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後輩たちへ|小西 遼

第4回 小西 遼

プロ奏者として挑戦し続けている若手奏者にスポットを当て、夢を追って生きること、その過程、そして今プロになって感じることを語ってもらうコーナー。第4回はサックスマルチプレイヤーの小西遼さんです。

小西遼
 
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プロを目指そうと決めたのはいつ?
小西
小学生のとき、隣のクラスの先生がサックスプレイヤーの平原まことさんの奥様だったので、ある日体育館で平原さんの演奏会があったんです。それをきっかけに音楽やサックスに興味を持つようになりました。そして6年生の音楽会で、ピアノをやっていたクラスメイトが鍵盤を見ないでアコーディオンを弾いていてカッコいいなと思い、母親に「ピアノをやりたい」と言って習い始めました。中学では、テニス部か吹奏楽部か、どちらの部活に入ろうか悩んでいたら、母親に「中学のテニス部は軟式だからおもしろくないわよ」と言われ吹奏楽部を選んだんです。
吹奏楽部では“ 絶対にサックスがやりたい!” と思っていて、吹いてみたらすぐに音が出ました。そこからハマっていきましたね。中学3年のころにはなんとなく音楽1本でいくだろう、仕事にするだろうと思っていました。今でもそうですけど、好きなことしかしたくないので、決めたというよりはこれしかないんだろうなという感じでしたね。後々わかったのですが、ウチの中学のテニス部は硬式でした(笑)。
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プロとしての苦労は?
小西
楽しいことをやっているので辛いけれど苦労ではまったくないです。でも、もちろんメチャメチャしんどいときもあります。例えば最近、僕がリーダーのバンド「CRCK/LCKS」のレコーディングがあって、すでに4曲は完成していたけれど、あと2曲入れることになったんです。その2曲がレコーディングの1週間前なのに全然完成してなかった。他の曲の構成を考えると、パンチのある曲にしたいと1か月前から考えていたんですけど、書いてみたらやたら難しい曲ができちゃって、これが1曲目だとリスナーは引くなと思ってやり直して、の繰り返し。ほんとに大変でしたね。また、僕が主宰する、音と言葉と景色を融合させた表現集団「象眠舎」で作品を作るときも、前もってプランニングができない性格なのでギリギリで作ることが多いです。1公演の中に、だいたい1か月間で10曲ほど作るのですが、そのときは相当追い込まれてピリピリしていますね。でも、苦労ではないです。とても楽しいから。
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チャンスをモノにするためには?
小西
僕はフットワークの軽さと、人と人とのつながりだと思います。
これはチャンスがくるための入口を広げておくことで、そのチャンスを掴むためにはやっぱり練習ですかね。
どんなチャンスなのかにもよりますが、自分のやっているフィールドに関しての仕事が来たときは、ちゃんと“ 自分” の演奏ができるようにしておくこと。有名プレイヤーっぽく吹いてくれと言われたときも、それに応えられるボキャブラリーを持っておくこと。あと、自分の魅力を把握しておくことも大切だと思います。楽器が上手い人は、ごまんといるのでマイナス面も含めて自分が人からどう思われているのかを認識して、その通りに演奏できるようにしておくことが大事かなと思いますね。 
CRCK/LCKS(クラックラックス)

CRCK/LCKS(クラックラックス)

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モチベーションを保つ秘訣は?
小西
なぜモチベーションが下がっているのかを発見することです。楽器がうまくいかないなら練習する。楽曲のアイデアが出てこないならいろんな音楽を聴いてみる。
僕は音楽に関してテンションが下がることはあまりないです。もちろんうまくいかないことでイライラすることはあるかもしれませんが、やる気をなくして音楽ができなくなることがあるとすれば、だいたい人間関係だと思います。
そういうときは、あまり音楽のことを考えないようにしています。また、音楽に対してやる気ができないときは、音に疲れていたり、頭がついていけてなかったりしているので、とにかくやらないようにする。楽器を吹いていてつまらないと感じたときは、「やらなければいけない」という意識のほうが強いのだと僕は思うので、そんなときは吹きたい音だけ吹いて、吹きたくない音は吹かないでいればいい。制作に関しては、頭にあるアイデアをすべて書きだしてみていったん終わり。締め切りのある制作に関しては“ 必死にやる”。楽器の練習では、譜面をさらわないといけないときは、ゆっくりからやる反復練習と、楽曲をきちんと理解するなど、地道に取り組むことを大切にしています。
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学生時代と今とでは、デイリーエクササイズに変化はありますか?
小西
変わってないですね。スケール、半音階、アルペジオ、ロングトーン、学生時代からずっと一緒です。ただ、今は学生時代よりもボキャブラリーが増えていますし、いつも解析しながら音楽を聴いています。
自分がタイムどおりに吹ける、ピッチどおりに吹けるなど、しっかりとした技術を身につけないといけないと思ったときは基礎練習が重要です。譜面をさらわないといけないとき以外は、基礎練習をしていますね。僕はサックス以外、フルートとクラリネットも吹くので基礎練習をやると言っても時間がかかります。
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吹奏楽の魅力は?
小西
パーカッションの豪華さ、オケ曲を吹奏楽でやったときのド迫力、ポップス曲を吹くときの楽しさや気持ちよさなど、たくさんあります。あと、楽器の種類の多さですね。
いつも裏打ちばっかりだけどファゴットやホルン、ユーフォニアムをやっている子たちは、それぞれがいかに美しい楽器なのかを知り、自信を持ってもらいたいです。
象眠舎(ZOO-MIN-SHA)

象眠舎(ZOO-MIN-SHA)

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音楽家として生きていきたいという学生にメッセージをお願いします。
小西
自分が本当に楽しいと思えることを、言い訳せずにちゃんとやればいいんじゃないですかね。周りに何と言われようと、極端に言うと「そんなのダサいよ」と言われたとしても「いつかおまえら見てろよ」という気持ちで頑張ってほしい。それと世界は広いのでいろんなものに目を向けてほしい。
自分の好きなことにはとことん偏って、それ以外のことでは広い視野で見渡してチェックを怠らないこと。とにかくアンテナを張ることです。そして、遊ぶこと。これが一番重要かも!?(笑)。

Profile

小西 遼 R y o K o n i s h i
作編曲家・サックスプレイヤー。洗足音楽大学在籍時より国内外のジャズフェスティバルに参加、様々なコンテストにて優秀な成績を残す。2011年バークリー音楽院へ奨学金を得て留学、北米でもツアーやレコーディング等を経験したのちに同音楽院首席卒業。NY滞在の後、2015年に帰国。“象眠舎”主宰。挾間美帆とのユニット“Com⇔Positions”を立ち上げる。CRCK/LCKSリーダー。

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