トランペット記事 オーケストラプレイヤーとしての王道を順調に歩み続ける若き名手 伊藤駿
  トランペット記事 オーケストラプレイヤーとしての王道を順調に歩み続ける若き名手 伊藤駿
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THE TRUMPET vol.14

オーケストラプレイヤーとしての王道を順調に歩み続ける若き名手 伊藤駿

ARTIST

20代半ばにして新日本フィルハーモニー交響楽団に入団。いきなり首席奏者に就任して3年間務めた後、2019年からは東京都交響楽団に移籍。ベテラン奏者たちのなかに混じりながら奮闘を続ける伊藤駿。オーケストラ奏者として順調な歩みを進め、今後の期待も高まる若き実力者の素顔に迫ってみよう。
(インタビュー・文:吉野和孝(ジョイブラス)

緊張の原因が不安であるならば、不安をなくすための練習をする

桐朋オーケストラアカデミー(以下オケアカ)在籍中に新日フィルに入団されますが、学生時代はどのように過ごされていたでしょうか。
伊藤駿
育ちは関西で、ずっとトランペットを京都市交響楽団の早坂宏明先生と、宮村聡先生に習っていました。本当に素晴らしい先生方で、練習の仕方から調子の作り方まで全部教えてくださって、感謝しかありません。学生の頃は、自分で言うのもなんですが、本当にものすごく真面目に取り組んでいました。もっと自分自身が器用だったらよかったのですが、いつしか勝手に思い込み、自分で「こうあるべきだ」というような考えに固まり過ぎてしまいました。「こういう音でないといけない」ということがまず頭にあり、「こう吹かないといけない」と全部が固まっていってしまった。トランペットには、がんじがらめに決め事があり、決め打ちで吹くものだと思い込んでいました。オケアカでは、長谷川潤さん(読響)、山本英司さん(N響)、秋月孝之さん(元大フィル)、ギヨーム・ジェルさん(ベルリンフィル)、ハネス・ロイビンさん(元バイエルン放送響)、そして田宮堅二先生などいろいろな方々とトランペットを通じて話ができました。そこで、音の出し方から何から聞いたところ、みなさん自由に、大真面目ではなく、もっと自然にラッパと接しているような感じを受け、自分で勝手に固まっていたと思い、良い加減で向き合えるようになりました。今はたまにアバウトになり過ぎて、もう少ししっかりとやらなければいけないと思ったりもしています(笑)。
 

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・勝手に限界を設定しないことが、業界と自分自身の発展に繋がっていく
・自分本位な音色で、自分の都合でやると周りとは絶対に合わない

 

伊藤 駿(いとう しゅん)
大阪府大阪市出身。岡山県私立明誠学院高等学校特別芸術コースを経て、京都市立芸術大学音楽学部管打楽専攻卒業。桐朋オーケストラアカデミー修了。同アカデミー在籍時に新日本フィルハーモニー交響楽団に首席奏者として入団。同団を経て2019年より東京都交響楽団トランペット奏者。第6回関西トランペット協会コンクール第1位。第30回ヤマハ管楽器新人演奏会出演。2013年、15年に小澤征爾音楽塾、21年にサイトウキネンオーケストラに参加。2023年、音楽之友社「バンドジャーナル」誌においてトランペットワンポイントレッスン執筆。これまでにトランペットを宮村聡、早坂宏明、杉木峯夫、白水大介の各氏に、室内楽を呉信一、若林義人の各氏に師事。

 

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