原田 古いグリスを拭き取るためのガーゼやクロスを用意してください。固着してしまったスライドグリスを取り除く際は、前号で紹介したオイル・グリスクリーナーを使用すると効果的です。 また、グリスを塗った部分にはもちろんグリスが付いていますが、その反対側、クラリネットでいうと上管にグリスを塗ったら、下管の管体内部にもグリスが付着しています。その部分のグリスも拭き取る必要があります。金管楽器の場合はクリーニングロッドにガーゼを巻いて管の内側を拭き取るのがオススメです。
原田 大量に塗りすぎないようにしてください。多く塗ることで余分なグリスがはみ出ます。はみ出したグリスをそのままにしておくと、そこにゴミやホコリが呼び寄せられ、可動部の動きが悪くなったりしますので注意してください。 また、コルクグリスは飛びにくいので軽く拭ってからケースに仕舞うようにしてください。そのまま仕舞うと、ケースの内側にグリスが付き汚れてしまったり、ケースに使用されている生地の毛羽がこびり付いてしまうこともあります。気をつけましょう。
原田 グリスを毎回塗らないといけないと思っている方もいますが、動きに問題がなければ塗る必要はありません。ただ、コルクグリスに関しては塗らないと楽器を組み立てられないことが多いので、毎回塗っていただいたほうがいいかもしれません。 また、常識、非常識になるかわかりませんが、「フルートにはスライドグリスを塗らなくていいんですか?」という質問をいただくことがあります。フルートではジョイント部の調整をシビアに行なっているので、グリス類はいっさい塗りません。組み立てられないときは楽器が歪んでいるので修理に出しましょう。