フルート、サックスに引き続き「見直そう、基礎のキソ!」のクラリネット編で楽器の基礎的な部分をおさらい。この特集を読めば、この秋のクラリネットの練習はバッチリです!
クラリネットの各部名称をチェック!
クラリネットを吹く準備をしよう
■ 楽器を組み立てよう
クラリネットを吹くとき、上管のキィを左指、下管のキィを右指で押さえますが、組み立てるときも同じように、上管を左手、下管を右手に持ってください。
まず、上管と下管を組み立てます。このとき右手で下管とベルの間を持ってください。力が入りやすくなります。左手は、中指のキィを押さえながら持ちます。こうすると下管とのジョイント部分のキィが少し上に持ち上がりますね。決して、下のほうの長いキィのところを持って組み立てないようにしてください。ここを持って組み立てる人はとても多いのですが、そのためにキィが曲がってしまっている楽器も多いんです。
この状態で組み立てるのですが、ちょっとコツがあります。最初は、上管と下管のキィを一直線にそろえずに、上管を少し後ろ側に回した位置に組み立てておきます。そのあとで下管をしっかり持って、上管のほうだけを、中指のキィを押さえたまま前方に回して連結キィを一直線にします。こうすればジョイント部分の連結キィがぶつからず、キィのコルクをいためることもありません。この組み立て方をぜひ覚えてください。
■ マイマウスピースを持とう
楽器の次に大事なもの、それはマウスピースです。これはもう声を大にして言いたい。「自分のマウスピースを買ってください!」と。マウスピースこそ、吹きやすさ、音色、上達速度に一番大きな影響をもたらす部品。良くないマウスピースだと、プロでも美しい音を出すのは難しいです。もし皆さんの学校に講師の先生がいらしているなら、遠慮なくマウスピースの選定をお願いしてください。皆さんに一番合ったマウスピースを選んでくださるはずです。うちには講師なんて来ない!という皆さんには、各楽器屋さんにある「選定品」を買うのをおすすめします。別に回し者でもなんでもないですが、まずはバンドーレン社の「5RVライヤー」というモデルがスタンダードでよろしいかと思います。
■ リガチャー、締めすぎてない?
まだまだあります大事なもの。次はリガチャーです。これは歪んでさえいなければ、学校にある物でも大丈夫です。が、締め方が問題。だいたいほとんどの人がガッチガチに締めすぎてしまい、わざわざ息が入りにくい状態で楽器を吹いています。1本ネジタイプのリガチャーを使っている人はネジが完全に止まりきる少し手前で締めるのを止めてください。2本ネジタイプの人は、下側のネジは1本ネジの人と同じぐらいにして、上側のネジはそれよりももう少しゆるい状態がベストです。この締め加減をベースラインにして、使うリードに合わせて若干締めたり緩めたりの微調整を行なってください。リガチャーを装着する位置も割と重要です。マウスピースを横から見ると、2本の横線が引かれているので、その間にリガチャーが収まるように付けてあげましょう。リードの硬い皮の部分を均等に締められる位置が良いと思います。
■ リードは消耗品!
最後はリードです。クラリネットを吹く人は否応無く直視せざるを得ない最大の悩みポイント。これもいろんなメーカーから様々なタイプのリードが発売されているので、いろいろ試してみていただければよいと思いますが、それぞれのマウスピースに合ったリード、番手が存在しますので、新しいリードを試すときはお店の人に自分が今吹いているマウスピースを伝えて、それに合う番手を教えてもらいましょう。
リードはクラリネットを吹くうえで最も激しい消耗品です。1枚のリードでずっと練習するのではなく、何枚かをローテーションして練習したほうが結果的に長持ちするので、常に何枚かは良いリードを確保しておく必要があります。1箱に自分に合ったリードが1 ~ 2枚しか入っていないということもザラにありますので、仲間同士で自分に合わないリードをトレードするのもいいですね。
音を出してみよう まずはロングトーン
■ 調子のバロメーター、ロングトーン
基礎練習において、まず一番大事なのはロングトーンです。熟練のプロ奏者であっても、毎日ロングトーンは欠かしません。それはなぜかと言うと、ロングトーンは自分の調子が一番ハッキリわかるバロメーターだからです。よくロングトーンは息を吹き込むための練習と思われがちですが、それは違います。一番大事なのは自分の音をよく聴くことです。だからなるべく静かな環境で臨むべし、なのです。
とはいえ、初心者にとっては楽器に慣れる、というのも大きな目的となりますので、まずはそのあたりからいってみましょう!
■ 息をまっすぐに保つ練習
ご存じの通り、クラリネットは息でリードを振動させることによって音が出ます。最終的には息を自在にコントロールすることによって、音量、音程、音色等様々な変化を音に与えることができるようになりますが、まずは音をまっすぐ伸ばしてみましょう。
音は安定しやすい実音B♭です。4秒間伸ばすことになりますが、その間に音が揺れていないかよく自分の音を聴いてみましょう。
⇒ 縦に音が揺れてしまう場合
アンブシュアが安定していないとピッチの変動が 起こり、音が縦に揺れてしまいます。噛みすぎるのもよくありませんが、噛む力を固定しましょう。
⇒ 鳴り方がまばらになってしまう場合
息の吐き方にムラがあるようです。ずっと同じ息で吐けるよう、吐く息のイメージを一定にしましょう。少し離れたところにある的に、同じ強さの息を当て続けるような感じです。
どうでしょう。安定した音は出せていますか? 実生活において、呼吸は常に加速と減速を伴って行なわれていますので、ずっと同じだけ息を吐き続けるということには、案外慣れが必要です。初心者の皆さんは安定した息が吐けるようになるまで根気よく練習を続けましょう。スポーツにおける初心者に基礎体力が必要な原理と同じです。どれだけセンスがあっても音(=スタミナ)がすぐに途切れてしまうようでは、良い演奏はできません。
慣れてきたら、4拍→8拍→12拍→16拍と吹く時間を伸ばしていきましょう。まだまだ体の小さい中学生でも、息さえうまくコントロールできれば20秒は吹けます。ただし、酸欠にならないように注意!
お手入れしよう
まずは管体内の水分をスワブで取ります。管体内の水分を取ったら、次は楽器の表面についた汗を、クリーニングクロスを使って拭き取っていきます。そして、マウスピース、バレル、上管、下管をすべて外して接合部の内部に溜った水分をティッシュペーパーなどできれいに拭き取ります。接合部の水分をスワブで拭き取る方もいますが、コルクグリスがスワブについてしまうので絶対にやめてください。スワブは管体の中を通すだけにしましょう。
スワブで拭き取るのはNG! 管の中を通すものなので、コルクグリスなどの油分はできるだけスワブに付かないようにしよう。
《 お手入れのワン・ツー・スリー♪ 》
1.管の中を拭く ⇒ 2.表面を拭く ⇒ 3.接合部を拭く