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【特集】審査員に訊く!吹奏楽コンクール9つの審査ポイント

Wind-i mini 32号 Special Contents

毎年吹奏楽の甲子園“全日本吹奏楽コンクール”に向けて、全国各地の吹奏楽団体が練習に励むこの時期。
他団体の演奏も気になるところですがやはり「審査員が自分たちの何を見ているのか」は気になりますよね。
Wind-i mini では、その禁断の域とも言える審査員たちの審査ポイントを徹底調査!
客観的に見た印象は、なによりも大事にしたいものです。


■ 回答してくれたのは……

回答してくれたのは……

※ 今年度吹奏楽コンクールにおいて影響がでないよう、匿名掲載をさせていただいております。
※ 一例ですので、参考程度にご覧ください。


リード楽器がリードミスをしました。審査に影響はでますか?

匿名A先生 私個人としてはあまり気にしないようにしていますが、あまりにも回数が多いとセッティングの問題かな?と思ってしまうので、減点対象になるかと思います。
特にpなどの繊細な場面でのリードミスは印象が悪くなってしまうので可能な限り避けたいところですね。ただ、一生懸命表現しようと頑張った結果のリードミスであれば気にしないようにしています。

匿名B先生 審査には影響しませんが、あまりにも多い・曲中でのタイミングによっては印象が悪くなるかもしれません。もちろんミスをしたくて演奏している人はいないと思いますが、普段からの研究・練習を積み重ねてミスを少なくしましょう。一番良くないことは、ミスを恐れて消極的な演奏になることです。失敗を恐れず積極的に自己アピールしていきましょう。

金管楽器が音を外しました。審査に影響はでますか?

A先生 例えばソロより全体の中で「あまりにも音が外れている状況」であれば審査に影響してくると思います。以前、とある地方大会で審査をした時に、大きく音を外してしまっていて途中で演奏を放棄した生徒がいたのですが、1年に1回のコンクールなので何があってもやりきってほしいですね。

B先生 木管楽器のリードミスと同様に審査には影響しません。ただし、息の入った良い音が出ている時は良いのですが、息が入っていない時、消極的になった時、または他のパートと音楽の流れが共有されていない時に音を外すと目立ちます。音を外す外さないというよりは積極的に表現することにより印象が良くなります。

舞台上で譜面をステージ裏に忘れて取りに戻る、ミュートを忘れて取りに戻るなど、ハプニングがある場合、審査に影響はでますか?

A先生 状況にもよりますが、セッティング中であれば問題ないかと思います。本番中に裏に取りに行くのはコンクールの審査にどうこうではなく、やめたほうが良いですね。
審査員の中に日頃から吹奏楽部を指導しているような方がいる場合もあるので、気にされる方はいらっしゃると思います。

B先生 これは審査に影響するというよりは周りの人に影響するのではないでしょうか? 限られた時間でセッティングし、さあこれから演奏!という時に忘れ物があると緊張感が途切れてしまいます。自分だけではなく周りの人にも影響が出て良い演奏が出来なくならないよう注意しましょう。ステージに上がる前には忘れ物がないか確認しましょう。

配置やセッティングなどはチェックしますか?

A先生 まったく気にしません。それぞれのバンドでいいサウンドを目指した結果だと思うので配置やセッティングよりも、実際に出てくるサウンドがどうか?を気にしています。

B先生 意図があるセッティング(楽器同士のコンタクトの取りやすさ等)だと気になりませんが、どうしてこのセッティング? は気になります。

課題曲での審査では何を一番重要視して聴きますか?

A先生 マーチであれば《テンポ、全体のバランス、流れ》です。冒頭の出だしはそのバンドの第一印象になるのでこだわってほしいと思います。特にテンポに関しては、流れのない演奏にならないよう注意してほしいです。
マーチ以外であればきちんと楽譜に書かれているとが表現できているか?バランスがきちんと取れているか?などをチェックします。ユニゾンは合っているほうが好ましいですね。

B先生 複数の団体が演奏する中で、その団体の個性《サウンド・ハーモニー・表情》がどう表現されているか? を聴きます。

自由曲での審査では何を一番重要視して聴きますか?

A先生 それぞれのバンドのカラーが課題曲よりもはっきり出せるので全体の印象を気にしています。コンクールの規約上、時間の都合でカットをしないといけない場合、不自然にならないよう慎重にしたいですね。“とあるバンドがこうやってた”というだけで安易に真似をするのではなく、それぞれのバンドの良さが出るようにこだわってほしいと思います。

B先生 課題曲同様、《サウンド・ハーモニー・表情》です。どうしてこの自由曲を選んだのか説得力があると良いですね。他のバンドにはない自分たちの長所を聴かせられると良いですね。

審査をするとき、身なりや態度、出入りなどは見ていますか?

A先生 私自身はまったく気にしませんが、気にされる方はいるようです。耳は常に演奏に傾けていますが、限られた時間内で講評を書かなくてはならないので、ほとんど下を向いているのが審査 員の大半ではないでしょうか?

B先生 見ているわけではないのですが、だらしない服装・落ち着きのない態度は気になります。

コンクールに限らず、演奏するときは何が一番重要だと考えていますか?

A先生 「人に音で聴かせる」ということですね。聴きに来ている観客に“ 音でどう表現するか? ” にこだわりを持ってほしいです。
あと、メロディばかり表現が過剰になって低音の動きに表現がない演奏がありますが、もっと内声や低音の和声にメロディと同じぐらいこだわっていくと、もっと音楽が立体的になりメロディが生きていくと思うので、頭の片隅に入れておいていただけたらと思います。

B先生 もちろんコンクールで良い賞を取るのは嬉しいですが、普段から発表や練習を楽しむこと。音楽をやることの楽しさ・楽器を吹く、叩くことの素晴らしさ。を感じてほしいです。楽しいだけではなく、厳しい練習をした後にはたくさんの方に拍手をもらえることを想像して練習してください。

いま審査する側になってみて、わかったことはありますか?

A先生 私も学生時代に経験がありますが、みんなで動きを合わせて演奏しようとして動きが過剰になっているバンドをよく見かけます。審査員は講評を書いたり評価をつけたりしないといけないので、ほとんど見られてない(見ている余裕がない)ということに気がつきました。
私自身、学生時代はよく動くほうでしたが、息のことや周りの音を聴きながら演奏することに意識を持っていけば、あまり動かないほうがいいパフォーマンスができるということに気づきました。

B先生 人数の多いバンド、少ないバンドがあると思いますがその瞬間瞬間を楽しむことが大切です。自分たちだけしかできない個性(音楽・一緒に演奏しているメンバー)を誇らしく思ってください。

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