Bach Trumpet　人気12モデルを 長谷川智之さんがレコメンド

 B♭管

07 Artisan Collection AB190 SP

吹奏感とモニターしている音が、Stradivariusシリーズとは違う楽器という印象です。 抵抗感はそれなりに強いのに、レスポンスは速いという点が50th Anniversaryモデル（試奏No.6）と似ています。
まとまりのある明るくクリアな音色で、楽に音が遠くに飛ぶ感覚で、音に指向性があり、楽器のツボを押さえられれば、Bachのモデル中でも最も効率よく遠くに音を飛ばせるのではないでしょうか。音が遠くに飛ぶ分、自分の鳴っている音をモニターするポイントが遠くに感じるのかもしれません。

08 Artisan Collection AB190 GBSP

Stradivariusのラッカーの黄ベル（試奏No.1）と赤ベル（試奏No.2）、SPの黄ベル（試奏No.3）と赤ベル（試奏No.4）といった、材質による吹奏感の違いをこのArtisanではそれほど感じません。ただ出ている音は、コンパクトでまとまりのある響きで、クリアな音色という点は共通ですが、より丸みがある個性的な音色です。赤ベルの場合、音が重厚になる分、吹奏感も重厚になりレスポンスも重くなるはずですが、そこの差異がないところがArtisanの良いところで、ハイブリッド的な要素を持っている楽器といえます。

 C管

09 Stradivarius C180L239 25C SP

C管の中ではコンパクトで落ち着いた音色です。音の芯と倍音の響きのバランスが程よいですね。C管特有の明るい音色ながら明る過ぎず、くせのない素直な音色です。音の立ち上がりはクリアでレスポンスが速く、音程もいいですね。音の抜け感は割とコンパクトで、オーケストラや室内楽、ソロなどオールラウンドに重宝するでしょう。強い個性がないことが個性で、演奏者の指向する音色や表現に応えられる楽器だと思います。

10 Stradivarius C180L229 25H SP

鳴りますね ! より明るく華やかさが増して、キャパが大きく開放的でオープンな音色です。ワイドに音が広がる印象で、抵抗感が少なく息が良く入ります。クリアで明るい音色な分、音の密度は先ほどのスタンダード（試奏No.9）より満たしにくいかもしれません。ソロはもちろんですが、オーケストラで力を発揮する楽器だと思います。音程はスタンダードに比べると少しクセがあって、よりパワーとコントロール性は求められるでしょう。

11 Stradivarius C190L229 25M SP -Cleveland Model-

明るさと華やかさに加え、音質がピュアで綺麗な音色を持つ楽器です。音の立ち上がり、レスポンスも速く、音程も良いですね。音色の傾向は、ハーセスモデル（試奏No.10）に近い感じがありますが、ハーセスモデルは響きの枠が広くワイルドで、スタンダードモデル（試奏No.9）は、より響きがコンパクトで密度感があります。Cleveland Modelはその中間くらいですが、ハーセスモデルより音の密度が濃く指向性があります。2ピースのバルブケーシングや、サイドシームのベルなど、作りは50周年モデル（試奏No.6）とほぼ同スペックで、ベルサイズやテーパーなどの形状はハーセスモデルと一緒なので、2つのモデルの特徴を兼ね備えている印象です。

 Piccolo Trumpet

12 Artisan Collection AP190 GL

Bach特有の重厚でしっかりした響きにアルティザンの操作性のしやすさ、レスポンスの良さも加わり、大音量のオーケストラからバロックのような室内楽やソロまでオールラウンドに使えます。音程もとても良いですね。楽器自体は結構重めに作られているのですが、ラッカー仕上げにより重厚さが緩和されてとてもバランスがいいです。A管マウスパイプとトランペットシャンクの組み合わせは、ピッコロらしい華やかさとしっかりした音色感を持っているので、オーケストラの中で吹きたいですね。逆にコルネットシャンクは軽やかで小回りも効くので、ソリスティックなバロックなどに良いでしょう。A管はトランペットシャンク、B♭管はコルネットシャンクの組み合わせが個人的には好みです。