楽器初心者のための練習法や基礎知識などを、吹奏楽界の第一線で活躍するプレイヤーに訊くこのコーナー。今回はファゴット奏者、福井弘康さんに教えていただきました!
教えてくれたのは・・・福井弘康 Hiroyasu Fukui
昭和音楽大学卒業。同大学研究生修了。津山国際総合音楽祭では作陽学園管弦楽団と、かながわフレッシュコンサートでは神奈川フィルハーモニー管弦楽団とモーツァルトのファゴット協奏曲、2012年には東京佼成ウインドオーケストラとF. ダヴィッドの小協奏曲をソリストとして共演。2013年7月にはNHK-FM ラジオ『リサイタル・ノヴァ』に出演。第7回津山国際総合音楽祭ダブルリードコンクール第1位、第24回日本管打楽器コンクール・ファゴット部門第2位、第20回宝塚ベガ音楽コンクール・木管部門第2位、第27回日本管打楽器コンクール・ファゴット部門第2位をそれぞれ受賞。現在、東京佼成ウインドオーケストラファゴット奏者・昭和音楽大学非常勤講師。
吹奏楽コンクールも一段落して、少しゆっくり個人練習の時間を取れるようになってきたこの時期にもう一度自分の奏法や基礎練習を見直してじっくり練習してみてはいかがでしょうか。今回はそんな時に役立つ練習方法やポイントをいくつか紹介します。
基礎練習の定番、ロングトーンをしましょう。 どんなテンポで練習しても何拍伸ばしてもそこは何でも構いません。大切なのはたくさん息を使ってできるだけ長く、真っ直ぐ伸ばすことです。
まずは音の出しやすい真ん中のファの音を基準に、下がっていく練習・上がっていく練習をしましょう! はじめは=60で8拍伸ばして4拍休み(譜例1)くらいで練習、慣れてきたら拍をどんどん伸ばして長く吹けるようにしていきましょう。 口の形は鼻の下をグーっと伸ばし、そのまま「モ」を言う口の形にし、息は斜め下45°に向かって吹きましょう。
1ランク上のロングトーンのやり方を紹介します。 どうしても耳がいってしまいがちなメトロノームを外してできるだけ静かな場所で自分の音を“ただただ真っ直ぐ音が伸びているか”しっかり聴いてみましょう。
少しの揺れも許さず、自分に厳しく練習すればするほどとてもキレイなロングトーンができるようになりますよ。
パート練習でやることはなんといっても音合わせです。音程を合わせるだけではなく、音色を合わせることが重要です。
まずは同じ音を合わせる練習(譜例2)をしましょう! お互いの音をマネして、まるで一人で吹いているかのように聞こえることを目指してください。
次に完全5度でハモる練習です。譜例3のような音を使い練習します。音程はチューナーを使ってどちらもぴったりゼロに合わせましょう。 上手くハモれると2人で吹いているのに4人くらいで吹いているような響きが出ます。必ず交代してどちらのパートも練習してくださいね。
最後にもうひとつ! 皆さんどれくらいの指の力でファゴットを吹いていますか?
本来は、ファゴットを吹くのに指の力はほとんどいりません。トーンホールを塞いだり、キィを押すだけなので必要最低限の力で十分なのです。
ちなみに、僕のイメージでは指の先に画鋲をつけて風船を持つくらい、ソフトにすることを意識していますよ(笑)。