フルートとクラリネットの六重奏ユニット｜ハロクライン Halocline

Wind-i mini 35号｜Pick Up

Halocline ハロクラインメンバー
山本拓夫 Takuo Yamamoto（Compose,Arrange,Bass Clarinet）
黒田由樹 Yuki Kuroda（Flute）
三枝朝子 Tomoko Saegusa（Flute）
高市紀子 Noriko Takaichi（Alto Flute）
渡邊一毅 Kazuki Watanabe（Clarinet,E♭Clarinet）
大下和人 Kazuhito Oshita（Clarinet,Bass Clarinet）

スタジオミュージシャンやアレンジャー、サウンドプロデューサーとして、ポピュラー音楽の分野で幅広く活動する山本拓夫氏。サックスプレイヤーとしての顔がよく知られていますが、木管楽器のマルチプレイヤーでもあります。その山本氏が結成した、クラリネット3本（うち1本は山本氏が担当するバスクラリネット）、フルート3本という木管六重奏のユニットが「ハロクライン」です。メンバーはそれぞれ、さまざまなフィールドで活躍中の奏者たち。そんな彼らが考える、アンサンブルの魅力とは─？

“6人いるとちょうどいい”くらいの調和

――: ハロクラインはもともと、音楽プロデューサー･井上鑑あきらさんの企画「連歌　鳥の歌」に参加した山本さんが作った六重奏の曲を演奏するために、結成されたそうですね。
山本: 僕の周りにいるのはジャズとかポップスの世界の人ばかりだったんです。でも、この作品はそっちの方向じゃなくクラシック方面の人たちでやったほうが面白いなと思って、六重奏をやれる人たちを集めてくれないかと、知り合いだった黒田さんに声をかけたのが始まりです。
黒田: 拓夫さんの音楽なら、クラシックだけをやっている人よりも、クラシックが基盤だけどほかのジャンルも好きで吹いたりしている人のほうがいいと思ったのと、拓夫さんがこういうユニットを作られるんだけど……と言ったときに喜んでくれそうな人たちに声をかけた結果、今のメンバーになりました。高市さんは芸大時代の同級生で、他のメンバーは全員私の芸大の後輩です。
山本: そんなふうに考えて集めてくれたとは、知りませんでした（笑）。

――: メンバーの皆さん自身が感じる、ハロクラインというアンサンブルの魅力はどんなところですか？
渡邊: 僕は最初からのメンバーじゃなくて、あるとき誘われて、ハロクラインのライブを観に行ったんですよ。そうしたら、もうライブがカッコよすぎて。
で、最初はエキストラでという話だったんですけど、いつのまにかこういう形で仲間に入れていただきました。
僕のパートはクラリネットの中のいちばん上の声部になるので、楽しみつつも責任重大だな、と痛感しています。拓夫さんの描く音楽が、それまでの自分の中にないもので、でも聴いたらスッと入ってきて、すごくカッコよくて……というところが魅力で、ぜひやらせていただきたいと思った一番の理由です。

Halocline

本番がなくても、ただひたすら練習……

――: メンバーご自身がまず喜びや楽しさを語る音楽って、プロではあまりないような気がしますが、みなさんにとっては本当にそれが原動力になっているのですね。
黒田: 今年はレコーディングもあったし、目的があって集まっていましたけれど、去年までは、特に何もなくても集まって練習していた時期もありましたね。こんなこと学生以来したことがない、というくらいの感じでした（笑）。
山本: それってでも、原点だよね。今は仕事にしちゃってるからそういう気持ちが消えてなくなってる人がいっぱいいると思うんだけど、最初はやりたいからやるわけで。楽しいからやってる、本当に“同好会”ですよ。
人が集まるほど調和することって難しくなると思うんだけど、それぞれの志のハモリがあって、いい感じに音楽を作れているよね。粗削りなところもあるんだけれど、やっぱり純粋に楽しんで作ってる音楽だっていうところが、すごく貴重なんです。アマチュアの人たちも、触発されてアンサンブルをやりたいな、と思ってもらえたら嬉しいです。