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インタビュー|福島弘和 × 八木澤教司

Wind-i vol.6 − Close Up −

自発的な音楽素養を身に付けると、吹奏楽はもっと豊かになる

今や中高生はもとより一般の吹奏楽団からも人気の高い、作曲家 福島弘和氏と八木澤教司氏。 吹奏楽コンクールやアンサンブルコンクールでも取り上げられることの高い彼らの作品を演奏したことのある人も多いだろう。吹奏楽作品だけでなく、室内楽、合唱……と幅広い作品を誕生させている彼らは、実は尚美ミュージックカレッジで共に教鞭を執っており、後進の育成にも意欲的に取り組んでいる。
今回のインタビューでは、彼らが作曲にどう取り組んでいるのかを訊いた。
(この記事は2015年10月25日に発売したWind-i vol.6 に掲載のインタビュー記事です。)

 

福島弘和
Fukushima Hirokazu

Profile

群馬県立前橋南高等学校卒業、東京音楽大学卒業、同大学研究科修了。作曲を有馬礼子氏に師事する。現在、オーケストラ、吹奏楽曲を中心に作編曲活動をする。演奏にパフォーマンスやコメディーをとりいれたアンサンブル・ポワールを結成し、ユニークな演奏活動を行なっている。1997年《稲穂の波》で朝日作曲賞入選、1999年《道祖神の詩》で朝日作曲賞を受賞する。2003、2007、2012、2013、2015年下谷奨励賞受賞。第20回日本管打・吹奏楽アカデミー賞作・編曲部門受賞。2001年度群馬県で行なわれた国民文化祭や2008年全国高校総合文化祭の吹奏楽創作曲を担当。21世紀の吹奏楽“響宴”会員。
■ 主要作品
「百年祭」「ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶」「吹奏楽のための交響的断章」など

八木澤教司
Yagisawa Satoshi

Profile

武蔵野音楽大学作曲学科卒業、同大学大学院音楽研究科修了。吹奏楽曲の代表作は日本のみならずアメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国、南米でも幅広く親しまれ“パリ・ギャルド”の名で世界最高峰と呼ばれるギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団によって新作が初演された数少ない邦人作曲家である。ヨーロッパで歴史的権威のあるスペイン・バレンシア国際吹奏楽コンクールの課題曲に作品が選定された他、ヤマハミュージックメディアから著書「吹奏楽のための音楽形式がわかる本」を出版、宮部みゆき原作のミステリー映画「ソロモンの偽証・後篇」では《輝きの海へ》が挿入曲として使用されるなど国内外の多方面で話題を集めている。合唱曲として手がけた《あすという日が》は“希望の歌”“東日本大震災復興シンボル曲”と称され、2011年第62回NHK紅白歌合戦において夏川りみ、秋川雅史の両氏によって熱唱された。第21回日本管打・吹奏楽アカデミー賞[作・編曲部門](2011年)受賞、平成23年度JBA下谷奨励賞を受賞。現在、尚美ミュージックカレッジ専門学校講師。
■ 主要作品
「眩い星座になるために…」「太陽への讃歌 ― 大地の鼓動」「ペルセウス」など

 


音楽のベースは吹奏楽
――
お二人が作曲家になろうと思ったのはいつごろからですか?
福島
高校生くらいですかね。高校生のときに吹奏楽部に入っていたので、編曲をしたのがきっかけです。楽器はオーボエでした。
八木澤
福島さんはプロのオーケストラで活躍していましたよね。
福島
ええ、八木澤さんも吹奏楽出身ですよね。
八木澤
僕は中学でトランペットを吹いていました。3年生のときにガブリエリの金管アンサンブルの作品を聴いて、作曲家になりたいなと。
福島
僕は音大に行って、オケマンで活動して最終的に爺さんになる60歳すぎくらいから作曲家になりたいと思っていたんですよ。ところが1998年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲に応募して受かり、それでショートカットというか(笑)。そこから作曲家として仕事が繋がっています。
八木澤
僕は吹奏楽から音楽の魅力を感じたので、将来は自分のように中学生や高校生が興味を持つような曲が書きたいなと思っていました。だけど音楽大学では吹奏楽の書き方はなかなか習える環境ではなくて、やっぱり基本的な勉強、ソナタ形式や室内楽などの古典的なものから始まり、その後オーケストラ作品や現代曲の作品を勉強します。吹奏楽の曲を書きたいと思っていても、「いつ書けるのかな?」と思っていましたね。
――
本格的に吹奏楽の作品を書き始めたのは大学院を卒業してから?
八木澤
基本的にはそうです。たまたま福島さんも関わっていた、《響宴》という小澤俊朗先生が実行委員代表をされている吹奏楽のイベントで作品が採用されて、楽譜の出版やCDが発売されました。それがきっかけでオファーをいただけるようになりました。
――
お二人が影響を受けた吹奏楽の作曲家はいますか?
福島
吹奏楽だとやっぱり真島俊夫先生ですね。中学2年のときの課題曲が真島先生の『波の見える風景』だったので、課題曲は特に印象残っています。
八木澤
僕が中学生のときはヤン・ファン・デル・ローストさんやフィリップ・スパークさんの作品がすごく流行っていた時代で、ヨーロッパ系の作曲家に影響を受けました。

作曲家は重労働

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