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ランクアップ講座 -トロンボーン-

Navigator:伊藤 敬二 / 石井 徹哉

バストロンボーン

Navigator:石井 徹哉 T e t s u y a I s h i i

石井徹哉

千葉県出身。武蔵野音楽大学卒業。トロンボーンを前田保、井上順平の各氏に師事。現在、Osaka Shion Wind Orchestraバストロンボーン奏者。関西トロンボーン協会理事。

初めて楽器に触れる人に覚えてほしいこと3つ

①各部位の名前を覚えよう

マウスピース:口に直接つけて唇の振動を楽器に伝えるものです。色々なメーカーより多くの種類が発売されています。手で持つとバランスが悪く落としやすいので、まず、落とさないように注意しましょう。マウスピースの部位で特に大事にしてほしいのが“リム”といわれる口に直接つく部分と、“シャンク”といわれる楽器につく部分です。リムが傷つくと唇が荒れる原因や唇を傷つける原因になります。シャンクは薄い金属でできていますので、衝撃を与えるとすぐに変形してしまいます。吹き心地も変わってしまいますので、取り扱いには注意しましょう。

スライド:トロンボーンという楽器は他の楽器にはない“スライド”を使って管の長さを変えることによって音を変化させます。このスライドは内管と外管に分かれており、職人の手によって、とても精密に作られています。スライドはぶつけたりなどして少しでも凹ませるだけで途端に動きが悪くなってしまいますので、特に大事にしましょう。また、既に凹んでいる楽器があれば修理したほうがいいです。スライドの滑らかさは楽器が上達するためにとても大事な部分ですので、常にスライドが滑らかに動くよう、お手入れを怠らないようにしましょう。日々のお手入れは、楽器を吹く前に楽器店などで購入できるスライドクリームを塗って、吹き終わったときに拭き取るとスライドの滑らかさが長持ちします。

ウォーターキィ:皆さんはリコーダーを吹いたことがあると思いますが、リコーダーは楽器に開いている穴をふさいで音を変えます。実はトロンボーンにも穴が1箇所だけ開いています。それはスライドの先にある「ウォーターキィ」といわれる部分です。実は楽器を吹いていると見えないこの穴ですが、リコーダーと同様にしっかり閉じていないと(押さえていないと)きちんと音が出ません。コルク(ゴム)が穴をしっかりふさいでいるかチェックしてみましょう。

バルブ:バルブはキィを押すことで管の長さを瞬時に変えることのできるシステムです。とても便利なのですが、この部分もお手入れを欠かすと動かなくなってしまいます。バルブオイルやロータリーオイルというバルブ専用のオイルが楽器店などで購入できますので、これを毎日バルブが動く部分に注すようにしましょう。

チューニングスライド:細かい音程を調整する部分です。楽器店などで購入できる“チューニングスライドグリス”等を使用して動くようにしておきましょう。放っておくと、動かなくなります。動かしてみて硬ければよく動きやすくなるグリスを、緩ければ硬くなるグリスを楽器に合わせて選ぶとよいです。楽器屋の店員さんに相談するといいでしょう。

ベル:トロンボーンはこの部分で、「トロンボーンの音」に変わります。試しにチューニングスライドを外して楽器を吹いてみるとわかりますが、変な音しかでません。トロンボーンの音に変わる大切な部分ですので、いつもきれいに磨いておくといいでしょう。

②テナートロンボーンとバストロンボーンの違い

テナートロンボーンとバストロンボーンの大きな違いはベルの大きさです。金管楽器はベルの形によって音色が変化します。バストロンボーンはテナートロンボーンよりベルが大きくなっていますので、低音を吹くのに適した、よりワイドな音色になります。吹き方や、練習方法はテナートロンボーンと大きく変わりません。

③できるだけ同じ状況で練習しよう

トロンボーン上達の秘訣は「できるだけ同じ状況で練習する」こと です。楽器のお手入れもその1つです。スライドの動きを常にベストな状態に保つことや、吹き心地を常に同じにすることで、余計な練習をしなくて済みます。楽器だけではありません。常にたっぷり息を吸うことで常に吐く息の圧力を一定にすることや、常に同じ姿勢で吹くことなども考えられます。もちろんすべてを一度にできる訳ではないので、できることから少しずつ、実践していきましょう。

 

音を出してみよう!

トロンボーンを吹くときに一番大切なのは音のイメージです。どんな音を吹きたいのかをまずイメージしましょう。

①まず音程を確かめよう

イメージする方法として、ピアノやキーボードを使ってみるととてもいいです。例えば、1番ポジション(スライドを根元まで入れた状態)ではFとBbの音が出ます。ピアノだとファとシbです。まず、ピアノやキーボードでファ又はシbの音を弾いてみて、その音をイメージしましょう。歌ってもいいですし、歌わなくてもイメージができればOKです。しかし、歌えてもイメージができても、それだけではトロンボーンで音を出すことはできません。

②音のイメージを息で表現してみよう

次は想像した音のイメージを息のイメージに変えてみましょう。一番身近なのは口笛です。音が出なくても構わないので、口笛を吹く感じで音をイメージして息を出してみましょう。なるべく、先程イメージした音に近くなるように、ピアノやキーボードを使用しながら試してみるといいです。

③息のイメージで楽器を吹こう

②でイメージした息で実際に楽器を吹いてみましょう。音が出ても出なくても必ずイメージして吹くことで、いい音程や正確な演奏ができるようになります。何度もチャレンジしてみてください。

 

※こちらの記事は、Wind-i vol.5を一部抜粋し掲載しています。

 CONTENTS

◆1ページ:トロンボーン 伊藤 敬二 
◆2ページ:バストロンボーン 石井 徹哉

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