤枝伸介 a.k.a. Sound Furniture(URL:http://www.sinsukefujieda.com)