世界レベルで勝負する在NYの侍トランペッター
本誌創刊号でインタビューした前作「ジグザガー」から3年半、黒田卓也がニューアルバム「フライ・ムーン・ダイ・スーン」を完成させた。よりサウンドメイカー/プロデューサーとしての存在感を増した今作だが、トランペッターとしての矜持も随所に感じさせる仕上がりだ。ニューヨークでのコロナウイルス感染拡大を前に急遽帰国した彼をキャッチして、じっくりと話を訊いた。
(インタビュー・文:柳樂光隆/写真:土居政則/取材協力:ユニバーサル クラシックス&ジャズ)
ビートメイカーとして目覚めたことがインスピレーションの入り口
これまでもドラムのパターン、ベースライン、ピアノのコードにしても、基本的には全部自分で考えてきて、それをバンドメンバーに落とし込んでやってもらっていたので、結局は全部自分でやっていたんだってことがわかって、だったら自分だけでも出来るんじゃないかと。それで2年前に自分への誕生日プレゼントとして3日間スタジオに入って、トッド・カーターってエンジニアと僕で作業してみたら、2人だけでここまで出来るのかと実感しました。『Fade』の前半部分のトラックに関しては、ほぼ僕が制作しています。僕が持って行ったビートのバスドラを置き換えたり、色んな音を足したり、シンセも自分で弾きました。これがインスピレーションになって、今自分がやりたいのはこれだなって。この曲が今回のアルバムの入り口になりました。
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・鍵盤楽器を買い揃えたことで湧き上がった制作意欲
・トランペットはサウンドのソニックな部分で様々な試みを
・長年愛用のNY Backの他にセルマーの楽器も演奏
黒田卓也 TAKUYA KURODA
1980年、兵庫県生まれ。12歳からトランペットを始め、中・高・大学を通してビッグバンドに所属。16歳から神戸や大阪のジャズ・クラブでの演奏活動をスタート。2003 年に渡米し、ニューヨークのニュースクール大学ジャズ科に進学。在学中からニューヨークの有名クラブに出演。卒業後もニューヨーク・ブルックリンを拠点に国内外で、ジャズのみならずさまざまなジャンルで活動。JUJU、Orange Pekoe、ホセ・ジェイムズ などのアルバムにアレンジャーやプレイヤーとして参加。2010年に初のリーダー作「Bitter & High」を発表。2011年にリリースした 2nd アルバム「Edge」が全米ラジオチ ャートの 3 位にランクインし大絶賛される。2013年6月には3rdアルバム「Six Aces」を発売。2014年、US ブルーノート・レーベルよりホセ・ジェイムズのプロデュースでアルバム「ライジング・サン」でメジャー・デビューを果たす。自身のソロ活動に加えて、ホセ・ジェイムズやDJプレミアのバンドやアコヤ・アフロビート・アンサンブルでも活躍。日本では、大和証券グループのTVCM「PLAYNG FOR CHANGE」への出演や、スペシャル・バンド「J Squad」のメンバーとしてテレビ朝日「報道ステーション」の新テーマ曲を手掛けたことでも話題を集めている。
CD Information
ユニバーサル クラシックス&ジャズ
[収録曲]フェイド、 ABC、チェンジ、ドゥ・ノー・ホワイ、フライ・ムーン・ダイ・スーン、ムーディ、スイート・スティッキー・シング、テル・ミー・ア・ベッドタイム・ストーリー、TKBK、ドゥ・ノー・ホワイ (YonYon & MELRAW Rework)
[演奏]黒田卓也(tp, key, programming)
コーリー・キング(tb,vo) クレイグ・ヒル、馬場智章(ts) 大林武司、クリス・マッカーシー、泉川貴広(key)
荻原 亮、吉田 智(g) ラシャーン・カーター、ソロモン・ドーシー、 バーニス・トラヴィス、中村恭士(b) アダム・ジャクソン、ザック・マリングス(ds) 小川慶太(per) アリーナ・エンギバーヤン、パオラ・アルチエリ(vo) 角銅真実(voice)
YonYon(rap,vo) MELRAW(additional programming)