トランペット記事 春風のように爽やかにカーペンターズを吹く【付属ダウンロード音源連動】
  トランペット記事 春風のように爽やかにカーペンターズを吹く【付属ダウンロード音源連動】
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THE TRUMPET vol.12 | 特集5

春風のように爽やかにカーペンターズを吹く【付属ダウンロード音源連動】

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今回もダウンロード形式でお届けする誌面連動の付属音源。今回のテーマは、大きな括りとしては60〜70年代のアメリカン・ポップス。そしてラインナップされた楽曲は期せずしてカーペンターズが取り上げたナンバーとオリジナル曲が並んだ。本誌掲載の楽譜および演奏解説と模範演奏を参考に、これからの春から初夏にかけての爽やかな季節にピッタリのメロディをカラオケ音源に乗せて軽やかに奏でてみよう! 今回の模範演奏をお願いしたのはオーケストラ、ミュージカル、吹奏楽、英国式金管バンド、スタジオレコーディングと幅広く演奏活動を行なう柴山貴生氏だ。マルチで活躍する若手実力派である柴山氏のプレイを堪能してほしい。次のページでは、レコーディングを終えた柴山氏のインタビューの模様と演奏解説お届けする。

[Track 01 / 05]
イエスタデイ・ワンス・モア
カーペンターズ

『イエスタデイ・ワンス・モア』のEP盤

米国コネティカット州ニュー・ヘイヴンで1946年に生まれたリチャードと1950年3月2日に生まれたカレンからなる兄妹デュオであるカーペンターズ。60年代中盤からそれぞれプロ活動をスタートしましたが、ヒットには至らず67年からはバンドを結成し一緒に活動を始めました。68年から二人で活動していくことになり69年にトランペット奏者ハーブ・アルパートに認められ、彼のレーベルA&Mからカーペンターズとしてデビューを果たしました。
『イエスタデイ・ワンス・モア』はそんな彼らを象徴するナンバー。おそらく日本では最も親しまれているカーペンターズの楽曲と言えるでしょう。オリジナルに準じているのでトランペットでは難しいキーではありますが、柴山貴生さんはトランペットの低音域を活かしたふくよかな響きで演奏してくれました。

 

[Track 02 / 06]
トップ・オブ・ザ・ワールド
カーペンターズ

『トップ・オブ・ザ・ワールド』のEP盤

兄リチャードは9歳からピアノをはじめ、カリフォルニア州立大学ロング・ビーチ校音楽専攻に入学するとコーラス部に加入。妹のカレンは兄と同じ高校に入学するとマーチングバンドに加入してドラムを叩くようになりました。後にリチャードがピアノとアレンジを担当し、カレンが時にドラムを演奏しながら歌を歌うスタイルのルーツがここにあります。
『トップ・オブ・ザ・ワールド』は3曲ある彼らの全米NO.1ヒットのうちの1曲。作曲はリチャード・カーペンターで彼らのオリジナルになります。エレクトリックピアノのウーリッツァーによる軽快なイントロも印象的なナンバーです。柴山さんは2コーラス目では1オクターブ上げて高いド(コンサートキーのB♭)まで滑らかに歌い上げてくれました。

 

[Track 03 / 07]
クロス・トゥ・ユー
カーペンターズ

『クロス・トゥ・ユー』のEP盤

2023年2月8日に惜しまれつつ94歳でこの世を去った稀代の名作曲家バート・バカラック。今やスタンダード化したヒット曲の多さからは、ポール・マッカートニー、スティーヴィー・ワンダー、アントニオ・カルロス・ジョビンらと肩を並べる、20世紀後半のポピュラー音楽界における最高のメロディメイカーと言えるでしょう。
カーペンターズもバカラック・ナンバーを幾度となく取り上げていますが、何と言っても有名なのが『遥かなる影』の邦題でも親しまれているこの『クロス・トゥ・ユー』でしょう。彼らに初に全米NO.1をもたらしました。ちなみに最後のリフレインのコーラス部分はリチャードのアレンジによって加えられたものです。柴山さんはフリューゲルホルンとトランペットの両方を使ってドラマチックに演奏してくれました。

 

[Track 04 / 08]
ア・ソング・フォー・ユー
カーペンターズ

オリジナルのレオン・ラッセル
『ア・ソング・フォー・ユー』のEP盤


オリジナル・ナンバーのヒットも多数あるカーペンターズですが、前述のバート・バカラックのほか、ポール・ウィリアムス&ロジャー・ニコルスやデラニー&ボニーなど、同時代の名ソングライターたちの楽曲も多く取り上げています。
アメリカ南部出身で先述デラニー&ボニーとも関係が深いシンガーでピアニストのレオン・ラッセル。カーペンターズは彼の楽曲も『マスカレードやこの『ア・ソング・フォー・ユー』と、好んでカバーしています。ただ、柴山さんが今回のレコーディングに際してイメージしたのは、カーペンターズでもレオン・ラッセルでもなく、1970年代にマーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールド、スティーヴィー・ワンダーらとともにニュー・ソウルの旗手として活躍したダニー・ハサウェイのカバー・ヴァージョンだったそうです。

 

[Track 16 / 17]※定期購読者特典ボーナストラック
デイドリーム・ビリーバー
モンキーズ

モンキーズ『デイドリーム・ビリーバー』のEP盤

1960年代に全米に巻き起こったブリティッシュ・インベイジョンと呼ばれるイギリスのロックバンドによるチャートの席巻。その中心にいたのは、言わずもがなのザ・ビートルズでした。これに対抗しようとアメリカ国内でオーディションによりメンバーを集めて結成されたのがモンキーズでした。テレビ番組「ザ・モンキーズ・ショー」を放映して売り出し、短期間でしたが成功を収めました。
そんな彼らの代表曲と言えば、この『デイドリーム・ビリーバー』を置いて他にはないでしょう。日本では当時『デイドリーム』の邦題で呼ばれていた時期もありました。が、1990年前後に忌野清志郎らによるザ・タイマーズがカバーしヒットしたので、そちらで知っているという人も多いでしょう。柴山さんの跳ねるリズムに乗った軽やかな演奏をお楽しみください。

 

>>柴山貴生さんのインタビュー&演奏解説へ続きます!

 
 
柴山貴生

柴山貴生(しばやま たかお)
東京都出身。洗足学園音楽大学を優秀賞を受賞し卒業。卒業後、オーディションを経て宝塚歌劇オーケストラに入団。年200回を超える宝塚歌劇団の公演に参加する。退団後はオーケストラ、ミュージカル、吹奏楽、英国式金管バンド、スタジオレコーディングなど幅広く演奏活動を行なっている。ミュージカルの分野ではブロードウェイを含めた国内外のカンパニーの公演に参加。これまでにトランペットを藤井裕子、津堅直弘、高橋敦、杉本正毅、Andre Henry、佛坂咲千生、Jouko Harjanne各氏に師事。現在、Vivid Brass Tokyo Soprano Cornet奏者、ブリッツフィルハーモニックウインズ サブコンサートマスター、角田健一ビックバンド トランペット奏者。

 

【収録楽曲】
[B♭譜]『イエスタデイ・ワンス・モア』[1973]
[B♭譜]『トップ・オブ・ザ・ワールド』[1972]
[B♭譜]『クロス・トゥ・ユー』[1970]
[B♭譜]『ア・ソング・フォー・ユー』[1970]
[B♭譜]『デイドリーム・ビリーバー』(モンキーズ)[1967]※定期購読者特典ボーナストラック


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カバー:松井秀太郎

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