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ランクアップ講座 -ホルン-

Navigator:上原 宏

Navigator:上原 宏 H i r o s h i U e h a r a

上原宏

ホルンを安原正幸、黒澤勝義、山岸博、ジョン・セルミナード、ハックルマン、オハニアン、ヘルマン・バウマン、シュスタフレ、ブラトコヴィッチ、エリック・テルベルガー、の各氏に師事。室内楽を江藤俊哉、原田幸一郎、山田富士子、村上弦一郎、本荘玲子、千葉馨、田宮堅二、カール・ライスター、フィリップ・モル、の各氏に師事。指揮を黒岩英臣氏に師事。1990年 シエナ・ウインド・オーケストラに入団。1991年 東京佼成ウインドオーケストラに入団。1993年 国際芸術連盟室内楽オーディション合格。同時に奨励賞を受賞。室内楽においては、金管五重奏団“翔”、木管六重奏団“ラデュー”、木管五重奏団“ウィンドバック”等でリサイタルを行なっている。毎年、楽器講習会を全国各地で開催。全日本吹奏楽コンクール全国大会、中学の部、高校の部、大学の部、一般の部、職場の部、の各部門の審査員。その他、地方大会多数の審査員を務める。現在、東京佼成ウインドオーケストラホルン奏者も務める。武蔵野市民交響楽団“アンサンブル・ダ・カーポ”常任指揮者、東芝府中吹奏楽団音楽監督、玉川大学吹奏楽団顧問、昭和音楽大学・昭和音楽短期大学講師。桐朋学園大学教授。

楽初めて楽器に触れる人に覚えてほしいこと3つ

吹奏楽で使われるホルンには、大きく分けて、Fシングル、Bダブルの3種類あります。シングルホルンにはそれぞれに音の出しやすい、出しにくい音域、音程の良い、悪い音があり、ダブルホルンはその短所を、違う調の管を使うことによって補うことができます。

①金管楽器は主に真鍮(銅と亜鉛の合金)を叩いて薄くした板で、管やベルが作られていますが、その中でもホルンは最も薄い金属で作られていますので、少しの衝撃でも簡単に管やベルが凹んだり曲がったりします。初心者によく見受けられるのが、楽器を片手で持ったまま、ベルの背(ベルから左手の小指をかける金具までの部分)を硬い床や机に当てて楽器を置いたり持ち上げたりする姿です。これは楽器が大きく凹むばかりではなく、ハンダ付けされた支柱に無理な力がかかり、楽器全体が歪んでしまう原因になりますので、絶対にしないようにしてください。楽器を置くときには両手で持ち、置く面と水平に(表、裏はどちらでも)置くようにするのが良いでしょう。

②日常の手入れは主にロータリーのオイル注しと抜き差し管のグリス塗りになります。ロータリーのオイルはキャップを外した凸部分。裏側の軸の回転するところと回転しないところの境目。抜き差し管を抜き、ロータリーの内部に届くように注します。頻度は楽器により違いますが、凸部と軸は毎日〜週一回、ロータリー内部は週一回〜月一回くらいを目安に注すようにしましょう。グリスは古いものを拭き取ってから薄くのばして塗るようにしてください。

③楽器をしまうときは、しっかりと管の水を抜いてからしまうようにしてください。ロータリーが錆びて動かなくなったり抜き差し管が抜けなったりする原因になります。また抜き差し管は全部差し込んでしまうようにしてください。抜いたままで仕舞うことにより内管のグリスが乾き、こちらも抜き差し管が動かなくなる原因になります。

 

音を出してみよう!

①実際に楽器を吹くことになりますとアンブシュア(口の形)が重要になってきます。金管楽器はどの楽器も唇を震わせて音を出すことになりますが、低音から高音まで安定した音を出し、かつコントロールするためには、欠点がある吹き方をしないことが大切です。理想としては唇を軽く閉じて「Pu!」と息を出す形を作ります。そこにマウスピースの下の部分を唇の赤い部分と下唇の皮膚との境目あたりに当てたまま、口の形を変えずにマウスピース全体を唇に被せるように当てていきます。唇の形状にもよりますが、およそ上唇が2/3、下唇を1/3使うかたちになります。初心者には楽器をつける前に、このようなアンブシュアを作り、それからマウスピースだけで音を出し、音階やリップスラー、タンギングの練習をすると、楽器をつけたときにスムーズに吹くことができるようになります。

②ホルンは移調楽器のために音を理解するのが難しいときがあります。そのため、合奏の現場では音の指示に混乱することがあります。音名はドイツ音名の実音で覚えて、階名はピアノと同じように一般的なドレミでinFの楽譜を読んでいただくのが良いと思います。ピアノの「ド」がホルンの「ソ(実音C)」になります。

③重要な構え方として右手の形があります。管楽器の中で唯一ベルの中に手を入れる楽器で、その手の置き方で音色や音量、音程が大きく影響を受けますので注意が必要です。一番良くないのは、手のひらでベルを持ってしまっているケースです。このような持ち方をすると音程のバランスが悪く、響きが止まってしまいホルン本来の音が出ません。また、手をつぼめてベルの中に入れると穴がふさがれ、非常にこもった音になってしまいます。手を合わせるときのような指先を伸ばした状態で(写真左)、ベルの中で自分と反対側に手の爪が楽器に付くような形で入れます(写真右)。このようにすると、手のひらの部分が広く空き、音を詰まらせることなく音程を安定させて吹くことができます。ただしこのような形にしても第三関節を曲げてしまうと、手の甲で蓋をしてしまう形になってしまいますので留意してください。

 

※こちらの記事は、Wind-i vol.5を一部抜粋し掲載しています。

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