名門ウィーン・フィル元首席奏者ハンス・ペーター・シュー氏がソロ活動最後となるリサイタルを開催!
ハンス・ペーター・シュー氏が7月に東京と京都で開催するソロリサイタルの見どころを語る!
音楽の都ウィーンを代表するオーケストラであるウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で長年首席トランペット奏者を務めてきたハンス・ペーター・シュー氏。これまでの来日公演も多く、日本に親しみがあると話す氏が、7月に東京と京都でリサイタルを開催する。ソロとして演奏するのはこれが最後と話す氏に、リサイタルの見どころを伺った。
(通訳:築地 徹/取材協力:ドルチェ楽器 東京店)
ソロ活動の締めくくりを大好きな日本で
――シューさんは来日回数も多いですが、日本の文化や音楽環境にどのようなイメージをお持ちですか?
ハンス・ペーター・シュー(以下S) 日本は非常に高い文化を持っていると思います。演奏会を開催する際も、準備も含めてすべてが順序立ててきちんと進められる素晴らしい国ですね。私にとって特別な場所です。日本の皆さんが、ウィーンの音楽を大事にしてくれることにも常々驚かされ、嬉しく思っています。
――7月には、東京と京都でリサイタルを開催されますね。
S はい。実は、今回の公演をソロ活動の締めくくりと考えていて、その開催地として日本を選びました。数多くの国でソロ演奏をしてきましたが、最後は大好きな日本でやりたいと思い、何度も共演しているピアニストの児嶋一江さんに声をかけました。
――日本を選んでいただき、大変光栄です。リサイタルの見どころを教えてください。
S 全曲に趣向を凝らしているので、すべてが見どころですよ(笑)。今回はあらゆる時代の曲を選んでいて、使用する楽器もさまざまです。バロックではピッコロトランペットを使いますし、ネルーダの『トランペット協奏曲』は、元々コルノ・ダ・カッチャのために書かれた曲ですから、できるだけそれに近い楽器を選んで演奏したいと考えています。
また、グラーツ音楽大学で一緒に教鞭をとっている作曲家ツェッビンガー氏の曲にも注目してほしいです。演奏する『ユダヤの歌によるパラフレーズ』は、ユダヤの旋律をモチーフにした5楽章からなる作品です。彼には曲のアレンジをお願いしたり、私のために作品を書いてくれたこともあります。親しくしている作曲家の作品を、日本の皆さんにご紹介するのが楽しみです。
多彩なプログラムを用意しているので、異なるキャラクターの作品をどう表現するか聞いていただきたい。そして、お客さまにもご自身の気持ちの変化を味わっていただきたいです。
――京都橘大学吹奏楽部とは、ハイドンの『トランペット協奏曲』を共演されますね。
S はい。アメリカ式の吹奏楽と共演するのは初めてなので、ワクワクしています。この曲は、トランペット吹きが試験やオーディションで取り組む主要曲ですが、コンサートで全楽章を演奏する機会はそう多くありません。だからこそ、ソロとして演奏できることに畏敬の念があり、非常に幸せなことだと感じています。私にとって大切で、大好きな作品です。
――マスタークラスも開催しますが、日本の学生の印象は?
S 日本の学生は技術も向上し、非常に良くなっていると感じます。ただ、感情を表に出すことが少ないですね。それを克服すると、もっと生き生きとした音楽ができると思います。これを教えるのは難しいことですから、学ぶというより感じることが必要になります。僕らが表現することを、いかに感じるか。同じように感じられれば、同じように表現できるはずです。いろんな演奏を聞いて、まずは感じることから始めてほしいと思います。
●PROFILE
ハンス・ペーター・シュー Hans Peter Schuh
1956年オーストリアのピンガウ生まれ。グラーツ音楽芸術大学オーバーシュッツェン分校にてハンス・マイスター氏に、ウィーン国立音楽大学にてヘルムート・ウォービッシュ氏に師事。リンツ・ブルックナー管弦楽団首席奏者を務めたのち、ウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で1993年より首席を務める。1991年よりグラーツ音楽芸術大学分校教授。国内外でオーケストラ、ソロ、アンサンブル、室内楽など幅広い分野で活動している。
◇ハンス・ペーター・シュー 児嶋一江 デュオ・リサイタル
[日時]7月11日(水)18:30開場/19:00開演
[会場]ヤマハホール(東京・銀座)
[出演]ハンス・ペーター・シュー(Tp)、児嶋一江(Pf)
[曲目]D.ガブリエリ:トランペット・ソナタ 第5番、L.v.ベートーヴェン:7つのバガテルop.33より(ピアノソロ)、J.B.G.ネルーダ:トランペット協奏曲、F.ツェビンガー:ユダヤの歌によるパラフレーズ、R.シュトラウス:情緒のある風景 作品9より(ピアノソロ)、K.ピルス:トランペット・ソナタ
[料金]全席自由 一般¥6,000/学生¥3,000
[問合せ]プロ アルテ ムジケ 03-3943-6677 www.proarte.co.jp
◇京都橘大学吹奏楽部ジョイントコンサート
[日時]7月15日(日)13:30開場/14:00開演
[会場]京都府長岡京記念文化会館(京都・長岡京)
[出演]ハンス・ペーター・シュー(Tp)、児嶋一江(Pf)、山本一宏(Cond)、京都橘大学吹奏楽部
[曲目]Ⅰ部<ハンス・ペーター・シュー&京都橘大学吹奏楽部>F.J.ハイドン:トランペット協奏曲 Ⅱ部<ハンス・ペーター・シュー&児嶋一江>F.ツェビンガー:ユダヤの歌によるパラフレーズ、F.マルタン:8つの前奏曲より(ピアノソロ)、K.ピルス:トランペット・ソナタ Ⅲ部<京都橘大学吹奏楽部>2018年度吹奏楽コンクール課題曲 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ ほか
[料金]全席自由 一般¥2,000/高校生以下¥500
[問合せ]プロ アルテ ムジケ 03-3943-6677 www.proarte.co.jp
◇ハンス・ペーター・シュー トランペット公開マスタークラス
【東京】
[日時]7月9日(月)19:00開講
[会場]アーティストサロン“Dolce”東京
[聴講料]一般¥2,500 DMC会員¥2,000
[問合せ]ドルチェ楽器 東京店 03-5909-1771
【大阪】
[日時]7月16日(月・祝)19:00開講
[会場]ドルチェアーティストサロン大阪
[聴講料]一般¥2,500 DMC会員¥2,000
[問合せ]ドルチェ楽器 大阪店 06-6377-1117