THE TRUMPET vol.3 付属CDレコーディング
多彩なフィールドで活躍する敏腕マルチ奏者ルイス・バジェがレクチャー!トランペット大定番曲をLet’s Play!!
創刊号、第2号に続いて、THE TRUMPET vol.3にも豪華付録となる本誌オリジナルのCDが付属されている。今回の選曲のテーマはズバリ“トランペットの大定番曲”。奇をてらわず、トランペット吹きなら誰もが一度は演奏してみたいと思うはずの有名曲をズラリ並べてみた。CDにはその全6曲の模範演奏とマイナスワンのカラオケが収められている。誌面には6曲すべての楽譜と演奏アドバイスが掲載されているので、聴いて楽しめて、吹いて楽しめる、一枚で何度でもオイシイ逸品となっていると言えるだろう。また、創刊号と第2号にはなかった[練習トラック]を6パターン用意。曲を吹く前のウォーミングアップに最適だ。
さて、サウンドのテイストも演奏のレベルも様々な6曲となったことで、模範演奏のプレイヤーとして満を持して登場してもらったのがルイス・バジェ氏。ご存じのようにキューバの音楽一家に生まれ、キューバの名門校でクラシックを学び、日本を拠点にプロ活動をはじめてからは、ラテンやジャズはもちろん、J-POPの現場でも引く手数多のファーストコール・プレイヤーだ。また、自身のバンド「ルイス・バジェ&アフロキューバミーゴス!」での活動も精力的に行なっている。
ハイクオリティなカラオケが完成し、9月某日に都内スタジオでレコーディングを敢行。多彩なジャンルに対応できるバジェ氏だけに、編集部からの要望にも余裕の笑顔で応えてくれた。そこで披露してくれた鮮やかなプレイは、本サイトでも少しずつだが試聴できるので是非Checkしてほしい!
【THE TRUMPET vol.3 付属CD収録曲紹介】
[Track No.1]
サンチェスの子供たち
(Children Of Sanchez)
チャック・マンジョーネ
THE TRUMPET創刊号の付属CDでも取り上げた『Feels So Good』という大ヒット曲を持つチャック・マンジョーネ。フリューゲルホーンの名手にして作曲家としても高い評価を受ける彼の、もう一つの代表曲が『サンチェスの子供たち』です。
オスカー・ルイスの著作「サンチェスの子供たち」をベースに製作された同名映画のために書き下ろされた一曲で、日本ではクルマのテレビCMにも使用されて人気を博しました。また、この曲を収めた同名アルバムで、マンジョーネは1978年にグラミー賞も獲得しています。国内の吹奏楽シーンでも、岩井直溥氏や前田憲男氏といった巨匠のアレンジで親しまれています。バジェさんは中島楽器オリジナルのフリューゲルホーンに、同じく中島楽器オリジナルのマウスピースというセッティングで、柔らかでまとまりのある音色を作り出し軽快に奏でてくれました。
[Track No.2]
銭形マーチ
大野雄二(数原 晋)
ご存じテレビアニメの傑作「ルパン三世」。その主要登場人物の一人である銭形警部の登場シーンに流れるテーマ曲が、この『銭形マーチ』です。作曲はもちろん、本アニメ作品で使用されるほぼ全曲を手がけているピアニスト・作編曲家の大野雄二氏。多くのヴァージョンが存在し、国民的歌手・三波春夫が歌詞をつけて唄ったものもあります。
今回の付属CD収録に際して参考にしたのは「ルパン三世」誕生40周年と『ルパン三世のテーマ』誕生30周年を記念して、2007年9月に開催されたスペシャルコンサートでの演奏。総勢16名の特別編成バンドによる演奏ですが、この曲でリードトランペットを担当しているのが数原晋氏。日本のスタジオシーンを黎明期から支えた大御所です。
バジェさんは、数原さんのヴィブラートを効かせて歌うように奏でたプレイを見事に再現。ゴールドプレートのNAKAJIMA TRUMPETのオリジナルモデルの音色が冴え渡っています。
[Track No.3]
夜空のトランペット
ニニ・ロッソ
イージーリスニングのジャンルで一世を風靡し「トランペットの詩人」との愛称でも呼ばれたイタリア人奏者ニニ・ロッソ。『夜空のトランペット』は作曲家としても類い稀な才能を発揮した彼のペンによるナンバーです。この曲は1965年に発表され、本国イタリアはもとより、ドイツ、オーストリア、スイスでチャート1位を獲得するという世界的なヒットを記録しました。日本のお茶の間では特にお馴染みの「水曜ロードショー」のテーマ『水曜日の夜(Wednesday Night)』と並ぶ、彼の代表曲と言えるでしょう。
バジェさんは、NAKAJIMA TRUMPETのオリジナルモデルのトランペットと中島楽器オリジナルのマウスピースという組み合わせで真っ直ぐで綺麗な音を作り出し、哀愁味溢れる演奏を披露してくれました。
[Track No.4]
Just The Way You Are
ビリー・ジョエル
アメリカを代表するシンガー・ソングライターであるビリー・ジョエル。不遇だったデビュー初期から一躍スターダムに上るきっかけとなったアルバムが、1977年発表の5thアルバム「ストレンジャー」です。この『Just The Way You Are』もその中に収められたナンバーで、『素顔のままで』という邦題も有名です。1978年度のグラミー賞では最優秀楽曲賞と最優秀レコード賞を獲得し、不朽の名曲として多くのカバーも生んでいます。
また、間奏でジャズアルト奏者のフィル・ウッズがプレイしたソロも名演として名高く、ジャズ界を飛び越えてポピュラー・シーンでも彼の名前が轟くことになりました。バジェさんは、今回そのアドリブソロをほぼ忠実に再現してプレイ。甘いメロディを芯のある太い音色で奏でてくれました。
[Track No.5]
I Remember Clifford
ベニー・ゴルソン(アート・ファーマー)
『クリフォードの思い出』という邦題も持つ『I Remember Clifford』は、1956年に交通事故により25歳の若さでこの世を去った、天才トランペット奏者クリフォード・ブラウンへの追悼曲です。曲を書いたのはクリフォードの友人だったテナーサックス奏者のベニー・ゴルソン。そしてこれを初演したのは当時19歳でクリフォードと入れ替わるようにジャズ・シーンに登場した、もう一人の天才奏者リー・モーガンでした。
今回の付属CDで参考にしたのはこのヴァージョンではなく、ゴルソン自身とこちらも名トランペッター、アート・ファーマーがコンビを組んだ“ザ・ジャズテット”のアルバム「ミート・ザ・ジャズテット」に収録されたものです。バジェさんはこの名バラードをたっぷりと歌うように演奏してくれました。
[Track No.6]
Fandango
THE TRUMPET創刊号の付属CDでは、ティファナ・ブラス名義の『Bitter Sweet Samba』を取り上げたハーブ・アルパート。同曲は深夜ラジオ番組『オールナイトニッポン』のテーマ曲として日本では馴染み深いものですが、アルパートの曲は他にも日本のテレビで頻繁に流れていたものが、いくつもありました。その中のひとつがこの『Fandango 』。ウイスキーのCM曲として1980年代に日本のお茶の間にこの曲が流れていました。
実は当時のアメリカのテレビCMでもアルパートの曲が使われていたそうで、バジェさんは隣国であるキューバで、それを観てアルパートに憧れていたそうです。このスパニッシュ・テイスト溢れるナンバーを持ち前のラテン・スピリット全開で、バジェさんが鮮やかなプレイを決めてくれました。