Pick Up Interview
東京佼成ウインドオーケストラ トロンボーン奏者・今村岳志
吹奏楽のトロンボーン奏者として、自分の役割を理解することが大切です
創立から50年以上の歴史を誇り、今なお日本の吹奏楽界を牽引する「東京佼成ウインドオーケストラ」でトロンボーン奏者を務める今村岳志さん。期待される若手演奏家の一人として積極的に活動し、同世代の仲間と結成した「トワイライト・トロンボーンカルテット」も注目されている。今回はトロンボーンとの出会いや練習法、吹奏楽でのトロンボーンの役割についてなど、さまざまなお話を伺った。
協力:株式会社ビュッフェ・クランポン・ジャパン
友人が譲ってくれたトロンボーンパート
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- トロンボーンを始めたきっかけは?
- 今村
- 中学校の吹奏楽部です。僕は身体を動かすのが好きだったので、水泳部に入ろうと思っていたのですが、僕の学校にはなかったので、なんとなく吹奏楽部に行ってみたんです。でも、タイミングが遅かったので他のパートはすでに決まっていて、残っていたのがチューバとトロンボーン。一緒に行った友人とじゃんけんで決めることになって、僕が負けてチューバになりかけたんですが、その友人が言うには僕がトロンボーンをやりたそうな顔をしていたと……。結局、譲ってくれてトロンボーンを手にしました。
実は、2つ上の姉が小学校のクラブ活動で週1回トロンボーンを吹いていて、自宅に持ち帰ってきたことがあったんです。金管楽器を見るのも初めてだったの、「なんだこれ、すごいな!」という印象が記憶に残っていました。その影響もあって、トロンボーンをやりたそうな顔をしていたのかもしれません(笑)。始めてみると、楽しくて毎日吹いていました。マーチングもやる活動的な学校で、身体を動かすのが好きだった僕にとっては最高でした。座奏も好きでしたが、マーチングは中学の途中から高校くらいまで学校以外の一般のバンドにも所属するほどのめり込んでいました。
自分の音色の数を多く持つこと
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- 東京佼成ウインドオーケストラに入団されて、3年目だそうですね。
- 今村
- はい。団員の方々が素晴らしい演奏家ばかりなので、たくさん刺激を受けられることがありがたいです。クラシックだけでなく吹奏楽のオリジナル曲やポップスも演奏するので、ジャンルの幅が広がりました。特にポップスはあまり演奏した経験がなかったので勉強になりますし、やってみたら好きだなと感じました。クラシックとは演奏のニュアンスも違うと思いますね。
- ――
- 中高生にアドバイスするなら?
- 今村
- 演奏会にたくさん行ってほしいです。僕は中高生のころから頻繁に行きました。宮崎県出身なんですが、佼成もシエナも毎年来ていたし、オーケストラも聴きに行きました。
とにかく、プロの演奏を聴いてほしい。音楽に人生をかけている人たちですから、大きな発見があると思います。
CDを聴くのも勉強になりますね。僕もたくさん聴いていました。ジョン・ウィリアムズとか……。あっ!それが演奏家になりたいと思うきっかけだったかもしれません!! シエナが『オリンピックファンファーレとテーマ』を演奏するのを聴いて、本当にかっこよかった! それをきっかけにジョン・ウィリアムズを知って、ファンクラブにも入って(笑)、ボストンポップスのCDを買ってずっと聴いてました。今も大好きですね。皆さんにも、こうした出会いをしてもらいたいです。
- 今村岳志 Takeshi Imamura
- 宮崎県三股町出身。都城西高等学校を経て、2010年東京藝術大学を卒業。トロンボーンを秋山鴻市、栗田雅勝、吉川武典の各氏に師事。第29回日本管打楽器コンクールトロンボーン部門入選。サイトウ・キネン・フェスティバル松本、別府アルゲリッチ音楽祭、アクロスクラシックふぇすたなどの音楽祭に参加。トワイライトトロンボーンカルテット代表。東京佼成ウインドオーケストラトロンボーン奏者。
Wind-i 9号では今村さんの普段の練習からトロンボーン奏者としての役割、使用楽器についてなどたくさんお話いただきました。