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ランクアップ講座 -チューバ-

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棚網遊太

埼玉県出身。埼玉栄高等学校を経て、東京芸術大学卒業。 在学中より、(株) ウィンズスコアのアンサンブルレコーディングに参加。 藝大フィルハー モニアや公益財団法人東京フィルハーモニー交響楽団等の在京オーケストラに出演 、Bunkamura 25 周年記念舞台にバンドメンバーとして参加のほか、国内のアーティストのライブ等にも出演。 これまでにテューバを、渡辺功、稲川榮一の両氏に、室内楽を板倉駿夫、稲川榮一、古田俊博 の各氏に師事。現在都内を中心に活動中。

楽しくできる基礎練習 -個人のレベルアップのために-

基礎練習ってつまらないですよね! よくわかります。ただ、曲ばっかり練習すると、その曲しか吹けなくなってしまいます。どんな曲が来ても吹けるように準備しておくのが大切ですよ!! さて、ではまず何をやったら良いか──。 僕が中高生に教えるときは、ひたすら音作りをしてもらいます。速い音符のある譜面やメロディは少し時間をかければすぐに吹けるようになります(そもそもテューバはメロディ少ないですね)。 しかし、良い音色はそんな簡単には出せるようにはなりません。だからこそ、たくさんの人が苦労しながら、少しでも楽しく、音作りができる練習を考えています。

【譜例①】

大事なのは大事ですが、いつも同じだと飽きてしまいますね。ではこうしてみましょう。

【譜例②】

ミドルのF の音を基準にして、やっていることは同じですが、上下にどんどん幅が広がっていきますね。 このまま続けていくと2オクターブ分のロングトーンが一気に出できてしまいます。もちろん、基準の音に毎回戻ってきた時に音がぶれていないか、移動した音が基準の音に比べて痩せていないか、などなど、気をつけることはたくさんあります。 一番、気をつけてもらいたいのは、“息のスピード”と“音の繋がり”です。


息のスピードは一つの音をロングトーンしている時と同じようにまっすぐ出します。この流れは音が変わってもあまり崩れないように意識しましょう。 音の繋がりは、【図②】のように音の変わり目で中途半端な音がなるべく入らないようにしましょう。
初めは良くても音が離れるにしたがって強張ってしまったり、音が痩せてしまうと思います。それで良いのです。はじめから全部できたらみんなプロになっています(笑)。少しずつで良いので、慣れていくようにしてください。 この練習は、ミドルのFスタートになっていますが、これをミドルのB♭や、ローのB♭からスタートしても良いと思います! 自分の得意な音域のクオリティを上げていっても良いですし、苦手な音域に挑戦しても良いでしょう。
また、開始音は解放の音でなくても良いのです。その日その日の気分によって練習方法を変えるのは何も悪くありません! むしろ毎日同じメニューをだらだらと行なってしまうほうが問題です。……というか飽きてしまいませんか?(笑)自分のメニューは自分で作る! 自分が自分をレッスンしてあげるつもりで練習しましょう!

◆みんなでロングトーン◆

先ほどの譜例と違い、先に吹く人と後に吹く人に分かれています。この練習はテューバパートだけでなく、やろうと思えば金管全員でもできると思います。先に吹く人は常に1人で、後に吹く人は先に吹いた人の音量や音色、音程、音の切り方など、なるべく同じ形にそろえましょう。
先に吹く人はわざと音程を低くとったりしても面白そうですね(やり過ぎないように)。 今回のようなインターバル(音の間隔)の練習の際に、音の高低を物理的なイメージでとること(Fが真ん中で、チューニングのB♭は上のほう!のような自分の中での決まり)は、音程感もつきますし初めは良いと思います。
慣れてきたら、その音程のイメージを可能な限り狭くしてみましょう。 例えば、チューニング(ミドルの)B♭の音を出した後に、そのオクターブ下の(ロー)B♭を出してみてください。できたらまた元のミドルのB♭に戻りましょう。
どんなイメージでしたか? 下の音の時は下のほう、上の音の時は上のほうになんとなくイメージがいっていませんか?
まずはそれでOKです。では、いま吹いた譜面を五線紙とペンを用意して楽譜に書いてみましょう!

書けたらそれを譜面台に置いて、実際に楽器を構えてみましょう。 いま見えている音の幅のイメージで一回吹いてみてください。 ……どうでしょう、オクターブって案外狭くないですか? 音のイメージとして、上下というのはとても簡単で効果がすぐに出ます。が、そのイメージが逆に上達を遅らせてしまっていることもあるんです。

音域は常に広がっていくものです。重ねて言いますが、上下にイメージすること自体は悪くはありません!そのイメージをなるべくコンパクトに、そして、コンパクトにした残りのスペースに、さらに上下の音を足すようにしてみましょう。 そうすると音域もどんどん広がっていきますよ(^^)。

このイメージで今回載せた練習をしてみましょう。もちろん音色は犠牲にせずに。驚く顔を見られないのが残念です(笑)。あくまでも個人の考えですので「これが正しいんだ!」と鵜呑みにせず、色々な方法を試してみて自分に合うやり方を見つけていっても良いと思います。



※こちらの記事は、Wind-i vol.7を一部抜粋し掲載しています。

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