楽初めて楽器に触れる人に覚えてほしいこと3つ
①たくさん練習した後は、必ずU字管に溜まった水を抜いてから、楽器を置きましょう!
ファゴットはダブルジョイントの下のところにあるU字管に水が溜まります溜まったまま、楽器を横向きに置いてしまうと、ダブルジョイントの一番下のトーンホール(Asキィ)から水が溢れ出てきてしまいます(写真①)。
【写真①】
これを繰り返していると、ファゴットは木製ですので、徐々に水が侵食していき、数年後には腐ってしまうことに……!ファゴットは高価な楽器です。メンテナンスさえしっかりしていれば、かなり長く使えます。未来の後輩たちのためにも、気をつけましょう。溢れ出てしまった場合は、U字管をはずして水分を拭き取りましょう。トーンホールとタンポの水分はクリーニングペーパーできっちり拭き取ってください。
②月に一度はテナージョイントとダブルジョイントの指で押さえるトーンホールを綿棒で掃除しましょう! 休憩時や楽器を片付けるときは、必ずテナージョイントとダブルジョイント、ボーカルにスワブを通していますよね。スワブを通していても、トーンホールの奥に汚れやホコリがたまってしまい、放置していると音程や音の抜けに影響してきますので、掃除しましょう。
③組み立てた最後に、右手親指で押さえるダブルジョイントのEキィを押さえて、ボーカルの穴を押さえるタンポがしっかり閉まるか確認しましょう。この連結キィが機能していないと、低音が発音しづらかったり、鳴りにくくなります。もし、テナージョイントのピアニッシモキィのバネが曲がっていると、閉じる力が低下している可能性が大きいので、修理をお勧めいたします(写真②)。
また、テナージョイントとダブルジョイントの連結部分が曲がっていたり、組み立てたときのテナージョインントの差し込む角度でも、影響があるので気をつけましょう(写真③)。
【写真②】
【写真③】
音を出してみよう!
①構え方
ファゴットは長くて重い楽器ですし、ストラップの調整によっては構え方が崩れやすいです。顎は自然に引いて、姿勢よくまっすぐ立った(座った)状態で、左手で楽器を引き寄せるように口元にリードを持ってくる。それからストラップの位置を調整しましょう。決して、自分からリードをくわえにいかないように! 自分に楽器(ストラップの位置)を合わせることをお忘れなく。そうすることで、まえかがみになったり、楽器を立てすぎたり、首を傾げて吹いたりしてしまうことを防げます。また、姿勢よく構えることで、無理なく自分の息を有効に使えるようになると思います。
②アンブシュア
基本的には、「モ」と発音するときの口の形をベースに考えます。ダブルリードですので、上下の唇を横に引いて縦に力がかかるように閉じてしまうと、口の中でリードの開きを潰してしまい、息が通過しにくくなり、音色や音程や発音に悪影響を及ぼしてしまいます。下唇は軽く巻いて、上唇は巻き込まずリードに乗っける感じです。さらに口の両サイドは中央に寄せる感じでアンブシュアを作りましょう。吹き始めて初期のうちは鏡で状態を確認しながら練習することをお勧めします。アンブシュアの開閉で音程を取るのではなく、息のスピードや圧力をコントロールして音程調節します。しかしファゴットは3オクターブ半も出せる楽器ですので、音が跳躍するときや音域、音量によってもアンブシュアの微妙な開閉コントロールは必要になってきます。つまり、柔軟性が必要なことは覚えておきましょう。
③リード
ファゴットを吹くには、リードは必要不可欠。しかもリードは消耗品で、吹いていくうちに変化していきます。さらに1本が高価! プレイヤー泣かせな部品です。ですから、できるだけ吹きやすいものを買いたいと思いますよね。選別の目安として、まず先端の開きをチェックしましょう。図①のような開きを選ぶと良いと思います。それ以外(図②)は材料の質や厚み強度が左右均一ではなかったり、硬い、柔らかいなど、ストレスを抱えていることが多いです。
【図①】
【図②】
また試奏させてもらえるならば、音色が変にこもっておらずタンギングがしやすい上、中音のCis(ド#)、E(ミ)が下がらない、A(ラ)、B(シb)、H(シ)がとりやすいリードを選ぶとよいと思います。練習後はリードの中を小羽で掃除しましょう。汚れがたまっているとだんだん重くなってきたり、発音しづらくなってきます。そして衛生的にも良くないです。もちろん表面も少し濡らして指でなでるように、汚れを落としましょう。
④新入生にしてほしい練習方法
ファゴットは運指が難しいうえに音程が不安定になりやすいですよね。運指表を確認しつつ、ピアノやチューナーを使って、出そうとしている音(音程)と、出している音(音程)が一致しているかを確かめながら、指を覚えていきましょう。そして、指を覚えて出せるようになった音からロングトーンしていきましょう。またテヌートで4分音符のタンギング練習もやってみましょう。
※こちらの記事は、Wind-i vol.5を一部抜粋し掲載しています。