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金澤恭悦のリペアマンへの道! サクソフォン全タンポ交換編

Wind-i mini 14号 -第8回-

第8回 サクソフォン全タンポ交換編

代官山音楽院、管楽器リペア科で行なわれる実際の授業を追いながら、代官山音楽院主任講師の金澤恭悦先がリペアの基本、そして技術が現場にどのように活かされているかを解説してもらうこのコーナー。今回は前回までのまとめ、「全タンポ交換について」です。

Wind-i miniを読んでいる人は分かると思いますが、4月から11月まで半年、キィの名前を覚えるところから始まって、基本的な作業の練習がひと通り終わりました。ここまでが基本でこれからやることが実はメインなんです。最終的にはお客様の楽器を修理するわけですから、修理屋さんとしては完璧にできなくてはいけないのです。 授業としては繰り返し繰り返し全タンポ交換を行ない、仕事の精度・スピードを上げています。
今日も全タンポ交換後の採点用紙を返しましたが、そこでは成績を気にするのではなく、“今の自分には「なにができてなにができないのか」を知ること”が大事なんです。95点とったから良いというわけではなくて、常に100点を取れないと仕事にはなりません。これが全タンポ交換の難しいところです。

全タンポ交換について

仕事にしていく上で、場合によってはとんでもない壊れ方をした楽器を直すこともあります。そんなときにどんなものでも短時間で直していけるようにするには、やはり現場の経験が必要です。代官山音楽院も管楽器リペア科2年生を対象に島村楽器さんが行なっている「楽器リサイクルプロジェクト(※)」にて生徒たちにはいろんな状態の楽器に慣れてもらうのですが「こういう処置をすれば良い」と瞬時に判断できるようになるには、そういった現場経験を積むしかないので、色々経験していくことが大切ですね。

全タンポ交換について

修理というのは自分の好みの状態にするのではなく、まずは楽器をスタンダードな状態に戻します。形だけではなくて音の質まで元に戻すというところまでこだわります。そのためにも、可能な限りオリジナルの純正パーツを手に入れて修理するということがすごく大事なのです。その上でお客様の希望があれば、それを加味して、グレードアップしていくというのが修理屋さんの仕事と言えます。

(※:2013年から島村楽器で始まった楽器リサイクルプロジェクト。
詳しくは http://www.shimamura.co.jp/corporate/csr/1310-recycle/index.html

 


Profile|金澤恭悦

69年日本管楽器(株)入社。日本管楽器製造(株)(現ヤマハ)と合併後、本社にてクラリネットの開発に携わる。77年に開設された「ヤマハアトリエ東京」の初代スタッフとして木管楽器の専門家対応を22年間担当。特にサックス奏者ソニー・ロリンズ氏からの信頼は厚い。更に北米の修理技術を視察、アジアにおいても技術指導を行なうなど海外でも活躍。現在は代官山音楽院主任講師、リペア工房atelier kanazawa主宰。

 

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