自らの演奏を繰り返し聞いて、客観性を持たせる
―― TASCAM「DR-44WL」はスマートフォンからWi-Fiを介し、本体の遠隔操作ができます。
宮地 それはとても便利ですね。ホールにしてもライブハウスにしても、自分が立っているステージから離れた場所までわざわざ移動して、レコーダーをセットして録音ボタンを操作する手間や、いざステージに上がってしまってから、演奏がはじまる直前や他のパートの人が演奏中のときに、「あれ? さっき録音ボタンを押したかな?」みたいな不安がなくなりますよね。録音中の状態も常に手元で確認できるところはとても便利だと思います。
―― 4チャンネルのMTR機能も内蔵されていますが、ふだんは多重録音などされますか?
宮地 レコーディングスタジオで時間的に不可能な多重録音は、自宅スタジオにデータを持ち帰ってやることが多いです。たとえば、カラオケを流しながら、クラリネット1本で重ねていくみたいなこともします。ひとりホーンセクションのようなことですよね。まさに、僕がやっているグループの「クアドラ」を一人で……みたいな(笑)。
―― PEAK(ピークリダクション)機能が搭載されているので、全体の音量を感知して、それ以上の入力レベルにならないように自動で設定できます。では、録音した音をヘッドフォンでご確認ください。
宮地 ……音が良すぎて、「自分の音ってこんなに良かったっけ?」と……反省材料にならないですね(笑)。それはともかく、レコーディングのようなスタジオだとどうしても閉ざされた空気感ない状態での演奏になってしまいますが、今日のような環境の中で、手軽にかつ高音質で自分の音を確認できるのはいいですね。
―― 自分のサックスの音を録って、聴く、ということがとても大切なことなのですね?
宮地 サックスの音というのは、奏者自身が楽器を構えて吹いている状態から聴こえてくる音と、吹き終わってから確認する音というのは全然違います。 自分の音を録って、それを100 回ぐらい繰り返し聴いてみることです。もし、うまくいかなかった演奏で幻滅しても、それは良いことなのです。要は自分に「客観性」を持たせて自らが反省して、課題を探っていくことが重要なのです。そういう意味で、このTASCAM「DR-44WL」は、多くの便利な機能を備えている上、最高の音質で録音できるレコーダーなのでとてもお薦めの1台といえますね。