桐朋学園大学 第25回 Symphonic Winds 演奏会
2015年12月17日(木) くすのきホール(調布) 指揮:上原 宏
桐朋学園大学音楽学部というと、「弦の桐朋」と言われるほど弦楽器奏者の活躍をよく耳にするのだが、管楽器も負けていない。そんな感想を強く抱いた演奏会だった。
G. ヴェルディ『歌劇「運命の力」序曲』の堂々たる金管の響きで幕を開け、エネルギーに満ち溢れた演奏で聴衆を引き込んだ。バラエティに富んだプログラム構成の中でも、とりわけ目を引いたのが『プリズム・ラプソディー~マリンバとウインドアンサンブルのための』だろう。桐朋学園大学特任教授で世界的マリンバ奏者でもある安倍圭子さんにより書かれたマリンバ協奏曲であり、在学生である細田眞裕さんの縦横無尽に躍動するマリンバと、桐朋学園の講師で東京佼成ウインドオーケストラのホルン奏者としても名高い、上原宏率いるウインドオーケストラのハーモニーが織りなす世界はまさに圧巻と言うべき迫力。大きな拍手が送られた。
写真:星ひかる
第一線で活躍する一流の教員陣を見ると、この高い演奏レベルにも思わず納得してしまう。しかし決して個々のテクニックに頼るわけではなく、大編成による表現、あくまで音楽を大切にしようという姿勢が聴いている側に伝わってきた。
さて、色々と書いたが、隣に座っていた中学生だろうか。思わず口に出ていた「すごい、音が体に迫ってきた」という一言に、今回の演奏会の模様が凝縮されている気がした。