外れる楽器のことをベルカットのホルン、外れない一体型の楽器をワンピースのホルンと呼んでいます。もともとはワンピースの楽器しかありませんでした。ベルカットが登場したのはかなり最近のことです。
ベルカットの利点は持ち運びが楽ということにつきます。飛行機でもベルカットなら機内に持ち込むことができます。ベルカットが登場したことで、セミハードケースも種類が増えました。
楽器本来の響きを出せるのはワンピースです。ベルカットは接合部のベルリングで響きを止めてしまいます。ベルカットはベルリングの分重量が増えるので、抵抗も大きくなりますが、その抵抗があることでコントロールしやすいと感じる方もいらっしゃいます。長年ベルカットを吹いている方がワンピースにすると、抵抗が減ってかえって吹きづらく感じることもあるそうです。
ベルカットの楽器に特有のベルリング
操作性が違います。ボールジョイント(機械式)は可動部分が金属なので、レバー操作が重く感じます。ひも式は軽く動くので、速いパッセージでも吹くことができます。また、レバーの高さもひものテンションで調節できます。しかしひもは切れることがあります。オイルが付着するとひもは弱っていくので、可能な限りオイルがつかないように気をつけましょう。プロだと、自分で結び方を勉強して、予備のひもを持ち歩いている方もいらっしゃいます。逆にボールジョイントにはしっかりオイルを注さないと操作性が悪くなったり雑音が出たりしますので、注意してください。
(写真左) ひも式のロータリー/(写真右)ボールジョイントのロータリー
しっかり管内の水を抜いて、表面を乾拭きしてください。暑い季節は特に、汗や水分がついたままの状態だと、表面のラッカーや金属は酸化して剥がれたり錆びたりしてしまいます。オイルは注しすぎると埃がつく原因になるので、注意しましょう。
楽器の置き方は、これも諸説あるのですが、個人的にはマウスパイプ側を下にするのがおすすめです。マウスパイプが万が一へこんでしまうと、音質に大きな影響が出てしまいます。マウスパイプにチューナーなどを落としてしまい、ダメージが出てしまわないように気をつけましょう。
ベルカットの部分が外れなくなって無理に回そうとすると、おしぼりのようにベル全体がねじれてしまうことがあります! 年に1〜2件はそのような修理の依頼があります。そうなってしまう前に修理に出すようにしてください。
(写真左) この向きで置くのがおすすめです /(写真右)ねじれてしまったベル。こうなる前に修理に出しましょう!