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【新連載】堀田敏男のリペアマンへの道! リペアマンに必要なこと編

Wind-i mini28号 第1回

第1回 リペアマンに必要なこと編

今年4月から「島村楽器テクニカルアカデミー」と改称する代官山音楽院は、本格的なリペア・メンテナンスだけでなく知識、社会性・音楽性をも身につけることができる音楽技術学校です。そんな同校の管楽器リペア科で金管楽器を中心に修理技術を教えているのが堀田敏男先生。今号から堀田先生による金管楽器編に突入します!

 

堀田先生が楽器を始めたのはいつですか?

き高校生の時に部活を選択する際、どうしても運動部に入るのが嫌だったので文化部に入ろうとしたら吹奏楽部しかなかったんです(笑)。最初はホルンでしたが、最終的にはトロンボーンになりました。ウチの学校は学生指揮で、3年生が卒業する時に次の指揮者を選ぶのですが、どういうわけか私が選ばれました。楽器室でメトロノームを相手にずっと指揮の練習をやっていましたね(笑)。
当時使っていた楽器は古くてボロボロ、よくこんな楽器を吹いているなという状態でした。だからコンクール前には練習もせずグラノールで楽器を磨くんです。そういった環境だったのでお手入れはほとんどしていなかったと思います。

 

高校卒業後はどうされたのですか?

楽器に携わる仕事がしたいと考えていた時、ヤマハの製造部門に勤務する先輩からの誘いもあって、ヤマハの入社試験を受けました。入社後に管楽器の製造を希望したのですが、配属されたのがピアノの製造部門。約7年間やりましたが、その間も管楽器がやりたいとずっとアピールしていました。
その後、社員の中から希望者を募って、日本全国にある支店にリペアマンを配備するという計画があがったんです。私はとにかく管楽器の仕事がしたかったので「やらせてください」と言って、工場の修理部門と埼玉のリペアスクールで2年間の研修を受け、めでたくリペアマンへの道に進むことになりました。

 

リペアマンに必要なことは?

リペアマンもコミュニケーション力がないと仕事になりません。楽器の状態や、その人がどう感じているのか、また普段どういう使い方をしているのかをしっかり聞くことが大切です。ただ、楽器の状態を見ると、どういうふうに使われてきたのかがだいたい見えてきます。“楽器は語る”ですね(笑)。実際にはお客様が直してほしい部分と、我々が見て直したほうがいい部分は実は違うことがあります。

堀田敏男

 

金管ならではの間違ったお手入れ法は?

これは女子学生に多いことですが、外観ばかりを気にして楽器の内面、ピストン、抜き差し管、パイプ等の掃除がされていない状態のものが多く散見されます。金管楽器の合言葉は『1に掃除2に掃除3、4がなくて5に掃除』。是非皆で合唱しましょう! 内面の汚れによる動作不良がほとんどのトラブルを引き起こします。そして掃除の後はオイル、グリスを塗布することを忘れないでください。必ず古いグリスは拭き取ります。塗り重ねると逆に固くなりますので注意しましょう。ピストン、ロータリーは動作不良が起こる前、常に事前に対応することが不可欠なのです。それが毎日のオイルアップです。金管楽器を人間に置き換えると、「食事」=「オイル・グリス」、「歯磨き、お風呂」=「管体の外観、内面掃除」となるわけです。

堀田敏男

 


Profile|堀田敏男

1975年ヤマハ株式会社入社。84年ヤマハ北海道管楽器サービスセンター勤務。管楽器リペア・メンテナンス業務と、特約楽器店担当者の育成に尽力。95 年ヤマハ銀座店配属。セ一ルスエンジニアとして都内音大・陸上・海上自衛隊音楽隊の担当。99年ヤマハ管弦打学校営業部勤務。北海道・東北・東海・関東 地区のヤマハ特約店若手技術者のサポート育成。各地区トップ校ブラスバンドのメンテナンス同行訪問。吹奏楽指導者講習会のメンテナンス研修会を企画担当し 講師も務める。2013年ヤマハ株式会社を退社し現在に至る。

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