トランペット記事 マウスピース・ブランド「グレッグ・ブラック」を主宰する世界的マイスター
  トランペット記事 マウスピース・ブランド「グレッグ・ブラック」を主宰する世界的マイスター
[1ページ目]

マウスピース・ブランド「グレッグ・ブラック」を主宰する世界的マイスター

ARTIST

あのジャルディネリ社創業者であるボブ・ジャルディネリの教えを受けてマウスピース製作の技術を身につけ、のちに独立。今や世界的なクラフトマンとして、その名を知られるようになったグレッグ・ブラック。もともとは演奏活動にも力を入れ、大学では音楽学士号を習得したトランペット奏者でもあったという。そんな興味深い経歴を持つ彼が去る7月に大阪・名古屋・東京でのイベントのため来日した。そのタイミングで本誌初のインタビューが実現した。
インタビュー・文 : 吉野和孝(ジョイブラス)
協力 : グレッグ・ブラック・マウスピース、眞田貿易株式会社

トランペットが大好きになった理由はファーガソン

トランペットを演奏されるようになったきっかけを教えてください。
グレッグ・ブラック
幼少の頃、自宅でメイナード・ファーガソンのレコードを頻繁に聴いていたのが原点です。「MFホーン」は最初に夢中になったレコードで、よく聴いていましたし、トランペットが大好きになった理由はファーガソンでした。父はプロの演奏家でトロンボーンを演奏していましたが、大学に入学するまではトランペットを演奏していましたし、母もトランペットを吹いていたということも ありました。私自身はクラシックではなくよりジャズの勉強をしていました。ドク・セバリンセンからも影響を受けました。
音楽一家でいらっしゃったのですね。
グレッグ
父と一緒に公演やダンスの仕事、コンサートに出かけていましたので、ミュージシャンと一緒にいる環境で育ちました。私の兄はトロンボーンを演奏していましたし、木管楽器を演奏する兄もいました。両親はともにバージニアの音楽学校に通っており、父は35年間バンドの指導者として教鞭も執りました。
父は私に音楽を強制しようとはしませんでしたが、私も音楽の教員免許を取得しました。
大学卒業後はニューヨークへ移住されています。
グレッグ
まずはニューヨークに移ってみたかった。何度も訪問はしていましたが、移住は勉強になる経験でした。住むことと訪れることは違うものです。1982年にニューヨークに引っ越したとき、私には貯蓄がありました。昼間はトランペットの練習をして、夜中の11~12時から朝の7時までパン屋で働いていました。当時使っていたトランペットは、ベンジの3X+。マウスピースはバックの6C、リード用にはジェット・トーンのデイブ・スタールモデルを使用していました。フリューゲルホルンはケノンでした。
師事されたロイ・スティーブンスについて教えてください。
グレッグ
ロイ・スティーブンスはビッグバンドのトランペット奏者でした。彼は主にアンブシュアに重点を置き、低音域から高音域まで効率よく演奏するためのアンブシュアを確立しました。彼のアプローチは高音域のためだけのものだと、本当に多くの人に誤解されていましたが、全音域にわたるものです。ロイ・ロマン、リン・ビビアーノなど素晴らしいリード奏者たちが学んでおり、プレイヤーたちは何か問題があると、彼のところに来て、改善することができました。当時、私はアンブシュアの問題を抱えていたこともあり、大学では彼の弟子でもあるエルマー・ホワイトに師事し、毎週多くのことを学びました。ホワイトはコロンビア大学で、顔の筋肉とアンブシュアがどのように機能するかについて博士論文を書いています。大学時代にニューヨークに滞在した主な理由のひとつは、ロイ・スティーブンスのレッスンを受けることでしたし、彼のステージでの演奏を見に行ったものです。フィーチャリングされ、歌い、ソロを吹くバンドのフロントマンで、当時の彼はとてもエンターテイナーでもあり、大変魅力的な人だった。私が初めて会ったとき、彼は60代でしたが、私をとても手助けしてくれました。
 
ロイ・スティーブンス(中央)とグレッグ・ブラック(左)。ロイ・スティーブンスが持っているのは、メイナード・ファーガソンから贈呈された記念の盾
エルマー・ホワイト(アパラチアン州立大学教授)。グレッグ・ブラックは、ともにニューヨークに滞在し、ロイ・スティーブンスのレッスンを受けていた
 

次のページへ続く
・ジャルディネリの卓越した技術者3人から多くのことを学んだ
・「お客様が何を必要としているか」を見極めることが基本
・マウスピースの形状の組み合わせが特徴的なサウンドを生み出す

 

Greg Black(グレッグ・ブラック)
1959年ノースカロライナ州生まれ。大学卒業後にニューヨークへ移住し、1983年に楽器店ジャルディネリへ入社。同店はオリジナルブランドのマウスピースを販売しており、その製作を担うマウスピース部門にて研鑽を積む。1990年にブラック・ヒルとして独立し、1994年にはグレッグ・ブラックとして再独立。現在はノースカロライナ州に工房を構え、本人を含むチームで製作を行う。伝統的なクラフトマンシップと最新のテクノロジーを駆使した高品質のマウスピースは、世界的な人気を誇っている。


[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2      次へ>      


アダム・ラッパ(Adam Rapa)来日決定!!

2022-10-21

大久保管楽器店内にて、アダム・ラッパによるLOTUSトランペット&マウスピースのデモンストレーション演奏


マウスピース・ブランド「グレッグ・ブラック」を主宰

2024-11-30

あのジャルディネリ社創業者であるボブ・ジャルディネリの教えを受けてマウスピース製作の技術を身につけ、のち

ザ・トランペット
特集:

ドイツ・トランペット界を象徴する現代最高峰のヴィルトォーソ
ラインホルト・フリードリヒの魅力解剖

70’sアメリカン・ポップスを吹こう♪

音源連動:演奏by山下真一

カバー:松井秀太郎

TRUMPET ONLINE