クラシックとジャズが交差する時
同じ楽器のプレイヤーであっても、交わる機会は稀で接点があまりないということが多いクラシックのトランペッターとジャズのトランペッター。そんななかで例外的にと呼べるほど長年親交を温め続けている二人がいる。それが、元NHK交響楽団の花形奏者である佛坂咲千生と、今や日本ジャズ界のリーダーとなった原朋直だ。ヤマハの楽器を長年愛用しているという共通点もある両人だが、それぞれがクラシックとジャズの垣根を超越した活動をしてきたというキャリアからも興味深い関係性が浮かび上がる。名手同士の友情対談が実現した。
インタビュー・文:埜田九三朗/写真:井村重人(アーニーズ・スタジオ)/ 取材協力:ヤマハ株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン
30年来の付き合いのなかで教え合った時期も10年間
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・クラシックとジャズ、ここが違う!? ここが似ている!?
・ジャンルを跨ぐことで巻き起こる批判について
・いろんな音楽の体験で生まれるジャズでもクラシックでもない音楽
佛坂咲千生
1956年生まれ。佐賀出身。中学生よりトランペットを始める、高校卒業後 武蔵野音楽大学に入学。大学4年時に東京佼成ウインドオーケストラに入団。1979年パリで行なわれたモーリス・アンドレ国際コンクール ブラスアンサンブル部門入選 。同年、日本フィルハーモニー交響楽団に移籍。1982年西ドイツ・ミュンヘン留学。バイエルン放送交響楽団首席奏者C.ゲッティング氏に師事、同オーケストラにエキストラとして出演。帰国後、日本フィルハーモニー交響楽団に復帰。1990年NHK交響楽団に移籍、2016年2月定年退職。現在、武蔵野音楽大学教授、洗足学園音楽大学客員教授、平成音楽大学客員教授。ザ・トランペットコンサート、J'z Craze(ジェイズ クレイズ)、 Cowardice Paradise(クワダイス パラダイス)など、多くのジャンルで活躍中。
原朋直
1966年神奈川県生まれ。千葉県立鎌ケ谷高校を経て愛知県の日本福祉大学に入学。在学中は名古屋のジャズシーンで活躍、卒業後東京での活動開始。 1990年代、当時の若手を起用した「ジャズ維新」ブームで頭角を現し、 初リーダー作「Evidence for My Music」(1996)以来多数のリーダー・アルバムを発表。自身の音楽活動の他にも「サントリー1万人の第九コンサート」「ヤング・ピープルズ・コンサート」、『情熱大陸』(TBS系)『題名のない音楽会』(TV朝日系)への出演、映画『BROTHER』(北野武監督)『ふたたび』(塩屋俊監督)でのテーマ演奏など多方面かつ国内外で活躍。また、2018年にスタートした東京証券取引所を中心に展開する金融とジャズの融合イベント『Jazz EMP』では音楽監督を務める。2015年Gaumy Jam Records(ゴミ・ジャム・レコード)を設立。最新作は2020年リリースのレーベル4作目「Circle Round/Tomonao Hara Group」。洗足学園音楽大学教授 ジャズコース 代表。