今回も引き続きファゴット編です。意外と重いファゴットを持つ時に負担のかかる左手を楽にする方法について、シエナ・ウインド・オーケストラの鹿野智子さんに聞きました。お悩み解決のヒントにしてください。
楽器は右のもものあたりと、左手の人差し指で支えています。そのため、左手にかなりの負担がかかります。また、左手の親指は押さえるキィが10個くらいあるので、左手に力が入っていると親指がスムーズに動きません。そこで、第2関節と第3関節の間から水かきの手前あたりを支点にして指を動かせるようにして、負担を軽減させています。
さらに、左手にかかる楽器の負担を軽減させるバランサーという装置があります。これは重心の位置を上にずらすためのものです。棒状のバランサーにはいくつもの穴が開いていて、そこにストラップのフックを掛けることで重心を上にずらすことができます。ただし、これはバランサーを装備するための穴が開いていないと取り付けることができません。メーカーはオプションで設定している場合もあります。
チャルメラという楽器を知っていますか? そうです、屋台のラーメン屋さんの客寄せに使われている楽器です。先がラッパのようですが、実は吹き口はオーボエと同じダブルリードです。今でもトルコなどで使われているズルナという楽器がフランスに伝わって室内楽向けに変化したのがオーボエなのに対し、ズルナがシルクロード経由で中国に伝わり、安土桃山時代に日本化されたものがチャルメラです。「チャルメラ」という名前は長崎の宣教師たちによるもので、ポルトガル語の「チャラメラ(charamela)」、フランス語の「シャリュモー(chalumeau)」が該当します。「シャリュモー」はクラリネットの原型となった古楽器の名前としても有名ですね。チャルメラの開放的な音と、オーボエの繊細な音……性格は正反対ですが、元は同じ楽器というのはおもしろいですね。