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Interview for Future

前田啓太

これから音楽の道に進もうとしている人たちへ向けて、いま活躍しているプレーヤーに話を訊くコーナー。

パーカッションを始めた頃は「上手になりたい」と一身で練習を積んできた前田啓太さん。ソロ、アンサンブル、オーケストラ・吹奏楽、そしてレッスンと様々な場で活躍しているパーカッショニストです!

 
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打楽器を始めたきっかけはなんですか?
前田
高校に入学して、吹奏楽部に入ったことがきっかけです。中学時代はサッカー部だったのですが、その頃から仲の良かった先輩が吹奏楽に在籍しており、その先輩に誘ってもらいました。記憶が確かならば、誘い文句は「女子が大歓迎するよ」だったはずです。
ドラムセットに憧れがあり、【ドラム】パートがあると思い込んで体験入部に行ったら『この子パーカッション志望でーす』と先輩に案内され、「はて?【パーカッション】って何?」と思いながら入部届を書いてました。
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いつごろからプロを目指そうと思いましたか? またプロを目指すようになったきっかけはありますか?
前田
稼業=プロ、という意味で「プロを目指そう」と考えたことはありません。音大進学を決めたころは、演奏家という人々を具体的に認識できていませんでした。なにしろ、プロ演奏家のコンサートへ初めて行ったのは大学生になってからです。それまでテレビやラジオでしかプロ演奏家を見聞きしことがありませんでした。高校生の頃は、もっと勉強して上手くなりたいという気持ちだけで進学を決めました。
大学生のころに「師匠のような音楽性を手に入れたい」と強く思いました。音楽業界を視野に入れたのは、これがきっと始まりです。
今も上手な演奏を聴くと「あれほど弾けるとどんな景色が見えるのだろう」と好奇心が働きます。
思い返すと、昔から動機はいつも「上手くなりたい」のようですね。
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打楽器の音楽大学の入試試験はどのようなことをするのですか?
前田
マリンバ入試・小太鼓入試・ティンパニ入試の3つから選べる学校が増えたようです。私が入学試験を受けた頃はティンパニ入試はまだ一般的ではありませんでした。
私は小太鼓入試で入学しました。試験内容は『基礎打ち』と呼ばれる基本奏法、小太鼓のための練習曲、マリンバで音階がありました。
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武蔵野音楽大学卒業後、ドイツ・カールスルーエ音楽大学に進まれましたが、ドイツで学んだこと、辛かったこと、楽しかったことなどドイツでの生活を教えてください。
前田啓太
前田
留学中は時間の流れをゆっくりに感じることができ、一つのことに対してあれほどじっくり深く勉強できた期間は他にありません。
『音と音楽の違い』や『音楽の目的』など、根本的なことから考えることができる時間になりました。音楽家として生きることの意味を学んだと感じています。
辛かったこととしては、語学の壁を感じました。とは言っても、学校の仲間たちはとても優しく(アジア人留学生にも慣れていて)、助けてくれましたので、際立って困ったことやトラブルが発生することはありませんでした。他の留学生の話を聞く限りではもっと苦労している方が多いようですので、私は仲間に恵まれました。
留学1年目の冬には『10年に1度の寒波が来る』とニュースになり寒い思いをしました。
2年目の冬には『100年に1度の寒波が来る』とニュースになり「日本のアイドルの紹介みたいだ」と思いながら寒い思いをしました。
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打楽器の中で得意な楽器は何ですか?
前田
膜質楽器(いわゆる太鼓)の音が昔から好きで、膜質楽器を演奏できる時は一層嬉しいです。シチュエーションでも少々好みが変わってきますが、スネアドラムとシンバル、ヴィブラフォンが大好きです。
前田啓太
――
趣味を教えてください。
前田
読書が好きです。音楽に関することとレッスン方法に関することを中心に読んでまして、音楽関連、教育、コーチング、スポーツ、地域活性、練習方法、脳科学、心理学、経済学、ビジネス関連などを読みます。
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お休みの日は何をしますか?
前田
音楽してます。楽器を囲んで友人と音楽の話しするのも好きです。奏法やレッスン方法などに関する話しをしています。
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中学校や高校で吹奏楽で頑張っている学生さん、アマチュアで頑張っている社会人にメッセージをお願いします。
前田
まず、「頑張る」ということの意味が「つらいことに耐える」という意味にならないでほしいです。
情報も環境もありふれている現代では、音楽できる環境が当たり前に思えてしまいますが、《音楽できる》ということは心が豊かで贅沢な環境にいなければ成立しません。音楽できることは、それだけでとても幸せなことです。
上手でなければ音楽をしていけないなんてことはありませんし、誰かより優れてなければ音楽をしてはいけないなんてことは決してありません。
芸術性は『自身の理想をどれだけ表現できているか』によって決まります。
他人との比較や評価にとらわれず、自身の表現を追求することを楽しんでください。

Profile

前田啓太 K e i t a M a e d a
打楽器奏者。スクールバンドサポーター。ソロ公演、アンサンブル公演、オーケストラ・吹奏楽団への賛助出演などの活動中。
富山県出身。15才より打楽器を始める。武蔵野音楽大学卒業。ドイツ国立カールスルーエ音楽大学へ留学。同大学大学院修士課程にて満場一致の最優秀の成績を得て帰国。
2011年バーデン文化財団主催の国際音楽コンクール「Kulturfonds Baden Wettbewerb」第1位受賞。
第31回日本管打楽器コンクール・パーカッション部門第2位受賞。
これまでに安藤芳広、中村功、山口多嘉子、吉原すみれ、JochenBrenner、ThomasHoefsの各氏に師事。
2017年Studio N.A.Tより無伴奏打楽器独奏によるCD「I Ching」を発売。
2012・13年サイトウ・キネン・フェスティバル「兵士の物語」に出演。ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団と共演、ARDラジオドラマフェスティバル(ドイツ)、Baden Music Festival(ドイツ)などの音楽祭に出演。
一般財団法人地域創造の“おんかつ”支援アーティスト。

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