Interview for Future

上田章代

これから音楽の道に進もうとしている人たちへ向けての話を伺うこのコーナー。今回は“フルート奏者 上田章代”にインタビュー。
伝えないと始まらない──常に一生懸命な彼女がしきりに発信するメッセージは、音楽界だけでなく全体に通用する言葉かもしれない。

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楽器との出会いを教えてください。

上田

先輩から誘われて吹奏楽部に入ったときに、打楽器をやってみたいと希望したんですがすでに先約がいて、フルートに回されてしまいました。
でも吹いてみるとすぐに音を鳴らすことができて、さらに 部員数が少なく1年生でも戦力にならないとダメだったので、先輩とか身近な人を引き合いに小さな目標を立てて頑張って練習していましたね。

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アンサンブルコンテストのシーズンです。印象に残っているエピソードがあれば教えてください。

上田

実は、コンテストのために高2のときにフルートカルテットを組んだんですが、あまり仲の良くない子と組むことになってしまって（笑）。当時最初は誰かしらを介してやりとりしていたんですが、そんな遠回りなこともしていられず、いつの間にか仲良しになっていました。アンサンブルを通して仲直りができたんです。このときの演奏した曲はウーテルの『アダージョとスケルツォ』だったかな。

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─吹奏楽部での経験で今に活きていることはありますか？

上田

すべて活きています。今はフリーランス奏者としていろんな現場で演奏やレッスンをしていますが、吹奏楽部という団体行動の中で培った「色んな人の意見を素直に飲み込む」ということは「みんなで一つのものを作る」ときにとても重要で、そういうのって、部活動がなかったら経験しないことなんですよ。クラスメイトとの関係性ともまったく違うので。

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吹奏楽やオーケストラ、アンサンブル、ソロ演奏と幅広く活動されていますが、それぞれの良さを教えてくだ さい。

上田

吹奏楽やオーケストラは違う楽器同士が混ざり合った音色が聴けるところ。一つのものをみんなで作り上げているところに魅力を感じます。
アンサンブルとソロはそれぞれの個性が輝く場所で、自分のレベルを上げられる場所でもあると思っています。ちなみにソロは高校受験前に初めてやってみて、自分が演奏したいように音楽が進むことに楽しさを感じました。

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レッスンもされていますが、どのようなレッスンを心がけていますか？

上田

型にはめないこと。「必ずこの基礎練習をしなさい」と押し付けるのは頭ごなしになってしまいます。人それぞれ生活している環境や体力などすべて違うので、その人に合ったレッスンをするように心がけています。

――

本番で普段通り演奏できるようになるためには、どのよ……

上田

無理です（笑）。ただ、自分が自分の先生になって忍耐強く練習することで普段の演奏に近づけることはできます。「普段通り」という言葉が逆に重荷になっている場合もあるので、普段練習するときに本番のイメトレをしたほうが良いのかもしれません。あと、本番の観衆に惑わされない集中力ってとても大事かもしれません。

――

夢や目標を教えてください。

上田

全国ツアーとかしてみたいですね。フルートで夢を届けたい。それと子どもが好きなので将来的にリトミックのある保育園を作りたいな。あとはフルートや音楽というものがもっと身近なものになればいいなと常に思っています。フルートをまだ吹いたことがない人には「この曲フルートで吹いてみたい」となってもらいたいし、やらなくちゃいけないものでなく、やりたいものになってほしいです。

――

最後にメッセージをお願いします。

上田

すごく大事なことなんですが、とにかく熱く本気になってほしい。そうです、日本テニス界のあの方のように!!（笑）
たとえ吹奏楽で熱くなってうまくいかなくても、その一生懸命やったことって、絶対他のことに活きてきます。
そして学生の部活動でなおかつそのメンバーで演奏できるのはほんの一瞬で、非常に貴重な時間なんです。だからこそ一生懸命にやってほしいし熱くなってほしいです。

Profile

上田 章代 A k i y o U e t a
高松第一高等学校音楽科を経て東京芸術大学を卒業。在学時、校内選抜により、芸大室内楽定期に木管四重奏で出演。また、よんでん文化振興財団の奨学に選ばれる。現在はソロ、室内楽、オーケストラや吹奏楽などで活動し、またスタジオミュージシャンとしても映画「ちはやふる」や「心が叫びたがってるんだ」など、劇中音楽の録音にも参加している。フルートアンサンブルザステップ、TADウィンドシンフォニー、各メンバー。

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