楽器初心者のための基礎知識を吹奏楽の第一線で活躍中のプレイヤーに聞いちゃうこのコーナー。第4回目はバストロンボーン編です。
教えてくれたのは・・・石井徹哉 Tetsuya Ishii
千葉県出身。武蔵野音楽大学卒業。トロンボーンを前田保、井上順平の各氏に師事。現在、Osaka Shion Wind Orchestra バストロンボーン奏者。関西トロンボーン協会理事。
各部位の名前を覚えよう
マウスピース:口に直接つけて唇の振動を楽器に伝えるものです。色々なメーカーより多くの種類が発売されています。手で持つとバランスが悪く落としやすいので、まず、落とさないように注意しましょう。マウスピースの部位で特に大事にしてほしいのが“リム”といわれる口に直接つく部分と、“ シャンク” といわれる楽器につく部分です。リムが傷つくと唇が荒れる原因や唇を傷つける原因になります。シャンクは薄い金属でできていますので、衝撃を与えるとすぐに変形してしまいます。吹き心地も変わってしまいますので、取り扱いには注意しましょう。
スライド:トロンボーンという楽器は他の楽器にはない“スライド”を使って管の長さを変えることによって音高を変化させます。このスライドは内管と外管に分かれており、職人の手によって、とても精密に作られています。スライドはぶつけたりなどして少しでも凹ませるだけで途端に動きが悪くなってしまいますので、特に大事にしましょう。また、すでに凹んでいる楽器があれば修理したほうがいいです。スライドの滑らかさは楽器が上達するためにとても大事な部分ですので、常にスライドが滑らかに動くよう、お手入れを怠らないようにしましょう。
日々のお手入れは、楽器を吹く前に楽器店などで購入できるスライドクリームを塗って、吹き終わったときに拭き取るとスライドの滑らかさが長持ちします。
ウォーターキィ:皆さんはリコーダーを吹いたことがあると思いますが、リコーダーは楽器に開いている穴をふさいで音を変えます。実はトロンボーンにも穴が1箇所だけ開いています。
それはスライドの先にある「ウォーターキィ」といわれる部分です。実は楽器を吹いていると見えないこの穴ですが、リコーダーと同様にしっかり閉じていないと(押さえていないと)きちんと音が出ません。
コルク(ゴム)が穴をしっかりふさいでいるかチェックしてみましょう。
バルブ:バルブはキィを押すことで管の長さを瞬時に変えることのできるシステムです。とても便利なのですが、この部分もお手入れを欠かすと動かなくなってしまいます。バルブオイルやロータリーオイルというバルブ専用のオイルが楽器店などで購入できますので、これを毎日バルブが動く部分に注すようにしましょう。
チューニングスライド:細かい音程を調整する部分です。楽器店などで購入できる“チューニングスライドグリス”等を使用して動くようにしておきましょう。放っておくと、動かなくなります。動かしてみて硬ければより動きやすくなるグリスを、緩ければ硬くなるグリスを選ぶとよいです。楽器屋の店員さんに相談するといいでしょう。
ベル:トロンボーンはこの部分で、「トロンボーンの音」に変わります。試しにチューニングスライドを外して楽器を吹いてみるとわかりますが、変な音しかでません。トロンボーンの音に変わる大切な部分ですので、いつもきれいに磨いておくといいでしょう。ちなみに、バストロンボーンのベルは、テナートロンボーンよりも大きくなっています。
トロンボーンを吹くときに一番大切なのは音のイメージです。どんな音を吹きたいのかをまずイメージしましょう。
1:まず音程を確かめよう
イメージする方法として、ピアノやキーボードを使ってみるととてもいいです。例えば、1番ポジション(スライドを根元まで入れた状態)ではFとB♭の音が出ます。ピアノだとファとシ♭です。 まず、ピアノやキーボードでファ、またはシ♭の音を弾いてみて、その音をイメージしましょう。歌ってもいいですし、歌わなくてもイメージができればOKです。しかし、歌えてもイメージができても、それだけではトロンボーンで音を出すことはできません。
2:音のイメージを息で表現してみよう
次は想像した音のイメージを息のイメージに変えてみましょう。一番身近なのは口笛です。音が出なくても構わないので、口笛を吹く感じで音をイメージして息を出してみましょう。なるべく、先程イメージした音に近くなるように、ピアノやキーボードを使用しながら試してみるといいです。
3:息のイメージで楽器を吹こう
2でイメージした息で実際に楽器を吹いてみましょう。音が出ても出なくても必ずイメージして吹くことで、いい音程や正確な演奏ができるようになります。何度もチャレンジしてみてください。