吹奏楽ファンに絶大な人気を誇る、オリジナリティの際立つ作曲家ジョン・マッキー。
すべて彼の作品で綴るオール“ジョン・マッキー”プログラムを、シエナとの熱いタッグが大反響を呼んでいる原田慶太楼のタクトでお届けする。
7/4開催予定としていた当公演は、新型コロナウイルスの感染防止のため、8/30(日)に延期となった。指揮の原田慶太楼氏、ソプラノ・サクソフォンの住谷美帆氏の出演には変更はない。住谷氏は2018年東京藝術大学を首席で卒業し、同年7月スロヴェニアで行なわれた第9回国際サクソフォンコンクールの女性初の優勝者。BSジャパン「エンター・ザ・ミュージック」、日本テレビ「ヒルナンデス」等メディアにも出演し、今注目の若手サクソフォン奏者だ。
またオール ジョン・マッキープログラムについても変わらないが、委嘱作品のみは取りやめになった。「ジョン・マッキー氏に委嘱した新曲は、都合により演奏を取りやめることになりました。昨今のコロナ禍における状況は創作活動に悪影響を及ぼす可能性が高いため、双方協議した結果、より良い作品を生み出すためには発表の時期を延期することが最善と判断いたしました。近い将来皆様に発表できる機会を作り、しかるべき時期にご報告いたします」(シエナ・ウイン ド・オーケストラ HP ページより)。
この演奏会に対する思いを原田慶太楼氏にインタビューし、下記に掲載した。併せてお読みいただきたい。
※公演が延期・中止になる場合もございます。開催の有無を主催者にご確認の上、おでかけください。
指揮:原田慶太楼 ©Claudia Hershner
ソプラノサクソフォーン独奏:住谷美帆
指揮者 原田慶太楼さんに訊く
オール ジョン・マッキープログラムにした理由
―
今回のコンサートは、コロナウイルス感染防止のために8月30日に演奏会が延期となりました。プログラム自体はオール ジョン・マッキーということは変更はありませんね。とても攻めの姿勢が強いプログラムだと思います。
原田
ジョンは世界的に名の通った作曲家の一人ですが、特に吹奏楽では有名だと思います。僕自身がジョンと仲良くしていて、彼のカラーをよく知っているから選びました。
ここ最近は彼の『ワインダーク・シー』は様々な団体や指揮者でよく演奏されていますし、僕自身がサックス奏者でもあるので『ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲』を入れたかった。ソリストの住谷美帆さんは国際コンクールで第1位を受賞され素晴らしい演奏家です。先日僕が企画したテレビ朝日の『題名のない音楽会』にも出演してくれましたす。
―
シエナ・ウインド・オーケストラとは何回目の共演になりますか?。
原田
今回で3回目です。今まではシエナさんが僕に振ってほしいプログラムで構成していましたが、「3回目だから僕の企画をやらせてほしい」と話をして、オール ジョン・マッキープログラムが実現しました。
僕は日本人であるけど、活動のベースは海外にあって、アメリカ人だと思っています。そういう僕が日本人の作品を振るのもいいだろうけど、僕に振ることによってプラスになるのはアメリカ人の作品ですから。
今回のプログラムは難しいし、体力的に大変な部分があると思います。でも「大変」というのはネガティブな言葉です。それよりも、日本のオーケストラや吹奏楽はアメリカの作曲家の作品の演奏の仕方をよく理解していないと思っています。モーツァルトやベートーヴェン、チャイコフスキーなどは、歴史があるからどのように演奏すればいいかわかっています。演奏家を目指す人たちもヨーロッパで勉強することが圧倒的に多い。でもアメリカの音楽を肌で感じて、アメリカの音楽家と交流して、音楽を理解している人は少ないと思う。僕ならそれができる。そう考えると、僕がアメリカの作曲家の音楽をやるのは当たり前だと思うでしょう。
「大変」なのは音だけの問題であって、音楽の感性やジョンが考えていることを理解して演奏すれば、けっして大変な曲ではないのです。
僕は初演を振ることが多いんですよ。アソシエイト・コンダクターを務めていたシンシナティ交響楽団は、現代曲に力を入れていたので、世界初演は年間20以上やっていました。
原田
それも大変じゃないんですよ。だって作曲家が生きているから、教えてもらえるし仲良くもなれる。日本の音楽界は日本人の作品をを演奏する機会が少ないですよね。でも100年後に生きている人が、今の時代を振り返ってみたときに、この時代の音楽家たちは何をやっていたんだろう、と思われたくない。今の音楽をやらないということは、未来のことをまったく考えていない、ということです。
シエナで先日録音したプロジェクトがあります。8人の作曲家の作品ですべて初演の録音です。発売はこれからですが、そういうプロジェクトは大切にしたい。今の時代の音楽家だから、今の音楽をやらないといけない。今の人がやらなければ誰がやるの?ってなりませんか?
―
今回のプログラムの思いが伝わって、より一層演奏会が楽しみになりました。当初、シエナがマッキーさんに委嘱した世界初演も予定されていましたが、今回はその作品は延期となりましたね。
原田
ええ。その分アンコールで面白い仕掛けを考えていますよ。先程述べたように、『ワインダーク・シー』は演奏回数が増えているからこそ、いろんな指揮者・演奏家の演奏を聴くべきです。僕の演奏を聴いてアイデアを得てほしい。たとえばそれが「違う」ということでも。それは最終的にはプラスになることだと思います。
―
ありがとうございました。素晴らしいコンサートになることを楽しみにしています。
Concert Information
シエナ・ウインド・オーケストラ 第50回定期演奏会
[日時]8/30(土)14:20開場 15:00開演
[会場]文京シビックホール大ホール(東京)
[出演]原田慶太楼(Cond)、シエナ・ウインド・オーケストラ、ソリスト:住谷美帆(Ss)
[プログラム]<オール“ジョン・マッキー”プログラム> セイクレッド・スペース/ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲/吹奏楽のための交響曲「ワインダーク・シー」
[料金]S¥5,500 A¥4,500 B¥3,500 学生席¥2,500
[問合せ]シエナ・ウインド・オーケストラ事務局03-3357-4870(平日10:00-18:00)
※新型コロナウイルスの影響で状況が変わる可能性があります。開催については、必ず事前にご確認ください。